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【資料】ALPS処理水の海洋放出 「放出総量」

[2023/10/11更新]

便宜上、汚染水及び処理水を以下と呼称する。
「汚染水」原子炉建屋に流入し漏れ出た汚染水
「貯蔵水」タンク貯蔵(処理水+処理途上水)の水
「処理水」ALPS処理が完了し希釈する前の水
「希釈水」希釈するために汲み上げた海水
「放出水」希釈され海洋放出する水

DATA
a) 放出水中のH-3濃度: 1,500Bq/L未満
b) H-3の年間放出総量の上限: 22兆Bq/年
c) 処理水中のH-3濃度: 140,000Bq/L
     (タンクK4-B群 ALPS処理分析2023/3/27) d) 希釈水中のH-3濃度: 2.6Bq/L
   (海域モニタリング6号機取水口前のデータ) e) 1,500Bq/Lになる希釈率: c/(a-d)=93.5倍
f) 処理水換算した放出総量: b/a/e=15.7万t/年
g) 汚染水の新たな増加: 100t/日=3.7万t/年
h) 処理水中の主要8核種の濃度: 17.4Bq/L
  (タンクK4-B群 ALPS処理分析2023/3/27)
  C-14: 13Bq/L
  Co-60: 0.31Bq/L
  Sr-90: 0.35Bq/L
  Y-90: 0.35Bq/L
  Tc-99: 0.73Bq/L
  Sb-125: 0.11Bq/L
  I-129: 2.1Bq/L
  Cs-137: 0.45Bq/L
i) 全タンク内貯蔵総量: 134万t (東電資料)
j) 全タンク内H-3濃度: 69万Bq/L (東電資料)
  860兆Bq/125万t=69万Bq/L
k) 全タンク内H-3総量: 925兆Bq
  134万t*69万Bq/L=925兆Bq
l) 初回放出総量: 31,200t (2023/8/24記事)
m)初回放出H-3総量: 5兆Bq (2023/8/24記事)

【総量規制】
◾️H-3: 22兆Bq/年
 事故前の放出管理目標値を採用
◾️H-3以外の核種: 総量規制無し
 総量は処理水の核種組成×年間排水量で算出
 (核種組成はタンク群毎に異なる)
 
注) 事故前の放出管理目標値は2,200億Bq/年

【放出総量】
 H-3を上限の22兆Bq/年一杯まで放出したときの年間放出総量を試算した。
 希釈用海水は、取水する海域モニタリングポイントの測定値から、H-3以外の核種の濃度を処理水と同等とした。(Cs-137濃度0.3〜0.98Bq/L)
 実際には、放出水中の核種組成や濃度が不明なことや、上限22兆Bqまで放出されないだろうこと、1,500Bq/Lよりかなり低い濃度まで薄められるだろうことなど、不確定要素がある。
◾️放出水の放出総量
  年間放出総量: b/a=1,467万t/年=4万t/日
  (発表された初回放出量は17日間で7,800t)
◾️H-3以外の主要8核種の放出総量
  1,467万t/年*17.4Bq/L=2,553億Bq/年
  これは、事故前の福島第一原発が運用していた放出管理目標値2,200億Bq/年を超える年間放出総量ということになる。

【減らせるタンク数】
 H-3を上限の22兆Bq/年一杯まで放出したときに年間でタンクが幾つ空くかを試算した。
◾️年間で減らせる処理水: f-g=12万t /年
 これは現タンク内の全処理水134.5万tの約9%、全タンク約1,000基のうち90基にあたる。
但し、これは処理水中のH-3濃度にかなり左右される。タンクによってH-3濃度に差があるので、H-3濃度が高いタンクだと、タンクの数は減らないことも起こり得る。
 また、別の理由であるが、空になったタンクは撤去できても汚染されているので廃棄処分できないとか、処理不十分な7割の貯蔵汚染水を完全処理すると、発生する放出性廃棄物のスラリーを保管する場所がもう無いなど、結果的にタンクを減らせないことも懸念されている。

【現在の海洋放出量の総量】
 現在の海洋放出量の総量と希釈濃度で今後も続ければ、年12回(17日間/回)放出すると仮定して、62年かかることになる。
◾️全タンク放出に必要な年数
k/m*12/4=62年間

———参考文献———

◾️ALPS処理水の分析結果について[2023/3/27採取分](2023/6/21)
https://fukushima.jaea.go.jp/okuma/alps/dai3/pdf/analysis-result_details.pdf

◾️ALPS 処理水の海洋放出に係る放射線影響評価報告書() (設計段階・改訂版)(2022/4)
https://www.nra.go.jp/data/000387048.pdf