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イブキちゃんの聖書入門#22 「個人的終末論⑤ 死者の場所(中編)」

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"また私は、大きな白い御座と、そこに着いておられる方を見た。地と天はその御前から逃げ去り、跡形もなくなった。
また私は、死んだ人々が大きい者も小さい者も御座の前に立っているのを見た。数々の書物が開かれた。書物がもう一つ開かれたが、それはいのちの書であった。死んだ者たちは、これらの書物に書かれていることにしたがい、自分の行いに応じてさばかれた。
海はその中にいる死者を出した。死とよみも、その中にいる死者を出した。彼らはそれぞれ自分の行いに応じてさばかれた。
それから、死とよみは火の池に投げ込まれた。これが、すなわち火の池が、第二の死である。
いのちの書に記されていない者はみな、火の池に投げ込まれた。"
ヨハネの黙示録 20章11~15節

"また私は、新しい天と新しい地を見た。以前の天と以前の地は過ぎ去り、もはや海もない。
私はまた、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために飾られた花嫁のように整えられて、神のみもとから、天から降って来るのを見た。"
ヨハネの黙示録 21章1~2節


⭐︎今回は「死者の場所」の中編、ということで、前編(#20)でご紹介した13種類ある「死者の場所」を表す用語の、残りの12種類の内、6種類を見て行きたいと思います。

(↓前編はこちら)

★2:ハデス

⭐︎「死者の場所:よみの世界」を表現するヘブライ語「シオール」を、ギリシャ語に訳した言葉。

⭐︎旧約聖書の時代において、信仰者が死後に行く「良い場所」も、不信仰者が行く「悪い場所」も「シオール:ハデス」にある。
この場合の「ハデス」は「広義としてのハデス」

新約聖書では、不信仰者が苦しむ「悪い場所」も「ハデス」として表現されている。

"金持ちが、よみ(ハデス)で苦しみながら目を上げると、遠くにアブラハムと、その懐にいるラザロが見えた。"
ルカの福音書 16章23節

この場合の「ハデス」は「狭義としてのハデス」

前後の文脈によって、どちらのハデスなのか、判断する。

⭐︎英語での発音は「ヘイディーズ」なので、注意が必要です。
「ハデス、ハデス」と連呼しても、英語圏の人には「は?」という顔をされてしまいます。

★3:アバドン

⭐︎「破壊」を意味するヘブライ語(ギリシャ語では「アポリュオン」)。

⭐︎旧約聖書では、シオールの対句として用いられている。

(例)


"よみ(シオール)も神の前では裸であり、滅びの淵(アバドン)もおおわれることはない。"
ヨブ記 26章6節

⭐︎不信仰者が死後に苦しむ場所(狭義としてのハデス)の別表現。

⭐︎新約聖書の黙示録では、悪霊どもを「底知れぬ穴(アビス)」から呼び覚ます堕天使の王(恐らくサタン)を表現している。

"いなごたち(悪霊ども)は、底知れぬ所の使いを王としている。その名はヘブル語でアバドン、ギリシア語でアポリュオンという。"
ヨハネの黙示録 9章11節

⭐︎私はクリスチャンになる前、好きだったゲームに「アバドン」という名前のモンスターが登場しており、そのゲームの攻略本で「アバドン」についても解説されており、思えばそれが、私が聖書に興味を持つきっかけだったかも知れません。

★4:よみの穴

⭐︎旧約聖書にのみ登場する。

⭐︎アバドンと同様に、「狭義としてのハデス」の別表現。
アバドンは固有名詞だが、「よみの穴」は描写的言葉。

★5:アビス

⭐︎新約聖書にのみ登場する。

⭐︎ギリシャ語では「アブソス」。
「底なし」「地下世界」というニュアンスがある。

⭐︎シオール(広義としてのハデス)の中にある、堕天使を一時的に勾留するための場所。
ある一定の期間が過ぎると、そこに勾留されている堕天使は解放される。
将来、サタンはアビスに1000年間(千年王国の始まりから終わりまで)閉じ込められ、またそこから解放される。

"また私は、御使いが底知れぬ所(アブソス)の鍵と大きな鎖を手にして、天から下って来るのを見た。
彼は、竜、すなわち、悪魔でありサタンである古い蛇を捕らえて、これを千年の間縛り、
千年が終わるまで、これ以上諸国の民を惑わすことのないように、底知れぬ所に投げ込んで鍵をかけ、その上に封印をした。その後、竜はしばらくの間、解き放たれることになる。"
ヨハネの黙示録 20章1~3節

⭐︎アビスは基本的に堕天使のみを勾留する場所だが、例外的に反キリストは、一度肉体的に死んだ後、人間であるのにそこに留まる。

"あなたが見た獣(反キリスト)は、昔はいたが、今はいません。やがて底知れぬ所(アブソス)から上って来ますが、滅びることになります。地に住む者たちで、世界の基が据えられたときからいのちの書に名が書き記されていない者たちは、その獣が昔はいたが今はおらず、やがて現れるのを見て驚くでしょう。"
ヨハネの黙示録 17章8節

⭐︎現代日本でも、とある半グレ集団の名前や漫画のタイトルにも使われているので、もしかしたら若い世代の人たちにとっては、「最も馴染みのある聖書用語」の1つかも知れない。

★6:タータラス

⭐︎新約聖書の「ペテロの手紙 第二 2章4節」の一箇所にのみ登場する。

"神は、罪を犯した御使いたちを放置せず、地獄(タータラス)に投げ入れ、暗闇の縄目につないで、さばきの日まで閉じ込められました。"
ペテロの手紙 第二 2章4節

この聖句では、「地獄」の部分がギリシャ語でタータラス。「暗闇の穴」「暗闇の縄目」と形容されている。

⭐︎アビス以外の、シオールにおける堕天使を閉じ込める場所。
しかしアビスとは違い、タータラスに閉じ込められた堕天使はそこから出ることは出来ない。

⭐︎タータラスに閉じ込められた堕天使たちとは、文脈から、「ユダの手紙」で言及されている堕天使たちである。

"またイエスは、自分の領分を守らずに自分のいるべき所を捨てた御使いたちを、大いなる日のさばきのために、永遠の鎖につないで暗闇の下に閉じ込められました。"
ユダの手紙 1章6節

この堕天使たちは、「ノアの方舟」で有名なノアの時代に、女の子孫(キリスト)が生まれて来ないように、人間の女性を誘惑して子供を孕ませ、ネフィリムという怪人たち(堕天使と人間のハーフ)を生み出した者たち。

"神の子ら(堕天使たち)が人の娘たちのところに入り、彼らに子ができたそのころ、またその後も、ネフィリムが地にいた。彼らは昔からの勇士であり、名のある者たちであった。"
創世記 6章4節

神が定めた境界線を易々と超えたその堕天使たちの行為は、全世界を覆う大洪水(津波)という神の裁きを招いた。

⭐︎最終的には、そこから火の池(ゲヘナ)に直行する。

★7:地獄

⭐︎「地獄」の英語訳である「Hell」は、チュートン系(ゲルマン民族系)の語源を持ち、「覆う、隠す」という意味がある。

⭐︎そのまま「Hell」に該当する言葉は、ギリシャ語、ヘブライ語にはなく、「Hell(地獄)」と訳される場合、その聖書原文の言葉は、大体において、シオール、ハデス、タータラスである。
(新改訳聖書2017年度版では「ペテロの手紙 第二 2章4節」の「地獄:タータラス」のみである)。

⭐︎「地獄:Hell」は、新約聖書の時代になって、異邦人クリスチャンが「罪人が死後に苦しむ場所」の総称として使い始めた言葉。
つまり、「地獄:Hell」はあくまで、「シオールの中の苦しみの場所」を指す言葉、概念であり、異教的な意味での「地獄:Hell」という何かがシオールの中に存在する訳ではない。

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⭐︎今回はここまで。
続きは後編で!


※参考文献:2012年フルクテンバウム博士セミナー「聖書が教える死後の世界」(ハーベストタイム・ミニストリーズ)

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