「駒田蒸留所へようこそ」を観て
ウィスキー蒸留所を舞台にしたオリジナル映画『駒田蒸留所へようこそ』を観てきました。心打たれるものがあり、その勢いのまま、この感覚・感情をことばにしてみようと思い、noteを立ち上げました。
公式PVのURLを貼るので、ストーリーの概要はこちらをご覧ください
※この後の記載は一部ネタバレを含むので注意。
伝えたいこと
・絶対観るべき。観に行って良かった
・お酒に詳しくなくても楽しめる作品
・仕事/家族/地方産業/モノづくりなどがテーマ
心打たれたこと
地方の零細企業の現実(資金繰りや従業員の雇用問題)と向き合い、モノづくりの難しさや、良いものを作りたいという意欲だけでは乗り越えられない葛藤に直面しながらも、強く生きていく様が心に残った。
作中の登場人物2人のそれぞれの視点に自分を重ねながら観ることで、今の人事としての仕事や個人のキャリア観を振り返る良い機会となった。
モノづくりの仕込み期間の長さや成果が出るかどうかわからない中で挑戦する気持ちの強さの重要性を感じさせられた。
作中のライターという仕事や、本映画の映画取材の丁寧さを通じて、商品に込められた作り手の思いを深堀りし、言語化・表現化し、人々の心を動かし、だれかの行動を変えることのすごさを改めて実感した。
勢いのまま、この感覚・感情をバーッと書いてみる
はじめに
はじめに少し本作に触れるが、この作品は先代である父亡きあと、実家の「駒田蒸留所」を継いだ若き女性社長・駒田琉生(こまだ・るい)と、やりたいことも見出せず職を転々としてきたニュースサイトの記者・髙橋光太郎(たかはし・こうたろう)の2人主人公の物語です。
駒田琉生は、自分の夢や未来とを天秤にかけながら、経営難の蒸留所を引き継ぐことを決めました。その背景や、立て直しに込めた想いを、作中にいろいろな伏線をちりばめながら映画という限られた時間の中で回収しきっており、小説の読み終わりのような満足感にあふれています。
髙橋光太郎は、「駒田蒸留所」についての記事企画を任され、その取材を通じて、ウィスキーの世界や、仕事をすること、ライターという仕事の面白さに気づき、成長していきます。
彼が何を感じ、どう成長していくのかは、おそらく視聴する時の自分自身の心の状態によって、その受け取り方・受け止め方は変わってくるのだろうなと思うので、個人的には仕事やキャリアについて悩んでいる人、何か気づきが欲しい人に観てもらいたいなと思っています。
家族と歴史
駒田琉生の家族を通じて「家族」について考えさせられたので、ここからまとまりのない話を書いていきますw
「家族」は何気ない生活や日常の積み重ねによって醸成され、その歴史そのものが家族であるのだろうな。としみじみ思うエピソードが出て作中に何度か出てきました。
家族と大人になり会える時間が減っても、それぞれの価値観が変わってきても、過去の積み重ねた歴史は変わらない。だから家族でい続けられる。そんな哲学的なことを感じました。
また、ここでいう「家族」を、血縁関係に関わらず、「何気ない生活や日常の積み重ね」をしている集団のことと想像している自分がいます。
例えば、本作品の駒田蒸留所のような零細企業の従業員たちも「家族」のようなものであり、自分自身に照らし合わせたときには自分が所属している組織の皆はもしかしたら「家族」同等の存在なのかもしれないということです。
今の会社は6年目なのですが、6年も一緒に時間を過ごしていると、乗り越えてきた修羅場経験をもとに、結束感や一体感が生まれている感覚があります。これはもはや「家族」という感覚に近いのかもなと思っています。
つまり、時間を共に過ごすことで醸成される絆の強さや想いの強さを家族的な強さと私は捉えており、そんなことを想起したために感情が揺さぶられたのかなと。
ただ、その強さは、良くも悪くも時間を共に過ごす時間が長くなればなるほど、よそものが混ざりずらい状況にも成りうるのだなとも思いました。
少し話はそれますが、
本作ではウィスキー樽に使われる木材や熟成期間によって原酒の香りや癖が変わってくるといった話があり、ウィスキーを題材に家族を描くことで、ウィスキーも家族も時間経過(歴史)や、時間が経過しないと形成されないもの(熟成)が、なんだか似ているなーとかんじました。個人的にそういう自然の中で熟成されていくもの、洗練されて行くもの、環境と共に育って行くという考えや取り組みが好きなのかもと思いました。
未来の自分がどんな歴史を保有し、どんなものを熟成させているのか、そんなことを想像しながら、今をどう生きるべきなのか、そんな問いと向き合ったり、妄想を膨らませるのが純粋に楽しいのかもしれないです。
さて、家族の話に戻ります
家族をつくるということ
家族やそれに近い存在とのふとした瞬間や、たまに顔を合わせたり、過去の思い出に浸ったりする時、「家族=何気ない生活や日常」が、いかに貴重で、心の安らぎの場所であるかを深く実感することがあります。
長い時間を共に過ごした関係は何にも代えがたく、同じ時間を共有する人を見つけることの難しさを思うと、身近な人々の存在がいかに貴重であるかをいつも思い出します。
これは、先ほど述べたように、わたしは血縁関係に関わらず、「何気ない生活や日常の積み重ね」をしている集団的家族のことも含めて捉えています。
長い時間一緒にいられた関係性は貴重であるし、大切にしなければ、そういう存在をまた作るためには、時間が非常にかかります。
同じ時間を自分に割いてくれる人を見つける難易度は年々増していきますし、今いる身近な家族・職場の仲間を大切にするという仁義・忠義的な精神はそういうことなのだろうなと改めて思いました。
一方で、仕事組織においては新しい家族・仲間を増やしていくことが求められることもあるため、「何気ない生活や日常の積み重ね」をこれまで一緒にして来なかった人と家族・仲間になる必要があります。
よそものが混ざりにくい状況が出来てしまっている前提を正しく理解し、新しい家族・仲間に歴史を語り、溶け込めるような工夫をしてあげること。また、家族になるためには最初だけではなく、その後の継続した「何気ない生活や日常の積み重ね」を経る必要性があるため、継続して一緒に未来を作っていくという気持ちで日々を過ごすという、当たり前の気持ちを持ち続けることが、重要であるということも改めて感じました。
仕事をするということ
この作品では、主人公たちのリアルな境遇やキャリア観が、生々しく描かれていて、日常で遭遇するトラブルやキャリアの選択、仕事との向き合い方に、深い共感や多くの気づきを得ることが出来ました。
特に私が人事という職に就いているため、そうした視点から得られる洞察が多かったのかもしれません。
現在の仕事は本当に自分で選んだのか、誰かが示した道を歩んでいるのか、これらの疑問に対し、深く考えさせられるシーンが随所に散りばめられていましたし、答えを見つけられない中でも、「仕事」をする際の心構えや、どのような状態が心地よいのかを考えさせられることもありました。
最近、部内の様々なメンバーとの1on1が多く、目標設定や振り返りの他に、今後の人生観や社会人としてのスキル感みたいな会話をする機会が結構ありました。
「今は人事をやっているけど、ホントに人事が向いているのか、やりたいのか分からない」
「一生懸命に仕事をしているし、それに満足しているし、成長とか出世とかあまり興味ない」
「意識高い皆みたいやりたいこともないし、目標もない。生きるために働いているし、それで満足なんです。」
そうだよなーと共感するところもあれば、それはでも…な…と共感しにくいところもあるのですが、仕事に対する価値観や、人間関係に関する価値観、プライベートに関する価値観など、十人十色な世界において、個人個人の大切にしている価値観は尊重されるべきだよなと思っています。
なぜなら、自分が腹落ちや理解出来ていない思想や価値観のままに行動することは苦痛ですし、私も絶対にやられたら反発をするからです。
ただ、自分が理解できていないだけでそういう価値観もある。そういう思想もあると受け入れることは、けっこう大切な価値観なのでは?とも思っております。
何を言いたいかというと、悩んで当然だし、分からなくて当然だし、理解されなくて当然で、ただ、その悩んでいる時間過程によって、仕事に対する価値観や、人間関係に関する価値観、プライベートに関する価値観などが熟成されて、その人にしか出せない味になっていくのだろうなと。
個性的な味が好みの人もいれば、癖がない味が好みの人もいる。なので、「自分は今熟成中なのである」と自分に言い聞かせて、今の悩み事必要な時間経過であると受け止められると、未来の自分に少し期待が出来るのかなと思います。
最後に
勢いで書いたので、まとまりのない文章になってはおりますが、とにかく「感動した!」ということと、もっと仕事がんばるぞ!と思ったので、そんな気持ちを少しでも言語化できた自分に満足です。少し熟成が進みましたw
弊社がこの映画の企画に関わっていることもあり、観てみようと思ったところが大きいのですが、制作に費やした多くの時間と労力を知っていおり、エンドロールで知っている人の名前が沢山出てきたことも含めて特別な感動をしている可能性もあります。
弊社がコンテンツ制作を通じて、多くの人々の人生を豊かに彩る仕事をしているという事実に、改めて深い感銘を感じたので、そういった事業に携わる従業員たちが少しでも働きやすい環境を整備できるように今日からまた頑張ろうと思います。
仕事とは何か、家族とは何か、そして自分たちがどのような歴史を築いていくべきかという問いを投げかけてくれた本作品は観る者を引き込む物語で、見る価値のある映画です。
是非、映画を観に行ったのち、「ウィスキーを飲みに行きましょう!」と連絡していただけると幸いです!