建築プロジェクトの流れ(後編)
こんにちは。清水オサムです。
前回に引き続き、事業者視点の建築プロジェクトの流れ、プロジェクトフローについて書いていきます。
1.前編おさらい
おさらいです。
建築プロジェクトのフローは、大きく
① 基本構想
② 基本計画
③ 調達
④ 設計
⑤ 施工
⑥ 運用
の6つのフェーズで進められます。
プロジェクトフローを木にたとえて
① 基本構想は、木の根っこ・木をささえる土台で
② 基本計画は、木の幹となり、
③ 調達で、方法・ツール・パートナーを選ぶ、
ここまで、お話ししました。
それでは、建築プロジェクトの流れ(後編)です。
調達フェーズで、発注方法、設計・施工のパートナーが決まったところからです。
2.プロジェクトフロー
④ 設計
建築設計の専門家が、基本計画書をもとに、要求条件を満たし性能と品質・意匠・構造・安全性・遵法性を確保した建物を図面化していきます。
美しい花を咲かせ、おいしい果実を実らせる準備、プロジェクトの枝葉を整えるフェーズ。
構想を具現化してくれるのが設計者です。
初めの段階で、しっかりコミュニケーションを取り、時間をかけてプロジェクトのコンセプトや思いを共有するようにしましょう。
基本設計、実施設計と徐々に詳細な内容に進みます。
各段階で提示される図面や仕様書が、要求条件に沿っているか確認。
適合していない場合は、まだ、コンセプトや譲れない条件などが設計者と共通化できていないのかもしれません。
あらためてじっくり話をして、計画・設計内容を見直していきましょう。
環境の変化により、先に述べたQCD(Quality:品質・Cost:コスト・Delivery:スケジュール)のいずれかを満たせなくなることもあります。
事業シミュレーションで描いた悲観シナリオよりもダウンサイドの状況になってしまったら…
このあと、施工フェーズでの修正は、コスト・スケジュールに与える負荷が大きく、プロジェクトの成否に大きく影響します。
現場が始まってからの変更は大変です。
時として、勇気をもって、立ち止まったり、前のフェーズに戻ることも必要です。
⑤ 施工
施工者が、設計図書をもとに、工事費見積と施工に必要な詳細図面を作成、工事を実行していきます。
着工から、工事が完了し引き渡しが行われるまでのフェーズ。
■工事管理
建築工事は、設計者・施工者、施工監理者等の専門家により品質や安全を担保するよう進められていきます。
われわれ事業者は、ここでも工事がQCDを確保しているか、現場が基本構想/基本計画に沿って作られているか確認し適宜修正をおこないます。
これらを確認するための主な書類は次のとおりです。
図面や現場は可能な限りたくさん見て、たくさん意見をした方がいいです。
建物を運用するのは事業者であり、その視点でないと見えないものが図面や現場にあるからです。
■竣工検査
工事が完了、官庁や専門家の検査ののち、事業者による検査を行います。
運用者の目線で、仕上げや各部位の品質・設備の機能など、最後の確認をします。
自分や顧客が使用している状態を想定して、建物内を歩き回り、部屋の出隅や入隅・部材の小口の状態、ドアの開閉やスイッチのオンオフなどなど、手や目や耳で確認していきましょう。
違和感を感じたところはきちんと指摘、しっかり直された状態で引き渡しを受けたいです。
■引渡し
検査指摘事項の是正が終わったら、いよいよ工事の引き渡しを受けます。
プロジェクトが開花する瞬間です。
⑥ 運用
建物を管理・運営していくフェーズです。
多くの専門家により、花開いたプロジェクトが、おいしい果実を実らせることができるよう、建物を使い事業を開始します。
管理・運営は、建物の引渡を受けた瞬間からスタートします。
そのため、引渡前から準備を進めておく必要があります。
管理・運営の方法により、必要諸室や動線・レイアウトが変更になるため、基本設計時より管理方針を定めておくことは重要です。
また、経理処理や登記、各税金の申告・納税等事務手続きも多いです。
必要に応じて専門家の力も借りながら、予め必要な資料を用意しておきたいです。
3.全編まとめ(プロジェクトツリー)
以上、建築プロジェクトの基本的な流れについてお話ししました。
前編でみていただいたプロジェクトフローのツリーです。
各フェーズの内容です。
いかがでしたでしょうか。
事業者として建築プロジェクトを推進する方の参考になればと思い書いてみました。
始めたら書いておきたいことがたくさん出てきてしまいました。
基本的なことと実務的なことが混在、中途半端な内容となってしまいました。
各フェーズともまだまだ書き足らないことがたくさんありますので、折を見てそれぞれの詳細について掘り下げていきたいと思います。
ありがとうございました。
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