【麻雀小言Vol.5】字牌保持はハンデであると心得よ
麻雀というゲームに少し慣れてくると、ただ真っ直ぐに打つことが罪であるように感じる時期が訪れます。そんな打ち手が陥りがちな手法に
「とりあえず字牌を持って手を進める」
というのがあります。
確かに字牌というのは性質上、序盤から安牌化しやすく、それを抱えて手を進めるというのは、いかにも簡単に出来て効果的に見えます。しかしそのことによる弊害についてはあまり考えていない人が多いように見受けられます。
という訳で今回はそんな字牌に関するお話を少々。
未熟な人ほど字牌を持ってはいけない
さていきなりセンセーショナルな見出しとなっていますが、これは事実であり真理です。未熟な人はなんとなくの感覚で字を持つことにより、失うものが非常に多く、またそのことに気付いてすらいないのです。
ではここからは字牌を持つことの弊害を様々な角度から見ていき、何故字牌を持ってはいけないのかという所に迫っていきたいと思います。
ちなみにここで言う「未熟な人」の定義ですが、初心者を抜け中級者になろうとする人、雀魂で言えば雀豪ぐらいでスタックしてる人や、天鳳で言えば上卓を抜けられない2~3段の人くらいをざっくりイメージしてもらえたらなと思ってます。
1.絵合わせ的な貢献度が低い
字牌というのは麻雀のルール上、順子が出来ない牌です。ある字牌を使おうとした時に有効な牌は最大でもたったの1種3牌なのです。
数牌の中で最弱の1・9牌ですら3種11牌もあるのですから、これは大きな差であると強く認識すべきです。
ましてや場に複数枚見えている字など使い道がないのです。ゴミと表現しても差し支えないでしょう。
麻雀とは局単位で見れば、和了という絵合わせの速度を競い、その時の形によって貰える点数が変わるというゲームです。
未熟な人というのは、絵合わせにおいて非常に重要な牌理・牌効率といった部分に弱点を抱えています。そんな人でも不要な字牌を全て切り飛ばしていけば手牌13枚、ツモも合わせて14枚で戦えるのですが、「ゴミ」を持つことに注力してしまい手牌から使える牌が減ってしまったとしたら?
勝てる訳が無いんですよね。当たり前のことです。あなたはハンデ戦をやってるような立場じゃないんです。
字牌を持つことが第一目標になった結果、ここから3sを切る人もいるのです。その結果被った3sの縦受けは致し方ない裏目でもなんでもなく、素直に發さえ切っておけば起こり得ない裏目なのです。
そもそもこの手から發を残すことを強制されたとて、3sを打つべきなのかという点がありますが、その判断が出来ないくらい牌理に弱点があるのなら、なおさら字牌を大人しく切らなければなりません。意味のないミスを増やし、自分の首を締めるだけです。愚形フォローを外してまで持たなければいけない字牌など原則的には存在しないのです。
2.字牌を持っても守備力など上がらない
ここまでの話では自身の手組の話ばかりでしたが、そもそも字牌を持つ目的が違うのだと。自分は守備力を高めるために字牌を保持しているのだと。
そう主張される方もいることでしょう。
残念ながら字牌を右端に携えているだけでは守備力など上がりません。むしろ失点率という観点ではそちらの方が上がってしまうくらいです。
それは一体どういうことか。大きく2つの部分で説明していきます。
1つ目は字牌1枚ぽっちでは降りきることなど出来ないという点です。
例えばこんな場面。この手から降りを考えた時、後生大事に取っておいた南を切ってみたところで、終局まではまだまだたっぷりと巡目があります。
つまりこいつ1枚あったくらいでは放銃を避けられる保証など何もないのです。一発を避ける目的だとて、この牌図のように現物を持っているが故に字牌など必要としないケースもままあるのです。
そう考えると極論でもなんでもなく、字牌を保持することで守備力なんてものは大きく変わらないと気付くはずです。
2つ目は不要な字を持つことで手牌進行が遅れ、他家に和了抽選が発生してしまうという点です。
麻雀は自分が和了ってさえしまえば失点しないゲームです。裏を返せば、自分が和了から遠のく選択をすると、他家の加点チャンスを増やしてしまうことになるのです。
そうなるとツモられによる失点もありますが、相手がテンパイしている以上はどうしても放銃抽選というものを受けてしまいます。
未熟な人の失点が減らない、放銃率が下がらない要因はここにもあるのです。
2000点の1シャンテンのこの手牌。西を切らずに4p等を切って守備力を確保しようとしていませんか?これこそが一番失点に繋がる選択なのです。
この手は一刻も早くテンパイを入れ、和了抽選を受ける以外に守備力を確保など出来ないのです。速度を守備力に変換するという思考が必要なのです。
ここから西を残すことで、どれだけテンパイチャンスが狭くなり、どれだけ和了から遠のくのか。その結果相手にどれだけチャンスを与えてしまうのか
…それがわかっていれば決して選べない西残しなのです。
以上のことにより、未熟な人は字牌を持てば持つほど損をするというケースがほとんどです。だからこそ強者は指導する際に「字牌を切れ」と口を酸っぱくして言うのです。
守備力とは字を持つことではない
前項で字牌を持つことで守備力など上がらないというお話をしましたが、ではどうすれば本来的な意味のそれは身に付くのでしょうか?
麻雀における守備というものを、私なりに図にまとめてみたのでご覧いただきたい。
更なる細分化も出来ますが、ざっくりこんなとこでしょうか。
パッと見で分かりづらいところもあるでしょうから少し説明を加えると、まずは守備や降りという概念を知ることが大前提として、レベルの低いものほど先に覚えるべきことで、かつ戦績に与える影響が大きいものであるということを理解して下さい。
また赤線より上の部分は、相手がアクションを起こした時の対応。下はその前に先んじて行う対応であるということです。
この図を以てして何を伝えたいかと言うと、字を抱えるよりも、降りるべき手牌で降りを選択し、しっかりと安全な牌を打てるか否かの方がよほど失点機会を減らしてくれて、また戦績の向上に直結するということです。
この手牌、降りるべき手だと判断してキチンと7mや5pを打てていますか?中途半端に筋牌や対子の白に手を掛けていませんか?こういった手で図①のLevel1、2を理解し7mや5pを選択できないと、いくら字を抱えようが失点は減らないですし、勝ちを積み上げることなど出来ません。
簡単に見えて難しい
図①を見てもらえばわかるように、本来字牌を抱えながら手を進める手法は難易度が高く、また上手く使えたとしても戦績に与える影響は非常に小さなものです。
だからこそ絵合わせが怪しいレベルの人が安易に手を出してはいけないのです。抱えることによるロスが許容できるものかわからず一生損をし続けます。それならば最初からそんなもの考えない方がマシなのです。
ですがやってる事そのものは極めて簡単なのがまた厄介です。なんせ字牌を手牌の右端に携えておけばなんとなくの格好がつき、上手く打っているように振る舞えるのですから。
こういった安全牌抱えに限らず、麻雀でパッと簡単に真似できそうな手法は、その実使いこなすのが難しいということを覚えておくと良いことがあるかもしれませんね。
ちなみに強者がやる安全牌抱えは、基本的に守備のためではなく、形を崩さず押し返すための攻撃の一部として保持するケースがほとんどです。
戦うために多少のロスを受け入れる。この感覚そのものに対する理解と、どのくらいのロスが許容できるのか分からない内は触らない方が身のためですよ。
という訳で様々な視点から字牌を抱えることの愚かさをお伝えしたのですが、ご理解いただけたでしょうか?納得できない部分もあるでしょうが、当記事内で
「未熟な打ち手」
と認定された皆さん。騙されたと思って、無心で不要な字牌を全て排除して麻雀を打ってみて下さい。
攻守ともに良い結果が出ることは保証します。
それでは
※当記事内で使用した牌姿並びに全体牌図は「牌画作成くんbyその研」様及び「全体牌図作成くんbyその研」様を用いて作成しました。
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