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PBR1倍割れ解消推進ETF(2080) 考察


(アイキャッチ画像は、請求目論見書の表紙を使わせていただきました。)

シンプレクス・アセット・マネジメント株式会社(以下:シンプレクス)が2023年9月6日に設定した東証上場ETFに資金が集まっていると知り、ちょっと考察してみました。

PBR1倍割れ解消推進ETF、銘柄コード2080です。
設定から1ヶ月に満たないETFですが、既に純資産が140億円を超えています。
東証上場ETFの多くは売買高が乏しいですが、このETFは2023年9月下旬以降、コンスタントに7桁以上あり、流動性も現時点では十分でしょう。

nikkei.comより

このETFはいわゆる「アクティブETF」です。
インデックス連動を目指すものではありません。
2023年6月30日に制度改正があり、東証でアクティブETFの上場が可能となりました。
このETF以外にも数本のアクティブETFが既に上場しています。

東証のアクティブETFにおける「アクティブ」は、一般的に使われるアクティブ運用におけるアクティブの意味合いより幅広く、インデックス運用以外の全てを含める意味となっています。

英語名が興味深い

このETFの日本語名は既にご紹介した通りですが、英語の名前が個人的には面白かったです。
"PBR Improvement over 1x ETF"といいます。
PBR1倍以上に改善ETF とでも訳せばいいでしょうか。
1倍割れ解消と意味が違うわけではないのでしょうが、英語名になんとなくポジティブさを感じました。

言わずもがなだが日本株にはPBR<1 銘柄が多い

このnoteを読んでいらっしゃる方ならご存じの方が多いと思いますが、日本株にはPBR1倍割れ銘柄が多数あります。
東証プライム上場企業ですら、4割以上がこの状況に該当するそうで。

そのPBR1倍割れ企業に、「何とかしてもらいたいわ」と東証が働きかけたことを読者のみなさまはよくご存じでしょう。
その点につきましては、BFP投資研究所さまのwebsiteで既に書かせていただいていますので、詳しくはそちらをご覧ください。

このETF設定の意図は「投資家の力で日本経済と日本の株式市場を復活させたい」(シンプレクス社websiteより)だそうです。
なるほど。

銘柄選定手順

目論見書からお借りしました。
PBR1倍割れなら即組み入れというわけではなく、利益水準や流動性を考慮した銘柄選定を行っているようです。

PBR1倍割れ解消推進ETF 交付目論見書より

PBRが1倍を超えた銘柄はどうなるの?

筆者はこのETFに対して、このような疑問を持ちました。
交付目論見書には次のような記載がありました。

「投資した銘柄のPBRが1倍を超えた場合、当該銘柄の株価動向やファンダメンタルズ、市場の状況などを総合的に勘案した上で保有を継続するか、売却するかを決定します。保有を継続した場合、PBR1倍を超えた状況が長期にわたって継続する銘柄を保有することがあります。
上場株式におけるPBR1倍割れの解消が大いに進んだ市場環境においては、PBRの水準ではなく、PBRの更なる上昇が見込めるような、資本コストと株価を意識した銘柄のなかから、利益水準や有価証券報告書およびその他の開示情報、取引所における流動性等を当社独自の観点から総合的に勘案し、投資銘柄を選定します。」

というわけで、PBR1倍を超えたからと言って「即除外」になるわけではないようです。

信託報酬率など

信託報酬率は年0.99%(税込)です。
その他の費用については、交付目論見書をご参照ください。
決算は年に1回です。
ETFでも投信でも、目論見書を読んでから取引しましょう。

PBR1倍割れ解消推進ETF 交付目論見書より

組み入れ銘柄考察

組み入れ銘柄と保有株数は、シンプレクスのwebsiteで毎日公表されています。ただし、銘柄コードは載っていても、銘柄名はないので、興味があれば自分で調べる必要があります。
2023年9月28日現在の組み入れ銘柄を少し考察してみました。
460銘柄が組み入れられています。
上位30銘柄に関して、筆者が情報を補足した結果が以下の通りです。
緑で塗った項目は筆者が追加しました。保有額は株数×株価で求めています。ウエイトは全銘柄の合計に占める割合を計算していています。
時価総額は発行済株式数ベースです。
PBRは2023年9月29日現在です。

シンプレクス社公表データを筆者が編集

この30銘柄でウエイトの合計が約57%です。
プライスの半分以上の要素をこの30銘柄で決めてしまっている感じです。

目論見書に明記は無いように見えましたが、事実上の時価総額加重平均運用で、さらに1銘柄のウエイト上限を5%にしているように見えます。5%以上にしてもよいのなら、三菱UFJFGの時価総額はホンダのそれの2倍近いですから、ホンダよりウエイトが高くなっていいはずだと思いますので。
加えて、三菱UFJFGとホンダの株価の上昇が他銘柄より著しければ、このETFではウエイトが5%を超えないような形で買われない、あるいは売却の可能性も感じます。
この辺りはご興味がある方は毎日変化を眺めるといいでしょう。

銀行、生保、損保、証券といった金融銘柄が目立ちます。
PBR1倍割れの大型銘柄には金融銘柄が多いということですね。
金融銘柄が軟調な時はこのETFのパフォーマンスは芳しくなさそうです。

関西電力と中部電力が組み入れられていたので、東京電力(9501)は組み入れられているんだろうかと思い、460銘柄の中から検索してみましたが、PBR=0.51倍で時価総額が1兆円を超えていても組み入れられてはいませんでした。

こんな人に向いていると思う

PBR1倍割れ銘柄で、それなりの業績の銘柄に投資したいけど、いちいち自分で調べるのが面倒な人、でしょうか。
その点に年1%程度のコストを支払う気があるなら、悪くないかもしれません。
1口単位で取引できるので、気軽ではあります。
インカムを追求する方よりはキャピタルゲインを追求する方に向くのではと考えます。

おせちーずなら

自分は460銘柄は少し多すぎる印象があります。
なので結構な額を投資してみたいという気にはなりません。

構成銘柄はある程度ふるいにかけられたPBR1倍割れ銘柄だと思うので、銘柄リストは投資の参考になりそうな気がします。
この記事に載せなかったウエイトランク>30には、自分が持っているものがちらほら見えます。決してPBR1倍割れだから買ったわけではないですが。


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