イブキちゃんの聖書入門#40 「ノアの箱舟は本当にあったの?⑦ 箱舟の設計(後編)」
★内と外を覆う
⭐︎前回で「ノアの箱舟」は、現代の私たちが知るような「船型」の形状をしたものではなく、コンテナのような「巨大な長方体」である、と解説しました。
今回はその具体的な造りとサイズについて、聖書の記述から探って行きたいと思います。
⭐︎神はノアに命じました。
この記述から「ノアの箱舟」の建材として使われた材木は「ゴフェルの木」で、「内と外」に「タールを塗られた」ことがわかります。
⭐︎では始めに、「ゴフェルの木(גֹּפֶר)」とは一体どのような木なのでしょうか?
残念ながら、それはわかりません。
「イトスギだ」という説もありますが、実際のところは不明です。
聖書には「ゴフェルの木」としか記されていないので、どのような木なのか無理に特定せず、「ノアの時代に存在していたゴフェルという名の木」として理解しておくのが無難な態度だと思われます。
聖書が啓示していないところ、それも大して重要ではないところまで深掘りし始めると、悪い意味でマニアックになり、怪しげな方向に向かってしまうので、「わからないものはわからない」と誠実に割り切ることが健全な聖書理解を保つポイントであると私は信じております。
もっとも、気になる木ではありますが…。
⭐︎次に「内と外に塗られたタール」についてです。
当「イブキちゃんの聖書入門」では、聖書箇所を引用する際は新改訳聖書の2017年度版を使用していますが、それより前の新改訳聖書第3版では「木のやに」とされています。
何の為に箱舟に「タール」(木のやに)を塗るのかと言えば、先ず物理的な意味としては、防水加工を施す為です。
しかしそれ以上に、そこには「霊的な意味」があるように思えます。
ここでの「タール」(木のやに)は、ヘブライ語では「コフェル(כֹּפֶר)」(名詞)で、「タールを塗る」という動詞形になると「カフェル(כָּפַר)」となります。
(前述の「ゴフェルの木(גֹּפֶר)」と発音が似ているところを見ると、もしかしたらここにはヘブライ語の詩的な言葉遊びがあるのかも知れません)。
名詞の「コフェル」は基本的に植物のヘナとアスファルト(瀝青)を指す言葉ではありますが、動詞である「カフェル」は第一義的には「覆う・贖う」を意味します。
「箱舟を『カフェルする』(覆う・贖う)ことによって、ノアたちを水没による滅びから救う」
これは「キリストの流された血潮は全ての罪人の罪を贖い、覆う」という新約聖書に入ってから啓示される神の真理の予表のように思えます。
つまり、「イエス・キリストの福音」を受け入れ信じた者には、その内側にはキリストの血潮が塗られ、やがて確実に訪れる罪の裁き、永遠の滅びから救われる、ということです。
そのことを神は既にノアの時代から人類に暗示させていたと受け取ることが出来るのではないでしょうか。
(ちなみに、「カフェル」はユダヤ教でユダヤ人男性が頭のてっぺんに被る小さな覆い「キッパ(כִּפָּה)」と語源は同じだとされています)。
★神の設計
⭐︎「地球上の全種類の動物がたった一隻の船に入ったなんて、信じられない。だから聖書は非科学的なんだ、子供だましのおとぎ話なんだ」。
というような意見をどこかで聞いたことがあります。
それは子供向けの絵本とかで描かれている、半分童話のような扱いを受けている「ノアの箱舟」のイメージに引っ張られているだけのことだと断言出来ます。
聖書にはノアが箱舟を設計する際の現実的な、具体的な数字が記載されています。
神がその数字に従って造りなさいとノアに命じたのです。
その聖書の記述通りに「ノアの箱舟」を再現するならば、雄雌2頭ずつの全種類の動物(海洋生物は除く)を箱舟に入ることは十分に可能なのです。
⭐︎先ず、「1キュビト」は肘から中指の先までの長さを基準にした単位で、約45㎝ほどです。
よって「1キュビト=0.45m」として換算すると、箱舟のサイズはおおよそ、長さ135m、幅22.5m、高さ13.5mとなります。
「ノアの箱舟」は、実際にはそのような「巨大なコンテナ」であった、ということです。
そして内部の構造は3階建てとなり(各階約4.5m)、採光と換気の為の天窓を箱舟上部に、そして戸口(扉)を1つだけ側面に作ります。
⭐︎この造りで計算すると、箱舟の総床面積は、【3,037.5㎡(1フロア分)×3(階分)=9,112.5㎡】 となります。
坪数に換算すれば、約2,760坪となります(日本の住宅床面積の平均は123.8㎡、約37.8坪であると言われています)。
つまり、平均的な現代の日本家屋の約73軒分の床面積を箱舟は有していた計算になります。
羊サイズの動物であれば、約13万頭は優に収容出来ます。
海洋生物(海の中にいるので箱舟に入れる必要がない)、微生物、菌類、昆虫(箱舟に入れても大してスペースを割かない)を除いた現在で知られている動物の種類は、約3万種類であると言われています。
この数字を基に、各動物の雄雌2頭ずつ集めたとしても約6万頭です。
加えて、それらの動物の中で、「きよい動物」とされている動物が1種類につき7つがいずつ、「きよくない動物」が1つがいずつ、鳥類が7つがいずつ入ったとしても(創世記7章2〜3節)、十分に収容する余裕はあるでしょう。
更にヘブライ語の「種類(מִין)」は現代で言われる「種類」よりもより大まかな「種類」を指しており、またノアの時代当時の動物の種類は現在よりも少ないと思われるので、(例え恐竜の子供が含まれていたとしても)全種類の動物は全て、確実に収容出来ます。
⭐︎聖書の記述は歴史的な記録であり、全てが現実に起こったことです。
箱舟の設計に関しても、現実に再現可能な、具体性のある意味のある数字がそこに記されています。
それと同じように、「イエス・キリストの福音」の内容、つまり、
1:罪のない神であるイエス・キリストがあなたの罪を負って十字架につき、あなたの罪の裁きを代わりに受けて死なれた、あなたの罪はキリストが既に精算された、ということ。
2:十字架で死なれたキリストは墓に葬られた、あなたの罪は既に墓に葬られた、ということ。
3:しかし神は死では終わらず、キリストは3日後に復活された、ということ。
…も歴史的な事実であり、私たち人間を罪による永遠の滅びから救い出す具体的な、現実的な力を持っています。
大洪水から救いをもたらす装置である「ノアの箱舟」を事細かに設計されたこの聖書の神は、私たち一人一人に、完璧なる魂の救いを設計されておられるのです。
どうかあなたも今、「イエス・キリストの福音」を信じることにより、この聖書の神の差し伸ばされた手に応じてみませんか。
心よりお勧め致します。