か細く一点集中させる
「全エネルギーを一点に集中することが最も効率がいい」という言葉をよく目にする。
しかし、本当にそうだろうか。
私の好きな漫画に『ジョジョの奇妙な冒険』という作品がある。
ジョジョの第5部にクラフトワーク、という物体を固定させる能力が登場する。
その能力の持ち主は、「敵の弾丸を固定してエネルギーを溜め、弾き返す」という技を披露する。
ここで注目したいのが、“弾き返し方”だ。
少年漫画でありがちなのが、とにかく力で解決するというもの。
だから、私は固定した弾丸をブン殴って撃ち返すのかと思った。
しかし、そうではなかった。
あろうことか、指先でトントンしたのだ。
トントンして、ちょっとずつエネルギーを溜め、能力を解除することで打ち返した。
その時、彼は「一気にエネルギーを込めるとブレるからな。こうやってちょっとずつ動力を蓄積させていくのさ」みたいなことを言っていた。
なるほど、どうやらエネルギーというのは、一気に込めると“ブレる”らしい。
似た話にこんなものがある。
街の灯りは近現代に入って、煌々と夜空を照らすようになった。
大都市ともなれば、その消費量は毎晩何百万ワットにもなることだろう。
しかし、その明るさは月までは届かない。
エネルギーが分散して、四方に散らばってしまうからだ。
一方で、月に光を届けるために作られたNASAのレーザービームがある。
これに必要な電力は何ワットだろうか。
何百万ワットで届かないのなら、何億ワットだろうか?
否、答えは15ワットだ。
これはレーザー光が一点集中で束ねて発射されるから可能となる。
つまり、逆を言えば、一点集中するのであれば「弱い力」でも通用するのである。
私はこの以下の二点を述べた。
・エネルギーは一気に込めると“ブレる”
・一点集中するなら弱い力でも通用する。
つまり、何も人生を賭けた背水の陣だけが正解ではないということである。
むしろ、習慣的に積み上げた行為の方が、ロングスパンで見た時に上回っていることもあり得るだろう。
もし、やると決めたことがあるのなら、「毎日10時間」というやり方はお勧めしない。
体を壊す(ブレる)だろうし、多分に無駄が含まれているからだ。
「毎日」を念頭に置けるのであれば「10分」を複数回やるなどと言ったような、か細い一点集中の継続が長い道のりを切り開くだろう。