イブキちゃんの聖書入門#83 「聖書的終末論③神の民イスラエル(前編)」
☆昔々、聖書の神の存在を疑うとある国の王様が、神学者の一人にこのような質問をしました。
「私に神が存在する証拠を見せてくれ」。
するとその神学者は王宮で働く一人のユダヤ人を指さし、「彼の存在が聖書の神が真実であることを証明しています」と答えました。
☆この話は実に、聖書の内容が哲学や神話などではなく、リアリティのある歴史であることを端的に表わしているものだと思います。
創造主なる神はアブラハムという一人の人物を選び出し、そのアブラハムとその子孫であるユダヤ人(イスラエル民族)に対して幾つもの契約を結びました。
(聖書には、神が人類と結ばれた8つの契約が出てきますが、その内の5つは、アブラハムとその子孫、イスラエル民族に対して結ばれたものです)。
それら5つの契約で約束された共通の事柄の1つを要約すると、「イスラエル民族は何があっても決して滅ぼされ尽くされることはない」ということです。
そのことは冒頭でご紹介した預言書であるエレミヤ書の中でも記されています。
☆人類史上、多くの人物、集団、また国家が、ユダヤ人(イスラエル民族)を根絶やしにしようと画策して来ました。
古代エジプトやローマ帝国を始め、近現代ではナチス・ドイツが、共産主義国が、また直近ではイラン、ハマスが「ユダヤ人根絶」を掲げ、そのスローガンに沿って行動して来ました。
悲しいことに、ある時はキリスト教教会が「ユダヤ人排斥運動」の先鋒に立つことさえありました。
神の民、イスラエル民族は常に全世界から憎まれ、攻撃を受け続けています。
しかし、聖書の約束によれば、それらイスラエル民族への排斥活動は一切合切、無意味です。
上記のエレミヤ書では、「神が定めた万象を覆すことが出来るのであれば、その時初めてイスラエル民族抹殺は叶う」と示されています。
誰が太陽や月を消し去ることが出来るのでしょうか。
誰が、どうやったら潮の満ち引きを止めることが出来るのでしょうか。
イスラエルが存在し続けることは、神が運行される大自然が存在し続けることと同じことです。
天地万物の創造者である神を凌駕する力がない限り、いかなる武力をもってしても、イスラエル民族抹消を成し遂げることは叶いません。
☆イスラエル民族の存亡には、約束に忠実である聖書の神の、その真実性がかかっています。
「約束」とは、もう既に果たされたものとしては、「ユダ部族のダビデの子孫としてメシアが降誕される」という「イエス・キリストの初臨」に関わる約束です。
これは今から約2,000年前に成就されました。
一方で「まだ果たされていない約束」は、「キリストの再臨」であり、それに続く「メシア的王国(千年王国)の実現」、また「土地に関する約束(アブラハムとその子孫に与えると約束された土地が彼らに与えられる約束)の成就」です。
「キリストの再臨」は、終末時代の最後に、その時点で生き残っていたユダヤ人の民族的な悔い改め(イエス・キリストをイスラエルのメシアと認める)によって成し遂げられます。
☆それらの約束が果たされずに反故にされることはあり得ません。
もしそれらが実現しないのであれば、聖書の内容は不真実であり、神は嘘つきとなってしまうからです。
しかし、この世界には「神を嘘つき呼ばわりしたい存在」がいます。
それが神に敵対する霊的な存在、つまり悪魔、悪霊です。
※次回「聖書的終末論④神の民イスラエル(後編)」へ続きます。