令和3年の住宅ローン控除は、ぐちゃぐちゃになっている

住宅ローン控除の変遷

令和3年の住宅ローン控除は、コロナ対策や経済対策でかなり複雑になっています。簡単に説明しているはずの国税庁のタックスアンサーも、理解するのが非常に大変です。

今回は、順を追ってなぜこんな状況になっているのか理解してもらいます。住宅ローン控除を受ける方は、どの制度の対象になるのか確認してください。

原則

原則

住宅ローン控除は、10年間毎年のローンの残高に1%をかけたものを所得税から控除するというものです。

この控除を受けるためには、要件があります。

●買ってから6か月以内に住み、その年の年末までに引き続き住む

●床面積が50㎡以上の住宅を買う

●住宅ローン控除を受ける人の合計所得は3000万円以下

また、控除を受けられる借入金の限度額は、4000万円までです。つまり、4000万円以上借入金があっても、4000万円×1%=40万円が上限となります。


認定住宅の場合

認定住宅


環境にやさしい家や長持ちする家を買った場合の優遇策として認定住宅のローン控除があります。こちらの要件は、住宅ローン控除とほぼ一緒です。

認定住宅に該当した場合には、控除を受けられる借入金の限度額が5000万円に増えます。つまり、5000万円以上の借入金がある人は、50万円が上限になります。

認定住宅かどうかはハウスメーカーに確認してください。長期優良住宅などであれば認定通知書などを発行してくれます。
  

消費税が増税により3年間プラスの特例

3年間プラスの特例

令和1年10月1日から消費税が10%に上昇したことにより住宅の買い控えが予想されました。そこで、消費税の増税の影響を緩和するため住宅ローン控除を手厚くする措置ができました。

具体的には、
令和1年10月1日から令和2年12月31日までに住む人は住宅ローン控除が通常の10年間に加えて3年間プラスできるようになりました。

(3年間のプラスの期間の控除額は通常とは異なります)

コロナの影響により年末までに住むことの要件が厳しくなる

3年間プラスの特例は、住んだ年の年末までに住むという要件がありましたが、コロナの影響で、令和2年12月31日までに期限通りに住むということが難しい状況になりました。

そこで、契約自体が令和2年にしていれば1年後の年末までに住むことでもOKになりました。(一定の証明書が必要)

●新築の場合、令和2年9月末までに契約

●建売などの場合は、令和2年11月末までに契約

していれば、令和3年の年末までに住めばOKになりました。


経済政策として3年間プラスの特例を延長

経済対策

本来であれば、令和2年に3年間プラスの特例は期限切れとなるはずでしたが、コロナによる経済悪化を防ぐという目的で1年延長になりました。令和3年の途中まで3年間プラスの特例は使えるようになりました。

新築の場合、令和3年9月末までに契約
建売などの場合は、令和3年11月末
までに契約し、

令和4年の年末までに住めばOKです

また面積要件の緩和がありました。合計所得金額が1000万円以下の人が床面積40㎡以上50㎡未満の住宅を購入した場合にも対象になりました。

面積要件の緩和

ということで、

令和3年の住宅ローン控除の注意事項は、

令和2年に買って令和3年から住み始めた人も3年プラス措置の対象になる場合がある

令和3年の11月(新築は9月)までに買った人は3年プラスの措置が使えるが、令和3年の12月(新築は10月)以後買った人は3年プラスの措置が使えない

令和3年の11月(新築は9月)までに買っていれば面積が40㎡以上でも対象になる


ということがあります。とてもややこしいですね。間違えないように注意しましょう。

参考 改正後の内容

参考までに、令和4年の税制改正大綱の内容を貼っておきます。
これも複雑なので、次回説明します。

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