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Future of Theatre シンポジウム

今日はThe Stageという業界誌主催のシンポジウムに参加しています。
参加者は業界関係者合わせて200〜250人くらいでしょうか。
会場とライブ配信どちらもありました。

こうした大きな規模のシンポジウムから大学単位の小規模なもの、業界団体単位のオンラインの勉強会など、年中何かしらどこかで行われています。情報はTwitterでイギリスの劇場や業界団体をフォローすると、繰り返し流れてきます。

全く新しい事を知るきっかけにもなるし、自分の認識とは少し違う視点も知ることができるし、人との出会いもあって、私は色々見つけては参加するようにしています。
日本でももう少し議題がバラエティに富んだ広がりがある会議が行われるといいな、 イギリス羨ましいな、と思いました。

会場の様子 Photo by David Monteith-Hodge #FutureOfTheatre

Theatre for Future トピックス

Building a better financial model for theatre
舞台芸術のためのより良い経済モデルを構築するには

  • イギリスの文化予算は、ないない、と皆言っているが、本当にそうなのか?
    お金がないのではなく、アイデアが足りないのでは?

  • プロデューサーやカンパニーは、利益がどこにどうやって還元されているのか、
    フリーランスや雇用者と共有するべき。

  • ナショナル・ロトリー 宝くじを買った人にウエストエンドのチケットの割引券が当たるサービス。チケット代の高騰を受けて

New Ideas
演劇人からの新しいアイデアの提案

  • AllTogether theatre
    障がいを持つ人やニューロダイバーシティ(自閉症スペクトラム等)に配慮した観劇環境の改善に取り組む団体 介助者のチケット代を障がい者負担にしない提案など

  • Little Angel Theatre
    児童演劇はもっと業界の中で(リスペクトを持って)取り上げられるべき
    未来の観客を作るとても重要な役割を担っている

  • 地方で仕事をする際の宿泊先について
    自分の家から離れた場所で仕事をする際に(ツアーや滞在製作)、
    劇場、雇い主が滞在先を保証するべき!
     ↑え!これは当たり前ではないのか、イギリスでは!!衝撃!

  • 公演を売る際の全ての広報、広告をデジタルメディアにしてみたら。
     コロナ禍のテストケース 全ての媒体をweb広告とSNSに移行したら
     チケットは、チケットエージェントを介さずとも、有名な俳優を使わずとも
     9割ハケた。

     ↑ 紙チラシ不要か?。この会社や手法がこれからの広報を牽引するかもしれませんね。
    ちなみに、そのテストケースの作品はこちら↓

デジタル広報のプレゼン

New writing for future
新しい未来の劇作のために

  • September 11以来、イギリスの劇作にポリティカルシアターが復活した。  政治的、社会的正義とは何か?

  • コマーシャルシアターも助成を受けている劇団、劇場のように、新しい劇作家を育てる責任があるのではないか

  • AI 劇作 コロナ禍でロイヤルコートで試したが、うまくいかなかった。
    うまくいくわけがない なぜなら劇作とは感情を観客に届けるものだ。
    AIには感情は伴わない (ChatGPT 3を使ってみて)

Making Flexible working work
フレキシブルな労働環境を機能させる

  • レミゼのアンサンブル出演者、12年間公演に参加して(!)出産を機に降板
    代わりに入った俳優さんも自分の産休明けと同じ位のタイミングで出産を機に降板し、自分が戻る。その2人の母親俳優が、その役をシェアできないか、キャメロン・マッキントッシュに直談判し、ダブルキャストを実現させる。ちょうどコロナも流行しており、常に代わりができる人材を確保できることは、カンパニー側にとっても喜ばしいことで、WIN /WINの判断だったとのこと

  • RSCの照明映像テクニシャン(男性)子供が幼い時に、仕事をセーブすることを決めて、カンパニーと交渉。週6日勤務を4日勤務に。削減した2日分を補う、自分と同じ知識と経験を持つ人を探すことが大変だった。カンパニー側とは、まず6ヶ月テストしてみようと交渉し、今はうまくローテーションで4日勤務を実現している。

  • クリエイティブ職の共有は難しい? 

  • 仕事をシェアすると言っても、単純に労働時間のシェアや働く場所の自由度を上げる、タスクをグループで共有し、1人抜けても仕事に支障がないようにするなど、色々な方法がある。自分にあった方法を組織の中で使えるように、お互いの工夫、雇用主と労働者間のすり合わせる努力が必要

  • 30代の女性、出産を機に6割が仕事を辞める。反対に男性は2割。
    ちょうど管理職ができるようになった人材を組織が手放すことは、組織にとっても大きな損失。また男女の平等性も保てない。

  • 例えば、優秀な人材(時短勤務)と彼らより優秀でない人材(フルタイム勤務)
    比べた場合、優秀な人材が一日数時間短く働くという理由だけで雇用しないと決めるのは勿体無い。

この話を聞いていて、日本の舞台監督チームは仕事のシェアは導入しやすいのではと思いました。そもそも毎日引き継ぎなど習慣になっているチームも多いので、仕事の共有、伝達は追加の仕事にはならないでしょうし。でも常に人が足りないので、今日はお休みだと決まっていても、稽古場の裏でそのお休みの人が小道具を黙々と作っていたりして、、、いや、皆さん、働きすぎですよ!! 

  • 業界としてもこれからの優秀な人材を確保する上で、労働環境を改善していかないと、他の業界に流れてしまう。

What is theatre’s future in the metaverse?
メタバースの中の舞台芸術の未来

これ、来ましたね。ちょっと楽しみだったのですが、思ったより私にはヒットせず、ちょっと残念でした。

  • メタバースとは、仮想空間ではなく想像力の空間である
    人の無限の想像力が、外の(仮想現実)世界にアウトプットされているものだ。

  • メタバースに参加するのに、大きな投資や知識は不要だ。そうした技術に富んだ人はメタバースの世界に沢山いて、小額で色々な事を引き受けてくれる。

  • メタバースの世界では、アバターを通して世界を見る。通常の劇場にアクセスしずらい人にも参加の可能性がある。

  • メタバースと演劇の共通点は、どちらもライブイベントだということだ

  • メタバースで観客の関心を惹きつけて、それを実際の観劇に繋げる
     ↑これは、ちょっと無理があるよな〜と正直思った。

  • Sam Crane (この人ミュージカル、ハリーポッターのハリー役 驚!!)
    コロナの時に子供がしているゲームに驚いて、自らゲーム空間でHamletを上演
    ↓以下からトレーラーが見られます。

#FutureOfTheatre


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