鍵っ子の私と知らないおじさん

私が生まれるだいぶ前に
父は百貨店を辞め、自営業をはじめていました。

上司を殴ってクビにされたらしく
「会社を辞めてきた」
と言われたらしく母は収入が安定しているサラリーマンだから結婚したのに、とよくぼやいていました。

父は2トントラックで移動スーパーを営んでいました。

収入はやはり安定せず
母が外に勤めに出ることに決まり
私は鍵っ子に。

外回りの営業仕事に就いた母は
最初のうちは定時退社し17時半には
帰ってきてくれていました。

当時は電動自転車などはなく
母は普通免許も持っていなかったので
雨の日も風の日も毎日自転車で
営業まわりをしていた母は今でもすごいと思います。

早く帰ってあげなければと
必死に自転車を漕ぐ母。

山を切り拓いて建てたニュータウンは
坂道だらけです。

息を荒くして
帰ってくる母にわがまま言ったり
心配をかけるようなことは言ってはいけないと
子供心に思いました。

1人で遊んでいるときに
知らないおじさんに
スカートの中に手を入れられて
触られたなんて

絶対に母にも誰にも言ってはいけない。




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