「信頼」よりも「距離感×公明正大」
信頼するとは信じて頼ること
信頼が大事であるのなら、全員が全員を信じて頼り、その信頼度を上げていくことになる。それは誰が自分のどの部分に信頼をしているのかを把握し、その人に信頼されるよう努力しなければならない。そして、それを全ての自分と関わる人に対してする。これをサイボウズもずっと求めてきた。新入社員の入社式直後の研修でも自らでチームワークには信頼が最も大事だと伝えている。サイボウズの採用基準に使っている「Action5+1」も「信頼=スキル×覚悟」がベースになってる。それを自分が伝えてきたにもかかわらず、というか、だからこそ、今にして思う。理屈としては正しいかもしれないけど…。
信頼を上げるモチベーション
チームのメンバーみんなからの信頼を上げる。第一に、そんなことみんなしたいのか。第二に、そんなことみんなできるのか。第三に、その努力の先にチームにどんないいことがあるのか。つまり、サイボウズでいう「モチベーション三点セット」の「やりたいこと、できること、やるべきこと」の円が全く重なりそうな気がしない。重ならないんじゃ、みんなの「信頼を築きたい」というモチベーションが高くならないんじゃないかと思う。であれば、簡単にできることでもないわりに、長続きさせることさえできない。そもそも、主体的にもなれないし、楽しくさえもない。
理想への共感
あくまでもチームとしてやりたいことは「チームの理想の実現」。なので、大事なことは、チームが実現したい理想への共感であり、それを実現するための多様な個性を重視した役割分担であり、その役割分担を効率的にするための自立と議論であり、それを公明正大にしていくための仕組みだったりする。となると、誰が何をやるべきなのか、何ができて何ができないのか、何がやりたいくてやりたくないのか、という情報の共有があり、それをできる人で役割分担しながらカバーすることが大事になってくるんじゃないかなと。それ以上でも以下でもなくていい。
一体感と距離感
信頼は、距離を近づけることが前提。実現できたら生産性が上がって、みんなの心が安全にはなるのかもしれない。でも、信頼する側とされる側が自分を変える努力をしないといけないし、結果的に、信頼を裏切ることになれば感情的にも受け入れられなくなるリスクがある。なんかそれってチームのために自分を犠牲にする感じにもなりかねないかなって。「相手を知る」ことであれば、冷たく聞こえるかもしれないけど、距離感の話であって、相手に対して変化を期待するわけではない。言い換えると、多様な個性の重視が中心にあって、チームへの理想に共感してさえいれば心の安全も担保できるし、そもそもそれこそが「一体感」を生むような気がして、それでいいんじゃないかなと。
公明正大
これを実現するためには「アホはいいけどウソはだめ」。隠し事をしない風土が必要になる。それはそれで簡単ではないことだけど、チームの全員からの信頼を勝ち取るよりも、自分が持っている情報を共有するかしないかだけなので、まだ実現の可能性は高そう。能力が必要とされるスキルではなく、情報を出すか出さないかの選択でしかない覚悟の話である。しかも、プライベートの話を共有する必要など全くない。チームでワークしている中での情報だけでいい。
距離感×公明正大
信頼よりもこれが大事なんじゃないかと今は思う。
※これはKintopia「Know First, Trust Later: The Japanese Teamwork Principle of "Koumeiseidai"」の日本語原稿になります。この原稿を翻訳というより超訳して下記の英語記事にしてもらいました。
https://kintopia.kintone.com/articles/005540.html