我が子が幼い時代の音世界-5度の気分の子育て
2022年になりました。
新年あけましておめでとうございます。
アドベント、クリスマス、そして聖十二夜と続く暦をいかがお過ごしでしょうか。
私の住む大阪の北端、三島郡島本町は、珍しく雪景色のお正月でした。
それでも冬至を過ぎて、少し長くなった日差しのなかに早くも春を感じる瞬間があります。
12月は私の持つ小さなクラスでもアドベントスパイラルの行事を開催し、私なりに大きなエネルギーを使いました。今はホッとしていますが、なかなか公式LINEなどお送りできずにいましたことをお詫びいたします。
普段はできるだけ読んでくださる方のお役に立てるようにという思いがありますが、今回は冬休みということで、私も好きなことを書いてみます。笑
題して、私がシュタイナー教育を好きになった大きな理由。
それは、「9歳までは5度の気分、9歳以降は3度の世界へ」というユニークな人間観です。
この一点は私の子育ての軸になりました。すっきり明快。笑
5度、3度というのは、音と音のインターバルのこと。
もし身近に鍵盤楽器があれば鳴らしてみて下さい。
ド と ソ。
次に
この間に、ミ を入れて下さい。
さらに、ミ から指を離して、黒鍵のミ を鳴らしてみて下さい。
最初のド-ソが5度の世界、
ドミソおよびドミ♭ソが3度の世界です。
何か違うのが感じられるでしょうか。
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5度は、どこかぽかんとしたような、例えて言うならば屈託のない青空のような感じがしませんか。
対して3度の2つには、明るさと暗さ。嬉しさと悲しさ。のような異なる感覚がありませんか。
シュタイナーはこの2つを、9歳を境とするそれぞれのこどもの在り様としたのです。
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そこには、
おともだちの誰かが笑えばみんなが笑ったり、誰かが泣けばみんなが泣いたりすることもある。周りとの境界線がまだ曖昧な幼い子たちと。
心の内面が豊かに育ちだし、自分と周りとの違いを感じ取れるようになる、少しお兄さんお姉さんになった子たちと。
その違いがあります。
これは私自身の子育てと、乳幼児さん、園児さんに関わる仕事をしてきた中で、明確に実感していることでもあります。
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発達過程がそうであるならば、環境もそれに近しくしたいな。
そう感じて、私は下のこどもが4歳頃になるまで自宅ではほとんどデジタル音源のない状態で過ごしました。
知識を根拠に、そうしたいと思ったよりも、小さな息子や娘の顔を見ていると、本当は聴きっぱなしくらいに好きないろいろな音楽を聴く気にならなかったのです。
空間にあったのは、基本的には音楽は私の歌と小さな楽器。
窓を開けると耳に聴こえる風の音、鳥の声。
下の子が4歳を過ぎる頃には上の子が9歳、少しずつ音源からの音も生活の中で聴くようになりました。
そして、ピアノを弾くことを再開しました。
どの時代も、シュタイナー園などで使われる5度のうたも、よく歌っていました。
この5度のうたは、耳慣れないうちはとても不思議な感覚に陥るメロディーです。
昔からあったものではなくシュタイナー教育が始まってから作られたそうです。
よく、わらべ歌との共通点を言われるのですが、わらべ歌とも違います。
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我が子たちはいま、15歳ともうすぐ10歳。
私のせいで笑、随分いろいろな音楽を聴く時間が増えました。
クラシックにミュージカル、ソウル、ロック、ポップス。ああ、楽しいです。
ママは、あなたたちとは別の人格を持つ人間なんだよと、伝える手段とも思っています。
でも、我が子たちがいちばん幼い時代の、静かな、静かな時間が、私は大好きでした。
静かな雨の日。お昼寝をする我が子の寝息だけが聴こえるような。
そして今ももちろん、そんな時間を大切にしています。
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昨年まで勤めていたシュタイナー園で、5度の世界の中に浸らせていただく勤務日は、それはそれは幸せでした。
園で撮ってもらった写真をみると、ああ、5度のなかにいるなと思うのです。笑
いま、受け持つクラスの子たちは小学校1、2年生なので、5度の世界から3度の世界へ少しずつ歩む彼らの世界を私も楽しませてもらっています。
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今年も、「小さくとも、まずは行動してみる」との言葉を指針に活動していきたく思っています。みなさまとの出会い、再会が楽しみです。
どうぞよろしくお願いします。