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高校生が遊戯王にハマった物語 〜第三章 倒さなければならない相手〜
これは前回の続きになります。まだ見ていない方は前回までの話を見てからにしてください。貼っておきます。
最大の敵は経済事情
ショップ大会に初めて参加し、世界の広さを知った私たち野球部員は、更なる強さを求めました。
「強い相手に勝つには、強いデッキを作るしかない」と、まずは環境(今強いデッキはどんなデッキなのか)について調べます。当時力を持っていたのが、
・デッキのカードを融合するというスーパーインフレ融合デッキである【シャドール】
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・新たな召喚方法ペンデュラム召喚とトラップによる妨害を駆使する【クリフォート】
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・力こそ全て、攻撃力こそ全て、墓地を肥やして強い奴を出せばいいじゃない、の【征竜】
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これら3つのデッキだと記憶しています。ここで忘れてはならないのが、“強いデッキを作る”=“お金がかかる”という図式です。需要があるからコストがかかるのです。
私たちはアルバイトもせず日々野球に励む高校生、集めるのはかなり無謀な試みでした。
歴史を変えた、T君の行動
環境デッキは作れないまでも、各々作れる範囲の中堅デッキを作っては戦っていました。けれども、(あのカードが買えればもっと強いのになぁ、、、)というやるせない気持ちは全員が抱えていました。
そんなある日、いつものように練習前に部室に集まると、「【マドルチェ】デッキを作りたい」と常々呟いていたT君が衝撃のカードを見せてきました。その名も、クイーンマドルチェ・ティアラミス
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このカードは、当時1枚1000円以上する代物です。高校生にとっては、みんなとご飯に行くのを一回我慢しなければならないほどの大金です。信じられない話ですが、T君はそれを買ったのです。
別に私たちだって、1000円のカードを買うくらい不可能ではありません。やろうと思えばできました。なぜしなかったのかといえば、一度それに手を出せば、もう後戻りはできないというのを本能で感じていたからです。一度叙々苑の味を知ってしまうと、もうチファジャでは満足できなくなるのです。
高額カードを1枚買うということは、デッキを完全体にするという覚悟の現れなのです。
こんなことを言うと怒られそうですが、T君は一人っ子で、お小遣いの額もズバ抜けていました。
大遊戯王時代の開幕
T君の行動を皮切りに、「じゃあ俺も」「じゃあ俺も」と歯止めが壊れました。お年玉の影響もあり、皆が皆、環境デッキに手を出します。ちなみにT君はお年玉の額も圧倒的でした。
結果出来上がったのが最強の7人です。七武海と呼んで頂いて構いません。紹介します。
①言わずと知れた環境融合デッキ、【シャドール】使いのN君
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②当時環境を席巻、儀式召喚の可能性を極限まで高めたデッキ、【影霊依】使いのJ君
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③ペンデュラム召喚【クリフォート】、スーパードロー【暗黒界】使いのS君
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④【マドルチェ】だけでは飽き足らず、さらに環境作ります、【テラナイト】使いのT君
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⑤圧倒的妨害ダークロウを要する【HERO】使いのO君
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⑥レベル10モンスター並べてエクシーズ召喚、【列車】使いの私
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⑦【Xセイバー】はもう終わり、様々なデッキに有利となる【ヴェルズ】使いのY君
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デッキを作るという意味では、これ以上強くはなれません。私たちは来るとこまで来ました。それぞれ3軍くらいまではデッキがありました。私なんて8軍までありましたよ、気づけば高校3年生になっていました。
そんな私たちには倒さなければならない相手がいます。世のデュエリスト達です。遠い昔、最強だとたかを括っていた私たちを完膚なきまでにボコボコにした、カードショップにいるデュエリスト達です。
シャボンディ諸島で鍛え続けた私たちを、もう誰も止められません。決戦の地、ショップ大会へ向かいます。
第四章をお楽しみください。
第四章↓