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形から入ることの大切さ

「まず形から入る方です」なんていうと、ちょっと冷やかされたりしがちです。微笑ましい感じもありますよね。僕は「形から入る」って、すごく合理的なことだと考えています。

初心者なのに道具がすごい人

「形から入る」って、どんなパターンがありますかね?

僕が思い浮かぶのは、まだ初心者なのに、すごい良い道具を買いそろえたりするパターンです。自転車でも釣りでもポッドキャストでも、まだほとんどやったことがないのに、一流の高価な道具を買いそろえてしまう。そうすると周囲から、

「もう、形から入っちゃって〜」

などと冷やかされたりするわけです(笑)。初心者だと経験知や技術がありませんから、それらの道具をうまく使いこなせなかったり、その姿が見慣れないために「しっくり来ない」感じが自他共にあったりするでしょう。

良い道具は誰にとっても良い道具

これはジャンルや道具によって異なりますが、世の中には上級者には使えるけれど初心者にはまったく使いこなせない道具があります。一方で、多くの場合、良い道具は初心者にとっても良い道具です。

例えば、僕は長年ギターを弾いたり頼まれれば人に教えたりしていますが、初心者の人が高級なギターを買うのは、良いことだと考えています。なぜって、良い音が鳴るからです。

もちろん、初心者のうちに、そのギターのポテンシャルを活かすだけの鳴りが出せるかというと、余程適性のある人でなければ無理でしょう。でも、鳴りの悪い粗悪な楽器を鳴らすのは、さらに難しくなります。
弘法筆を選ばずと言いますが、技術があるから粗末な道具でも使いこなせるという場合が多いのではないでしょうか。

形から入るっていいよね!

というわけで、僕は「形から入る」というのは「あり」だと考えています。もちろん例外もあるとは思いますよ。でも、ざっくり言えば「あり」だと思うのです。

「高価な楽器を買って結局弾けずにやめたら無駄になる!」

みたいな批判もあるでしょう。お金が全然ないなら、そもそも高価な楽器は買えない(買わない)はずですから、あるお金を使ってそれが無駄になったからって何なの? と思います。確かに眠らせたり捨てたりしたら無駄にも程があるので、メルカリや中古店で売りましょう。

そんなことより、形から入って「なんか、やれそうな気がする!気分的にはいけてる感じ!」みたいな方が、楽しいと思うのです。

やれそうなリアリティを生きる

「形から入る」ということは、「リアリティから入る」ということでもあります。

  • 初心者で、道具も姿も技術もつたなくて、無理そうなリアリティ

  • 初心者だけど、形から入っていて、やれそうなリアリティ

この2つのリアリティを比べると、後者のリアリティに身を置く方が、きっと色々なことがうまくいったり、難所を乗り越える力が湧いたりするのではないでしょうか。

また、「出来ているかのような感じ」で取り組んでいると、自然に目線が高くなります。初心者のことを上級者が揶揄する(初心者マークのドライバーを煽るみたいな)ことは世の中によくありますが、本当にくだらないと思います。

というわけで、「形から入る」のも結構よくない? というお話でした。

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長田英史(おさだてるちか) / NOT SHIP
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