見出し画像

あなたの影響力で「組織を動かす」ためには

“この記事は事業会社で働くデザイナーを中心としたコミュニティInHouseDesignersのアドベントカレンダーの記事です。”

プロダクトづくりにはデザイン思考や、リーンスタートアップなど、世の中には既存の優れたモノづくりのための思考法やフレームワークがすでに多く存在しています、

それらの方法論を利用することで顧客やチームの課題を解決することができると多くの書籍では語られていますが、それを"インハウスのクリエイター"が自社内で自主的に実践してうまく組織をスケールさせた例は現状まだ多くありません。

なぜならそれらの枠組みをただ実践しただけでは、「組織を動かす」ことができないからです。

私はずっと特別な能力のない「普通の人」でした、
それでも、私のようなカリスマでない「普通の人」が、実際に組織を動かすために考え工夫してきた点をいくつかお伝えしようと思います。

組織を変化させるためのマインドセット

まず、すべての組織のプロセスを一夜にして変える必要はありません。

大切なのは前に進み続けていることです、完璧ではないことを嘆くよりも、昨日より今日が良くなっていることに喜びを感じることが大切です。

バタフライエフェクトという言葉があります。
これは蝶の羽ばたきのようなほんのわずかな初期条件が変わるだけで、テキサスで台風が起きるような大きな気象の変化をもたらす、という寓話を表したものです。
このような小さな”初期微動”が組織を変化させるような事例は貴方の周りでも数多く起こっています。

組織とは何でしょうか?場所でしょうか?会社の枠組みでしょうか?
組織とは、人間の関係性の集合体であると私は定義しています。関係性とは人々がお互いに与え合う影響を総合したものです。

組織においては全ての関係性は連続的につながっています、
先程のバタフライエフェクトの例のように、あなたが隣人に小さくとも影響を与えることで組織は少しづつ変化しています。
普段は意識出来ていないかもしれませんが、貴方は毎日組織で何かアクションをするたびに関係性に影響を与え変化させているのです

このような変化を少しづつ重ねていくことで組織を変えていくことは出来ます。
・組織は関係性であり、完璧はありえないこと
・自分が影響を与える存在であると自覚すること。
・今日より明日が良くなるように、影響力を与え続けること

このようなことを、まずはマインドセットとして持っておくのが大切です。

ムーブメントは2人から起きる**

そんなことを言っても「自分にはそこまでの影響力がない」、そう感じた人はまずはこのTEDの動画を見てください。

どんな大きな社会運動も最初にダンスを踊るイノベーターと、二人目に踊りだすフォロワーのリーダーシップによってうまれるというお話です。

ここにあるのは、イノベーターとフォロワーという二人の関係性です。
この小さな1対1の関係性から組織を動かすトルネードを起こすことが可能なのです。

貴方は、いまいる組織において社会運動を起こす必要があります。
そしてそれはいつも二人から始まるのです。

観察(エスノグラフィー)で初めの相棒を探す

まず、あなたは一人目のイノベーターでもあり、二人目のフォロワーにもなることが出来ます。
まずは組織をじっくりと観察しましょう。
「組織のことはよくわかっている」そう思うかもしれません、しかし組織を見れている人はいても、「観」ている人はそう多くありません。

・「見る」というのはただ漫然と視覚情報を感じ取ることです。
「観る」というのは目的を持って対象を観察し示唆を得ることです。

この記事を読んでいるあなたの目的は「良いものを創り出すこと」「そのために組織をより良い方向に向かわせること」でしょう。
では、その観点を持って組織を「観て」みましょう。

すでに一人目に踊っている人はいませんか?あなたはそこで二人目のリーダーシップを発揮しましょう。
また、貴方が踊りだしたときに、二人目に踊ってくれそうな人はいますか?またはその素養を持つ人はいませんか?その時はその人と示し合わせて最初に立ち上がりましょう。

ムーブメントを起こすためには、この初期の「相棒」を観て探すことが非常に大切です。

会話(インタビュー)からはじめる

相棒になりそうな人が見つかったあとは、どうしたらいいでしょうか?
私は良くユーザーインタビューの手法を使って、実際に相手のインサイトを深く理解しようとすることから始めます。

二人からムーブメントを起こそうとするときに大切なのはお互いの信頼関係です。どちらかが無理に合わせたり白けた様子で踊っていては周囲のにはすぐバレてしまいます。
二人が心から楽しそうに踊っている姿にこそ観衆は心を動かされるのです。

信頼とはまず相手を知ることから生まれます、そのために私はインタビューをいう手法を良く利用します。
インタビューといっても堅苦しく行う必要はありません。
「ちょっとランチやコーヒーでもいきませんか?」というカジュアルな声かけから始めます、これがバタフライエフェクトを起こす最初の蝶の羽ばたきになります。

インタビューでは以下のようなことを行ってみましょう、数回に分けて行うこともあります。
・まずその人の成し遂げたいことを深く理解しましょう
・自分の仮説を投げかけて意見をもらいましょう
・小さなキャッチボールを繰り返しながら、共通のゴールを模索しましょう

その結果、相手のニーズと自分が組織に提供したい価値が一致したならば、共創(Co-Creation)の段階に移ることができます。

まずは小さくダンスする

動画では草原でいきなりダンスを踊っていましたが、皆の見ている前でいきなり派手なダンスを踊るのは勇気がいるものです。
また、組織においては必ずしもそのような見通しのよいステージがあるものではありませんし、実際は何度かのムーブメントにつながらないダンスを繰り返すこともあるでしょう。

ここで思い出して欲しいのが最初に伝えたマインドセットです。
・組織は関係性であり、完璧はありえないこと
・自分が影響を与える存在であると自覚すること。
・今日より明日が良くなるように、影響力を与え続けること

一度で必ずムーブメントがうまく行くことはありません。

ここで大切なのは「小さく試す」ことと「試し続けること」です。
これはLEAN-UXなプロセスと同じです。
例えば、まずは課外活動で二人で勉強会を始めてみるというのもいいでしょう、もしその勉強会に興味を持って見にきてくれる人が一人でもいればそれは影響力の発揮であり、ムーブメントの始まりと言えます。

信頼関係で人を動かす

1936年出版の『人を動かす 』にて、デール・カーネギーは人を動かすためのビジネスコミュニケーションのスキルについて以下の三原則を伝えています。

人を動かす三原則
1 盗人にも五分の理を認める
2 重要感を持たせる
3 人の立場に身を置く

UXデザイナーのスキルとは、常に「人を動かすこと」に他なりません、
これは「ユーザー」という外部の人間だけではなく、組織の内部にいる仲間や隣人に対しても発揮できるスキルなのではないでしょうか?

また、逆にユーザーに対して影響力を与えるためにも、まず隣人に影響力を与えられる存在になることが近道になるのではと考えています。

LEANなプロセスで書籍執筆中です

Q.この記事の詳細をもっと聞いてみたいと感じましたか?

本日記載したような内容を含む、「デザイナー以外でも読めるデザインプロセスの本」の書籍を皆様にお届けするため現在鋭意執筆中です。
(とあるデザイナーではない、別の「伝える仕事」のプロフェッショナルと越境&共創しながら書き進めております。)

ユーザーの声を聞きながら小さく試して行こうと思っていますので、この記事の深掘りをもっと聞きたい方はぜひ「いいね」を押してみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?