体つきのバランスが特殊な人の服の話

こんにちは、はつかです。

今日は私が洋裁を始めたきっかけでもある、特殊な体つきのバランスと服について、何に悩んでいたか、今どうしているかなどをつらつら書きたいと思います。
2回目にして、画像一切なしの文字のみ2900字。
(これができるのがありがたい)

まず、いきなりぶっちゃけると、私は他の体の部位に対して、バストが大きいです。
さすがにスリーサイズをそのまま晒すのはあれなので、天下のユニクロ様のサイズ表でいくと、バストのみXXL(店頭では基本的に取り扱いがなく、オンラインのみのサイズ)に該当します。
これに対して、ウエストやヒップはL。
あとサイズ表にはないですけど、肩幅や腕の長さもMかLに該当すると思います。

で、じゃあ普通にXXL買えばいいじゃんと思われる方が大半かと思いますが、バスト以外のサイズが軒並み10センチ近く合わないので、それはそれはだらんとしたシルエットになります。
オーバーサイズなんて可愛いものではなく、単に自分のサイズがわかってない人か、あえてそういうビッグビッグシルエットを好んでいる人に見える。
もちろん、そういうビッグビッグシルエットが似合う方もいますし(私はそうじゃないけど)、私もとりあえず入る服を着ていた10代の頃には「ストリートダンスでもしてるのかと思ってた」と言われたこともあります(実際は全く縁がないですけど)

でも、学生の頃はともかく、仕事に行くとなると、しかも服装自由だけどあんまりルーズなのはちょっと…という感じの職場だと、さすがに似合ってもなく好みな訳でもないビッグビッグシルエットを着続けるのも…となってきまして。
あと、ビッグビッグシルエット、胸以外は体と布が離れてる分、風通しが大変良いのです。
つまりシンプルに寒い。
暑がりだったらよかったのかもしれませんが、あいにく寒さですぐ体調を崩す体質なので、健康面でもだいぶ不利になる訳です。

じゃあ、胸には潰れてもらって、Lを着ればいいかというと、質量がある分、潰れるにも限度があり…あと普通に苦しい。
そして、伸びない素材だとまずボタンが留まりません。
なら、ボタンがないタイプの服ならいけるかというと、そうでもない…
服の想定以上に胸があると、布がそこで引っ張られる結果、袖周りがギチギチになるのです。
結果、腕が動かせない。
意図せず、お縄にかかった状態を再現できてしまいます。

伸びる素材なら着れなくはないのですが、やはり布が引っ張られるので、ちょっと腕を動かしただけでお腹が見えたり、だんだんずり上がってきたり、常に引っ張られるので肩こりも酷くなったり…
あと胸回りがぴちっとするから、強調してる人に見えたりもします。

洋裁を始める前は、それでも我慢して着ていましたが、その状態で服を選ぶのが楽しい訳もなく、試着の度にうっかりビリッとなりやしないかとヒヤヒヤし、店員さんが「これ新作なんです~」と勧めてくれる伸びない素材の服を必死に断り…としていて、買い物が憂鬱でした…。

胸が大きい人のためのブランドができ始めた後しばらくはそちらを利用していましたが、それでも私のサイズにぴったりだった訳ではなく(やっぱり胸に合わせると肩が合わない)、数も多くはないのでデザインを選べる余地もあまりなく、すぐ売り切れちゃうし、お値段もかなりするという…
(これは需要と供給のバランスを考えたら仕方ないのですが…特殊体型のために服をデザイン・縫製するとなると、どうしたってそうなるよね、そもそも働き手のこと考えたら量販店の服が安すぎるんだよねって感じなので…)
なんだか費用対効果を考えると、オーダーメイドした方が安いかもと思い始め…(1着2万くらいでフルオーダーメイドしてくれるお店も、探せばあるので)

でももう、ここまでくると、これは私の好みやこだわりのせいもあるし、既成服に求めるのが無理があるなぁとしみじみ思いまして…
(きっと他の人だって多少の不具合は感じつつも既成服を着てる訳で、それが気になって仕方ないのは私の我慢のきかなさなので)
で、結果、コロナ禍でステイホームを余儀なくされたのをきっかけに、「練習時間あるし、自分で作ろう!」となった訳です。

幸い、刺繍や小物作りはもともと好きで、ミシンもありました。
それなのにそれまでやらなかったのは、服作りに必要な型紙も市販のものは既成服準拠のサイズだったからで、やるなら型紙製図や補正の勉強からしなきゃいけない、時間や教材がないと厳しい…と思っていたからです。
でも。幸か不幸か、時間はできちゃったんですよね。
そして教材は、あの有名な『誌上・パターン塾』と出会えたおかげで原型の仕組みや使い方をなんとなくイメージできるようになり、文化服装学院の他の教科書も読めるようになりました。
(上級者向けの本なので、服作ったことないのにいきなりあれを参考にし出す人はまれかと思いますが)
あと、アマプラでソーイングビーを見たのも大きいですね。
縫い方の説明を見ていたら、「なんか私にもできそうだな」と自信が出てきたので。

もちろんバストを基準にした基本原型そのままでは私の体型とは違うところも多かったのですが、一度作り始めたら、補正のハードルはがくっと下がりました。
あと、ありがたいことに、ネットで補正の仕方を検索していたら、服飾科の先生方が書いている論文に行き当たりまして…
読んでみたら、体つきに合わせたウエストダーツの配分比率とか、私みたいに胸だけが大きい人の場合の原型の作り方とか、一般の洋裁本や教科書には載ってないことも書いてあり…(といっても専門外なので全部を理解できた訳ではないですが)
これが大変重宝しました。
おかげで、自分にしっくりくる服を作れるようになったので、研究して論文を書いてなおかつオンラインで公開してくださる方々のありがたみをひしひしと感じた次第です。

ちなみに下記がその論文です。

平良木啓子(2013)「体型別成人女子用上半身原型ウエストダーツ量配分率の検討- 水平断面重合図を用いた体型分類 -」文化学園大学紀要 服装学・造形学研究 第44集

榎本春栄(2002)「身頃原型についての一考察-特殊体型のための原型-」和洋女子大学紀要. 家政系編,42,135-147

検索したら出てくる&無料で読めるので、もし私のように困っている人がいましたら、参考までに…。
他にも色々な論文が出てるので、洋裁本や教科書見ても自分にぴったりくる服が作れないって悩んでいる方いたら、解決法を検討した論文がないか探してみるのも手かもしれません。

あと最近手に入れた下記の本も、自分の体に合わせるために、型紙のどこをどう操作したらいいかが体型別にわかりやすく載っていて(そして型紙も作り方もついていて!)、大変良かったです。
もう絶版なので、中古でしか手に入らないのが惜しい…

かわいきみ子(2007)『みんなのパターンソーイング より体に合った服作りのコツ教えます』文化出版局

私も未だに試行錯誤中ですが、調べて実践を繰り返すほどに、安心して着れる服が増え、特殊体型であることの悩みから解放されていっている気がします。



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