[2024/10/9更新]
「新型コロナはただの風邪。インフルエンザの方が怖い」は誤り。明らかな官製デマである。発端となった第111回ADB資料は、新型コロナは過少、インフルエンザは過大に評価された不適切な比較である。実際は、これまでの国の公表数値は全ての指標で新型コロナが上回る。最新の論文もそれを裏付けている。
【解説】
第111回ADB資料で、新型コロナの致死率や重症化率が季節性Flu(インフルエンザ)を下回る数値であったことから「新型コロナはただの風邪」という誤った風評が拡まったもの。この数値のソースは奈良県立医大の野田准教授がかなり前の第74回ADBに提出した資料である。その注釈には「季節性Flu以外の理由での死亡や入院が含まれていることに留意が必要」とある。一方、第111回の資料の注釈には「新型コロナは(中略)特に致死率について過少である可能性がある」とある。つまり、これらの数値は、新型コロナは過少、季節性Fluは過大に評価されており、文字通り「参考」程度の扱いに留めて、比較検討に使うべき数値ではない。
これまでの国の公表数値は全ての指標で新型コロナのリスクが季節性Fluを上回っている。なぜ第111回ADBで再計算して異なる数値を示したか、その意図はわからないが、わざわざ再計算しなくても、第74回ADB当時とそれ以降に公表された他の資料や人口動態統計などの公式数値があるので、それを使用して改めて比較すると以下になる。
また、単純な数値比較だけでは評価を見誤る。
以下のようなことも踏まえて考察すべき。
1. 季節性Fluがゼロになるほど感染対策を徹底した結果の数値なので、そうではなかった新型コロナ以前の数値と単純には比較できないこと
2. 「重症化」の基準が初期武漢ウイルス当時の呼吸器不全のままなので、呼吸器不全を起こさないο株では、重症化と判定されないまま軽症や中等症からいきなり死亡するケースが増えていること
3. ウイルスの毒性が弱まったのではなく、ワクチン接種率の増加や集団免疫の獲得が進んだことで、感染しても重症化し難くなっていること
4. ウイルスの毒性が弱まっても、それ以上に感染力が強まれば、結果として大量の死亡者数を出すことになること
最新の論文でも裏付けられている。
その他、様々な記事,公表,意見でも示されている。
【番外編】
DIAMOND ONLINE記事でBA.5の致死率がFluより低いとあるので解説する。算定の表を確認すると死亡者数 は7月のみ。第7波(BA.5)死亡者のピークは9月初頭なので、なぜわざわざ7月で比較するのか疑問。7〜8月の死亡者数で算定した厚労省資料(9/16)の方がよほど正確である。