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オビワンドラマ最終話にみる「師弟」の"ヤバさ"

あえて作文風味の文章でお届けします。

私は、今回の最終話を観てこの世界の宇宙ではどれだけ師弟という関係が大切なのかが改めて分かりました。
ジェダイのマスターとパダワンという関係だけに留まらず、対となる暗黒面のシス卿においても重要だということです。

あれだけの独裁恐怖政治を強いてきたシス卿でさえ「2人で1つ」というプリキュア的体制があり、1人がいなくなると必ずもう1人作らねばならずあくまでも「マスター」であり続けるというところにこの銀河における師弟関係の大切さや重要さ、それがもたらす影響の大きさを感じることができました。

今回最終話で、ダースベイダーはオビワンに約10年振りに「マスター」と口にしましたがその時の破壊力は今までのどんなフォースチョークより恐ろしいものでした。私は叫び声をあげ、手を振り回しました。普段正気を保っている極普通の人間の箍を外し、奇行に走らせるその力はまさに「選ばれた者」にしか出せないのだと実感しました。

幼い頃から自分を支え、ジェダイとはなんたるかを行動で示し常に導いてきたオビワンという1人のマスターが、かつてのアナキンにはいました。
ですが20歳を迎えたアナキンが選択した未来は、燃え盛る溶岩の星ムスタファーでの自分のマスターとの死闘でした。
暗黒面に身の全てを任せ、師に罵詈雑言を吐き焼かれていった彼は再び後の帝国のトップとして蘇ります。
ベイダー卿となった彼が、全ての憎しみの元であるオビワンをひたすらにクソデカい執念のみで広い銀河の中から探し出し、炎の中にかつての自分の様に引き摺り込んだ暴挙が今作3話目となります。
その際アナキンは「ケノービ」、「オビワン」と呼び、もはやかつてのアナキン・スカイウォーカーはもうここにはいないということを主張しているようでした。

ですがそれを経て彼はこの今作最終話において「マスター」と口にしたのです。
この時の私の心情を110字以内で述べよという問題が出た場合、誰一人解くことはできないと私は考えます。
とにかく私の心臓に致命傷を与えたという事実がただ存在しているのです。
一体彼はどういう感情で「マスター」と口にしたのでしょうか。
地面にかつての師をぶち込んでおいての発言なので、嫌味や皮肉の意味が込められているのでしょうか。
真意は分かりませんし考察できるほどの冷静さも私には持ち合わせていないので模範的な回答すらもできませんが、哀れみや同情も少しばかり入っていたのかもしれません。
いずれにせよ、最後に彼は「マスター」と口にしたのです。それはその時点で彼がオビワンケノービという一人の男を自分のマスターだと認めていたということになります。しんどいであります。


ですが師弟という関係がもたらす影響はこれだけではありませんでした。
それはこの3度目の死闘(もはや死闘が3度続いてる時点でおかしい)で確信したものです。
それが、ベイダーとオビワンはライトセーバーを派手に交えてはいるものの、最後のトドメを一向に刺さないという事実でした。執念深く銀河の果てまでオビワンを追いかけ回しておきながら、3話目ではドロイドに救出されるオビワンを黙認します。そして今作最終話でも、「反乱軍のネットワークは後に脅威となるので排除しておくべきだ」というド正論を伝える大尋問官をガン無視し小さなポッド一機で離脱したオビワンを帝国のデカい戦艦で追いかけ、タイマンを仕掛けておきながらライトセーバーでトドメを刺さずに岩ごと師を地面にぶち込むという生死不確かな方法で戦いを終えようとしました。
そしてその時私の頭に一瞬、ある推測が浮かびました。
「もしかして死ぬところを見たくないのかもしれない」という推測です。
3話目で散々「苦しんでるところを見たい」と発言しておいて「だからって死ぬところを見たい訳では無い」という拗れたマスターへのクソデカ感情の現れだと思うのです。
それを知ってか知らずかオビワンは例のごとくフォースで地面から脱出を果たし、ベイダーを後ろから斬りかかりました。そして再び死闘が始まり、覚醒したオビワンのセイバーと若干の動揺を隠せないベイダー卿のセイバーが火花を散らし、ついにオビワンがベイダー卿のメットを破壊します。
そしてそこで彼は、亡くなったマスターから託されたかつてのパダワンの変わり果てた顔を目にし、思わず謝罪の言葉を口にしました。
この時点で私は涙腺が崩壊し、白目を剥き始めましたが何とか眼球を画面に戻し事態を見守ります。
宇宙一かわいいベビーフェイスできらきらな涙をいっぱい目にためたオビワンから「すまない」とか弱い声で言葉をかけられると、さしものダースベイダーも言葉に詰まりました。少しの沈黙のあとやっと発言しましたが、私はその少しの沈黙に全てを感じて天を仰ぎそのまま天に召されてしまいそうでしたがなんとか現世に留まります。
"あの"ベイダー卿が言い淀んだのです。
言い!淀んだ!のです!
彼はマスターが涙する姿など片手で数える程しか見ていないでしょう。
しかも自分の事に関して目を潤ませ、絶望する弱々しいかつてのマスターを間近で目にしたのです。
彼の中でどんな感情が渦巻いていたのでしょう。
ぐちゃぐちゃと言葉にも表せない思いがぶつかり合い、せめぎ合っていたのではないでしょうか。

そしてオビワンもベイダー卿の生命維持装置をぶっ壊しておきながらまたしてもトドメを刺さずにその星を発ちます。
最後までオビワンの名を呼んでいたベイダー卿の声が彼には聞こえていたはずです。
それでもその場を去った彼は、最初からダースベイダーの息の根を止めるつもりはなかったという事になります。
ゲーム・オブ・スローンズではとっくに斬首されていると思った私ですが、今言及したこと全てに「師弟」という関係が強く影響を与えているということに気付いたのです。

その後現マスターのシス卿が「かつてのマスターへの感情が邪魔をしている」とベイダー卿に指摘したことで、旧マスターへの思いが現マスターにバレた修羅場会議となり帝国サイドの場面は幕を閉じました。

一方オビワンは、全ての始まりである砂の星タトゥイーンにて1話目からずっと呼びかけ続けるも、一向に会えなかった愛しのマスタークワイガンと再会し2人で仲良く隠居生活を始めるぞ、という場面で幕を閉じました。

師弟で始まり、師弟で終わる。
素晴らしいドラマでしたね。

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