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イケメン区別
2021年10月某日。晴れ。25℃。
ふとした時によく思い出す、15歳の春がある。ぼーっと歯ぶらしを咥えていたり、電車に揺られていたり、休みの昼間にベッドに寝転がっていたり、散歩をしていたり、するとそんな春が一瞬だけ、戻ってくる。
晴れて第一志望の自称進学校に入学し、1年1組の一員となった。中学の時は、背は伸びないわ目は悪いわニキビは噴き出るわ運動もダメだわでまあ散々だった記憶の方が濃く残っている。「ここで一発デビューを決めてこの高校を牛耳ってやろうじゃねえか」強く拳を握りしめたけれど、ワイシャツのボタンは一番上まで留めてたし、10分前には自分の席に着いて、手持ち無沙汰な時間をいつもの貧乏ゆすりでやり過ごしていた。
下の名前が同じ(漢字で書くと違ったはず)子が2つ後ろの席にいた。因みに僕の名前はそんな突拍子もないキラキラしたモノではないが、よくいる感じでもない。その子がとにかくカッコよかった。小動物のような可愛げのある顔、天然パーマをうまくセットした、笑った時のえくぼが印象的な、芸能人で例えるなら千葉雄大くんみたいな男の子だった。初日から詰んでいた。
そんな彼についたあだ名がイケメン○○(下の名前)。僕はただ下の名前。もしくは苗字。当時はそれがまかり通っていた。僕だって何とも思わなかった、なんとも思わないようにしてた。
はあああ?
今から裁判起こしても勝てるんじゃないか。知らぬ間に自尊心はズタズタ。負け癖はこの時についたのだろうか。
謎な点も多い。カッコイイ彼は下の名前で、僕は苗字で、なんなら「お前」でも「ブス」でもよかった。そしてもし仮に僕がカッコいい側だったとしても、「イケメン○○」なんて呼ばれたくない。知らない人や先輩に聞かれたら恥ずかしいし。どんな羞恥プレイだよ、なんならイジられてるんじゃないかって勘繰っちゃいそう。イケメンの彼はどう思っていたんだろうか。いや、なんとも思ってないか。
あああぁ!
人生で1回くらいは「イケメン」をやってみたい。もてはやされたいし。チヤホヤされたいなぁ。
それと、千葉雄大くんが可愛い。東京03とスタアでも、AVALANCHEアバランチでも。子供はわかってあげないはまだ観てないけど。あー可愛い。かわいい。