JTのサンジェルマン売却を読み解く
2022年9月15日、JT(東証プライム:2914)は連結子会社のベーカリー運営会社「サンジェルマン」を売却すると発表しました。
筆者は既にJT株を全部売却して持っていないので、JTの業績には興味はありませんが、「サンジェルマン」はかつてちょくちょく利用していたパン屋だったので、なんとなくなじみがあって、リリースを読みました。
約20年前に食品事業を強化するために買収した企業です。
リリースを読んでわかったことは、「パン屋、経営キツイ」です。
その理由をここに書きます。
これが、リリースに掲載されていた「サンジェルマン」の概要です。黄色くマークしたのは筆者です。このリリースでわかることは
・少なくとも3期連続営業、経常赤字企業である
・1株当たり純資産が少なくとも3期マイナスなので、3年以上前から債務超過に陥っている(純資産=資産ー負債 なので、純資産がマイナスということは負債が資産より多いことを意味する)
・2020年12月に最終赤字に転落、まだ復活できていない
などです。
2020年12月期の大幅な赤字は、COVID-19による行動制限や営業自粛などのせいでしょうか。2021年もそれを引きずっているようには見えます。
2022年に入ってからの業績はわかりませんが、筆者は少なくとも営業利益はもっと悪化していると思っています。原材料費の高騰の影響を少なからず受けているだろうと思うからです。
残念ながら「サンジェルマン」はJTにとってお荷物な会社になっており、売却先を探していたんだろうと思います。
「サンジェルマン」に限らず、大都市に店舗が多いパン屋は似たような経営構造になっているんじゃないでしょうか。
首都圏に店舗が多かった「北欧」も閉店したように記憶しています。
原材料価格が上昇しても価格転嫁をしづらい日本では、先行きの明るさを見出しづらいのかなと思います。
さてJTは「サンジェルマン」の株を計算すると1株39万円で「クリエイトレストランツHD」(以下:クリレス)に売却するようです。
1株当たり純資産が2021年末で約-65万円の株を1株39万円で買ってくれる相手があるのはありがたいということなのでしょうか。
クリレスのリリースによると、「サンジェルマン」株取得までに、純資産のマイナスは解消される予定だと言います。
株式譲渡までに、負債をある程度JTが処理するということかもしれません。
クリレスが、赤字企業だった「サンジェルマン」をどう料理するのか楽しみですね。