人の姿が少ないとこんなにのびのびしてるんだ。
今年に入ってから、写真撮影が楽しくなってきた。
いままでは、スマートフォンで写真撮影しても自分の撮影センスは最低だと感じていたけれど、ちょっとした工夫でちょっとだけ上達するのが楽しい。
そんなことに調子にのって、昔、父親からもらった一眼レフを引っ張り出してきた。
父は昔から写真撮影が好きで、私が子供の頃の写真も一枚一枚に、絞りとシャッタースピードなどがメモされている。
もちろんデジタルカメラの時代になってからはそんなことをしていないけれど、いまでも撮影機材とプリンターにはこだわりがあるようだ。
父が新しいデジタル一眼レフを買う時に、古いものを譲ってもらった。そのころは「写真なんて撮れればなんでもいいよ」と思っていたけれど、ほんの少しだけ知識をつかむと、自分で驚くほど写真が上手になった気がして気分もあがるということを今年になって体験することになった。
きっかけは、「人が少ない」こと。観光地である沖縄に住む以上、いつでもどこでも観光客であふれていて、海でも森でも誰かがいる。人が多すぎる景色に気持ち悪くなることもよくよくあった。
だが、この時代をきっかけに観光客が激減し、誰もいない海、誰もいない森の景色も気軽に手に入る。
そんな景色は、心なしかのびのびしていて、自然の中にいる生き物も落ち着いて生活しているように見える。
だからなのか、渡り鳥やイノシシ、花や果実など頻繁に目に留まるようになった。動物も植物も、人間におびえることなく、自由に春を満喫している。
暖かい日差しの中、カメラを持ってゆっくり散策すると思いもよらぬ美しい色に出会ったり、珍しい形のものに首を傾げたり、興味を引かれて調べてみたり、いろんな方向に意識が広がっていく。
この環境は、きっと今だけなのだろう。この穏やかな時間の流れに包まれていると、自然界は人におびえ、人もまた人におびえて暮らしてきたのではないかと思ってしまう。
元の生活に戻ることが良いのか悪いのか。意見は様々だろうけれど、大切にしたい景色が実はとても身近にあるものだと気がつかされた。
せっかくだから、その景色を写真に収めていくことを初めてみたい。
古いデジタル一眼レフのカメラ。もう一度、ちゃんと使い方を勉強し、出来れば撮影のコツも磨いていけたらいいと思う。
人の姿が少ない自然界の春。いまだから出来ること。レンズを通してこれから先の生き方さえも変化が見えそうな気がしている。