ダメ女無限あるある映画『若い女』

個人的に泣きたくなる映画だった。
なんで私のこと知ってんの?焦る。


※この記事は映画『若い女』のネタバレと自分語りが含まれます。


主人公のポーラはとにかく破天荒な女。退屈な普通の人生がイヤで、実家を飛び出し10年間写真家のカレシと同棲、そして捨てられる。
ララランドのエマストーン(役名忘れた)も「普通の人生」を捨てた女だったけれど、エマは夢を選んだ結果であり、この映画の主人公とは違う。ポーラはもともとメチャクチャな人間なのだ。

ポーラの彼氏は20くらい年上(確か )で、ポーラを被写体にしていた。 いきさつはわからないが、ポーラを捨てて、もっと若い女を家に連れ込んで被写体にしてる。

若い女だ。
(男)社会が作り出した幻想。「若い女」でいるうちは人間じゃないからあらゆる苦痛から解放されるが、そうでなくなったら、違う意味で人間じゃなくなる。
この映画は、主人公のポーラが「若い女」から 人間になろうとする映画なんじゃないか。

ちゃんとした人生を送るためには、一段一段階段を登るようにイベントをこなすしかない。はたと気がついて 周りを見渡し焦ったって、すぐみんなと同じものを手に入れるなんて無理なのである 。
生きてくためにシッターや販売員をやっているのに、他の人は学生で論文書くのに忙しかったり、他にちゃんと本業があったりする。私がしがみつかなきゃいけない仕事って軽い仕事なの?私って問題外な存在なの?
ポーラはずっと、 ちゃんとした人達から弾かれた存在だったんだろう。今まではそういう状態が心地よかったのだろうけど、いざ仲間入りしなければとなった時にいきなり悲しい現実に直面する。

ハチャメチャな自分はちゃんとした人とは違うんだと自覚していて、だからポーラは学生をやってると嘘をつく。
バイトで嘘つくって悲しいよね〜自分で自分を否定して、殺してる感じ。なぜそこまで言うかって、私も嘘をついて雇ってもらってたことがあるからだ。(隙あらば自分語り)自分の中では筋が通ってることでも周りの理解は得られなさそうだったから嘘をついたんだけど、つらかった。みんなもわりとあるあるな経験なんだろうか。

自分語りついでにもうひとつ、ポーラがクラブ行って何度か男の人から性的なアプローチを受けるのだけど受け入れられないところも見ていてズキズキした。わかる、わかるよ〜しっちゃかめっちゃかな人間だけど、性に奔放なのとは違うんだよね。
私も一時期キャバでバイトしたりしたけど、結局馴染めなかった。しかもそこでも嘘ついてたから友達もできなかった。散々である。

あとあるある場面と言えば、面接でありもしない長所を並べ立てるシーン。きれい好きで〜!計画的なのが長所です!計画的だったらこんなバイトの面接受けてないんだけどね。面接って自分を売り込もうとするあまり並べ立てる自分像が別人になるの、あるよね〜〜〜!就活中の身として見ててすごくつらかった。自分もあんな感じです。「コミュ力が強みです」って口で言ってんのに態度はガチガチみたいなね。ポーラも「きれい好きです!」って口で言っても髪はボサボサ。傍からみると滑稽ですなあ。

それと、意味もなく大学に居たがるのもあるあるすぎる。学生って、なんとなく将来のために頑張ってるような身分を得られるからね。しかも行きたい学科が文学て。マジで考えゼロである。私も意味もなく院進したがったりしました。ダメ女のあるあるが無限に出てくる映画、『若い女』。
「で、卒業したあと何がしたいの?」は一番聞かれたくない言葉であり、一番もっともな言葉である。

たぶん、ポーラが彼氏のインスピレーションの源であるのは本当なんだろう。あんなにハチャメチャな女性は唯一無二だ。ADHD的な感じなのかなとは思うけど。音楽家にとってのミューズというか、そんな感じなんだろう。しかし、それは所詮人間じゃない。ポーラが最後に下した決断は、人間になろうという宣言、「真面目に人生やってかなあかんな」という気持ちの表明なのだろう。
女だって人間だ。人間だから、人生をやっていかなきゃいかんのだ。

一番いいなと思ったシーンは、
「騙してなんかない!叩いてくれたっていい」

即ビンタ

即ビンタ返し
のシーン。マジで最高の女だな。
変なおしとやかさが全く無くて、常に自分に素直なのがポーラのいいところだ。
友達もいるし、ちょっと好きな人もいるし、懐いてくれるこどももいたし、お母さんともなんとかやっていけそうだし、
ポーラはきっと大丈夫。人生をやっていけるよ。

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