「ポルトガルのCOVID-19死亡者は17,000ではなく152だと裁判所が認めた」は誤り
「ポルトガルのCOVID-19死亡者は17,000ではなく152だと裁判所が認めた」は誤り。元々は情報開示請求「新型コロナの存在証明」の訴訟。請求の内、死亡数はHPで公開済み。所有しないものは開示不要との判決。152は死因の内訳で例示した一部の医師の死亡診断書数を誤読したもの。
【解説】
判決文の全文を読めば分かるが、本訴訟は、情報開示請求「新型コロナの存在証明」の訴訟である。結果は、原告が提訴を取消し。この意味では原告側の全面敗訴であるが、国側の敗訴と言われる理由は、請求権の保護から訴訟費用の全額負担が国に命じられた為。本判決は寧ろ、「新型コロナの存在証明」の情報開示請求が筋違いなもので、「所有しないものは出せない」とした行政の対応は何ら問題ないことを、裁判所が認めたことに意味がある。
2021年2月24日、原告は被告に情報開示を請求した。その内容を以下に一部転記する。
Covid-19に関して 10日以内にアーカイブにある報告書、意見書、科学出版物の内容を、コピーまたはその他の技術的手段、特に電子的手段で提供すること。
・ヒトの患者から採取した混じりけのないサンプルからCovid-19を引き起こすSARS-Cov2ウイルスのヒトへの感染度を調査した査読付科学出版物のコピー
・コッホの原則が満たされていることを証明し、実験室でウイルスを分離・精製した日付と著者名が記載されている査読付科学論文のコピー
・RT-PCR検査(実験室で使用されている場合は信頼性の高い診断ツール)について、ヒトのSARS-Cov2感染を特定するための信頼性の高い診断ツールであるとする査読付科学論文のコピー
・PCRテストの結果がインフルエンザ様症状を呈するヒトにおけるSARS-Cov2ウイルスの存在を誤差なく明確に示している査読付科学論文のコピー
・PCR検査が陽性であれば無症状感染であり二次感染することを示す査読付科学出版物のコピー
・SARS-Cov2に感染した病症状と季節性インフルエンザ及び229E、NL63、OC43、HKU1コロナウイルスによる病気との違いを示す査読付科学論文のコピー
・PCR検査の増幅サイクルに関する文書化された情報、および定義されたサイクルを決定した団体の表示
・SARS-Cov2感染を検出するPCR検査に関する情報で、不活性物質と繁殖物質を区別できるかどうか
・大規模PCR検査によりウイルスとそれぞれの株が検出されるかという情報
・PCR検査陽性者や無症状の人に検疫・監禁措置を適用することを正当化する査読付科学的証拠
・SARS-Cov2の遺伝子コードをマッピングした中国の科学者が作成した査読付出版物のコピー
・SARS-Cov2感染が原因で死亡した人の内、死体の検死によって死因が客観的かつ法的に確認された情報
・死因がPCR検査によってのみ確認された件数についての情報
・ソーシャルディスタンスの有効性を科学的に証明するもの
・WHOはマスク使用の再評価をした発表を受けて、DGSが保有する科学的根拠のある出版物のコピー(子供や若者、大人が閉鎖空間や開放空間でフェイスマスクを使用した場合に、身体的・心理的な健康への付随的なダメージがないことを疑いなく証明する査読付きの研究を含む)
・無症状者を監禁することでCovid-19の感染が大幅に減少することを実証する査読付専門出版物、及び、監禁が住民の健康に有益であることの証明
・未承認の臨床評価もされていないワクチンを接種した人や接種中の人の健康に中長期的なダメージを与える危険性がないことを示す正当な文書
2021年4月12日、DGSは申請者に手紙を送った。その内容を以下に一部転記する。
本総局に届いた貴殿の要請を慎重に分析した結果、要請されたコピー、証拠、情報は、同法第1項に定義されている本総局の行政文書に言及していないことから、要請は現行版の8月22日付法律第26/2016号の規定に該当しないことが通知されました。事実上、要求の根拠となる事実が提示されていないため、意図した目的のためには十分な筈ですが、ご希望があればCPAの第102条の規定に基づき要求の不備を補います。
2021年4月19日、DGSは「該当する行政文書を保有していない」と回答し、更に以下のように述べている。"2020年01月01日から2021年04月18日までのSICOレプリカベースを分析した結果、これまでに以下のような分布を確認することができました。
・2020年から2021年にかけて、法務省に勤務する医師が発行した死亡証明書のうち、基本的な死因がCOVID 19によるものであったものは152件あり、以下のような分布になっています。
・152件の死亡診断書の内、原因は、132件がCOVID19ウイルス、20件が不明であった。
・152件の死亡診断書の内、148件は剖検が免除され、129件は原死因がCOVID19ウイルス 、19件は不明であった。152名の死亡者の内、4名の死亡者の剖検が免除されておらず、その死因は3名がCOVID19ウイルスであり、1名が不明であった。
2021年4月27日付けの書簡により、請求者は前記の回答を通知された。それ以外には、事件を解決するために必要なことは何もなかった。
国民は自らが直接利害関係を有する手続の進行状況について、要請があった場合は行政からいつでも報告を受ける権利を有し、最終決定を知る権利を有する。また、国民は、内外の安全保障、犯罪捜査、個人のプライバシーに関する事項についての法律の規定を害することなく、行政文書や記録にアクセスする権利を有する。前述の憲法上の規定は、法律学と教義がそれぞれ「手続き的な情報への権利」と「非手続き的な情報への権利」と呼ぶものを規定しており、現行憲法の第82条から第85条に規定されている。情報を得る権利の存在と範囲は、基本的に請求者と明確にすべき対象との関係に依存する。
原則として情報を得る権利は、その情報が関連する手続きに直接関心を持つ人に属し、「拡張的に」この権利は「自分が必要とする情報を知ることに正当な利益があることを証明できるすべての人」に属す。
(中略:憲法解釈の説明部)
「すべての人は、利害関係を表明することなく、行政文書にアクセスする権利を有する」と、明確にオープンな表現で述べられており、そのような情報を得るために特別な利害関係を主張したり、証明したりする必要はない。従って被告が主張する原告の立証権欠如の訴えは根拠がない。次に、被告は原告が要求した文書、報告書、証拠、情報を一切保有していないため、訴訟は不可能であると主張している。原告が要求した死亡者数の情報は原告に情報を提供していたため、この特定のケースについては訴訟は無意味であり、結果として訴訟は却下されることになる。
この点において、原告は被告が現在主張している不可能性は被告の独占的な責任であると主張するにとどまり、その上でそれぞれの訴訟費用の支払いを命じられるべきであると主張した。これについては、原告が「SARS-Cov2感染が原因で死亡した人の内、死体の検死によって死因が客観的かつ法的に確認された情報、死因がPCR検査によってのみ確認された件数についての情報」を要求している。これに対し被告はSICOレプリカベースを分析した結果、法務省(INMLCF)に勤務する医師が発行した死亡証明書の事例を示している。
「訴訟は、それが提出された後に、判決を受ける必要がないような事実や状況が発生したとき、すなわち、要求がすでに他の手段で達成されているために、無意味になる」(最高行政裁判所 事件番号049/17判決参照)。本件では、原告の請求に記載された要求と、召喚状に基づいて被告が提示した回答の内容を比較した結果、原告の主張がこの点では満たされていることが当裁判所には明らかであるため、判決を下すことは具体的には何の役にも立たないと考えられる。原告が提出した情報要求は無益であると結論付け、その結果、訴訟を一部終了させる以外に当裁判所に残された選択肢はない。他の点についても、被告が主張するように、原告が求める要素を被告が保有していないことを考慮すると、非保有情報を原告に提供するように命令することはできないという点で、本紛争は不可能であるとの結論に達する。
然し、被告の言い分とは異なり、被告は原告に対応できる時間内にこの事実を通知せず、2021年4月 12日、今回の召喚令状の訴訟を待たずに原告に連絡し、提出された申請書を完成させるよう求めただけであったことを考えると、この不可能性は被告自身に帰すべきものと考え、本訴訟のための全費用を支払うよう命じる。
【observadorファクトチェック】
同内容がファクトチェックでも指摘されFALSEと判定されています。
https://observador.pt/factchecks/fact-check-mortes-oficiais-por-covid-19-em-portugal-nao-ultrapassam-as-152-vitimas/