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心の熱源からエロスを探る
本題
突然ですが、皆さんはエロスを感じているでしょうか。
※ここで言うエロスとは
「心が熱を帯びる感覚」です。
例えば、初めての映画館でポップコーンを片手にスクリーンに噛り付いた時だったり、初めての動物園で生の猛獣たちを見た時だったり、初めてのスマートフォンを起動させた時だったり、出先で利用した施設にセブンティーンアイスの自販機があった時だったり。
そんな懐かしい感覚から最近感じたちょっとした興奮まで全部ひっくるめてのエロスです。
何個か体験を思い出してみると、どんなジャンルにしても「初めて」が強いエロスを帯びている事が分かりました。
しかし、歳をとればとるほど「初めて」は減っていき必然的にエロスを感じる機会も減っているわけで…
人生を色鮮やかにし、心に熱をもたらしてくれる「エロス」
それは人生の可能性。
エロスで溢れていた幼き頃のあの世界を取り戻したい
そんな、劇場版クレヨンしんちゃん~嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲~みたいな事を考えていた時、それなら今も感じるエロスを分析していけば世界は色鮮やかに蘇っていくのではと思い至りました。
そうと決まれば、ここ数年で強くエロスを感じたものを分析するしかない!
・レインボーブリッジ
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最早おなじみ、東京湾に架かる大きい橋。
構造が特殊で、首都高が通る上層と、一般道・ゆりかもめ線路・歩道が通る下層の二層構造になっている。
個人的に良いなと思うのはその諸般の事情を感じさせない美しいデザイン。
芝浦(橋西端)側に見える丸い輪っか(ループ線)は一見すると不要にも見える謎の箇所ですが、これは橋とそれにアクセスする道の高低差を解消するための構造。
ではなぜその輪っかが必要なほどに橋を高くしたのかと言うと、大型客船が橋の下を通行できる高さが必要だったためであったり、吊橋の形状は飛行機の航路との兼ね合いで高度制限があったため等々、とにかくデザインに込められた情報量が多いのが最高。
何不自由なくすべてが理想通りに完成したわけではなく、様々な制約に締め付けられながらも拘りを忘れず膨大な情熱を込めて架けられた橋。
そんなレインボーブリッジが東京の象徴として今も愛されている事実まで含めて、シンデレラストーリーか?と見紛うほどに完成度が高いのです。
これにエロスを感じず逆に何で絶頂すればいいのか。
・晴海客船ターミナル
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※この施設に関しては、現在取り壊し中と言うのが多大なるバフ(強化)に
なっている前提での紹介です。
かつてはコミケ等のイベントが定期的に開催され賑わっていたこの施設も、イベントの開催ではより新しく大規模な会場が使用されるようになり近年のパンデミックでは海外からのクルーズ船の来港が0になったりで利用客が極めて大幅に減少。
閉館までの数年はそのアクセスの悪さも相まってか不気味なほどに閑散としていました。
最早、一度壊して建て直した方が予算的にマシという不思議な状態で維持されていたこの施設ですが、東京オリンピック開催に伴い近辺の整備が進みこの施設は解体されることが決定。
跡地にはほぼ同用途の施設が建設しなおされることになりました。
結末も相まって何とも哀愁漂うこの施設ですが、眺めは中々の物で東京湾のビル群を一望することが可能でした。
更に平成初期に建設されたためか全体的な構造が特殊でトイレ一つを取ってもテーマパークのような愉快さ感じられるデザインで、閑散とした施設内では翻って不気味さすら放っていました。
そんな、叫びたくなるような興奮ではないものの、当時の情景や思いをしみじみと想起させてくれる「出汁」のようなエロスを持ち、そこに消えゆく儚さの相乗効果。
肉は腐りかけが一番美味しいと言いますが、建築物も壊れる直前が一番美しく感じてしまうものなのかもしれません。
・惜しくも選外
他にも、川岸に対して垂直に架かっていないためどの角度から見ても若干の歪みが生じて不完全な感じが愛おしい豊島橋や
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ライティングの色合いがみかんみたいで可愛い新大橋
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あとはあまりの存在感と堅牢さで目の前にするたび圧倒される
東京ゲートブリッジ
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なお対岸の中央防波堤へは歩道が完全開通していないため完全な一方通行。
等様々な橋が候補にあがりましたが、要素を抜き出してみるとどうもレインボーブリッジ等他の物との被る部分が多かったので今回は割愛。
・ウツボカズラ
建造物以外で言えば最近愛を注いでいる食虫植物ウツボカズラの、我が家に来て苦節一年やっとこさその姿を見せてくれたツボなんかもあります。
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植物が独自の進化を遂げて食物連鎖の逆転を起こしたそのガッツであったり
このツボが実は葉っぱが変形したものであること、更にはウツボカズラの中にもたくさんの種類があり生息域に適した進化を遂げてバリエーションが豊富な事など調べれば調べるほど衝撃と発見があり興味が尽きない最高の趣味です。
そして何よりそのシルエットは自然にできるモノとは思えない程不気味で芸術的でエロティックなのです。
大好き。
そして、他にもまだまだ無数に候補はありましたが、そんな中でも総合的に一番エロスを感じたものとなるとやはりこの橋。
・潮風橋
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東京の品川区東八潮、お台場を通り過ぎた先っぽにひっそりと架かる橋。
4,5回程は渡ったことがありますがこの橋は何度渡っても大興奮できます。
まず何といっても、縦横無尽あらゆる角度にアーチの曲線美が見られ滑らかさを感じるそのシルエット。
橋の片側に見えるアーチ構造は反り立っていて胸を張っているようにも見えどこか誇らしげ。
見事にアーチを描きせり出した橋桁からは東京湾と大井ふ頭のキリン達
更に遥か彼方には千葉の大地も見える眺めの良さ、そしてそれを美しく演出し視線を誘導するようなアーチの描き方、果ては片側のみ塗られた白線すらも美しいアーチに対するこだわりが感じられ、無数の曲線による統一感が脳細胞にスパッと魅力を伝えてくれます。
本当に大好きな橋なのですが、単純な魅力で考えるとレインボーブリッジやゲートブリッジに分があるはず。
でもなぜか、本能的にこの橋が好きで好きでたまらないのです。
橋のビジュアルは勿論、橋の架かっている環境なども含め全てが愛おしい。
~𝑳𝑶𝑽𝑬~
まとめ
ここまで挙げたエロいもの達の要素を吸いだしてみると
・「橋」もとい建築物である点(一部例外あり)
・晴海客船ターミナルやウツボカズラのように取り壊しや時間経過で
朽ち果てたりと刹那的である点
・レインボーブリッジの構造やウツボカズラのツボの造形のように
合理的な面や不自然(不気味)さを併せ持つ点
辺りでしょうか。
そして、要素を纏めている最中に気付いたのが
恐らくこれらの要素の中で最も重要なのは「不自然」の部分なのではないかという事。
何を見て何を知って感じて好きになるとしてもまず最初にきっかけとなる不自然さ、言い換えるなら違和感、疑問に感じる部分がない事には興味は生まれないのだと。
今回紹介した橋や施設にしても、他とは違う特殊な構造から違和感を覚え
文献や資料を読み込んで知識をつけ、その上で改めて観察することで魅力に引き込まれた部分が大きいのです。
しかし、これらの要素を満たしているものが無条件にエロス発生源になるかと言えばそうではないはず。
何より、今回最も魅力的と紹介した潮風橋は例外的に上記の「刹那的」であったり「不自然」等の要素をあまり満たしていないようにも感じます。
もちろん、感受性と言うものは非常にあいまいでその日の天候や時季であったり心身のコンディションによっても大きく左右されるので、タイミングが違えば別の物がNo.1に踊り出る事もあるかもしれませんが…
ここまで自分なりに深くまで興味を掘り下げてみたものの、いまいちはっきりとした答えにはたどり着けず中途半端にエロスへの欲求が深まるばかり。
この、日々湧き出る溢れんばかりの欲求を満たすものは一体どこに…
……あぁ…もう、子供の頃のような色鮮やかで期待に満ちた世界にどっぷり浸かることはできないのか……
…そう思うと段々と視界がモノクロになる~
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あんなに好きだった潮風橋でさえ
…………
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…!
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………!!!!!
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あれは…!!!!
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セブンティーンアイスの自販機だ!!!!!
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チョコミント!!!!!!
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溶けまくる!!!!!!
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美味しかった~
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棒の穴から撮る太陽漫画みたいで面白~
真夏の屋外でも手軽にキンキンに冷えたアイス食べられるの最高か?
つまり、
「刹那的」→アイスは溶ける
「不自然」→夏なのにキンキンのアイス、持ち手の不思議な構造。
という事か。
ああ…
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おわり。