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「ウォームアップ中」

 11月公演『さようなら、シュルツ先生』の出演者オーディションのC日程にはなんと22名!もの応募があった。直前になって急きょ、時間帯や会場を2つに分けたりして対応した。やはり、オーディション情報を流布するのが遅すぎたのかもしれない。しかし、参加者の年齢の高さをみるとやはり若い世代にとっては、MODEも松本修もカフカ・シリーズも「知りませーん」なんだろうな。

 さて、例の如く緩(ゆる)いワークショップ形式で初日は1人の場面、2日目は数人の場面を演じてもらった。どちらもシュルツの短編小説が題材。色んなアプローチの仕方があり、それがその人の演技の履歴というか演劇観を如実に表していて実に面白い。ついつい言葉で状況や物語を説明してしまう人、逆に余計なことはなーんにもしない代わりに素の自分・
等身大の私でやりきってしまう人、等々。いかにも新劇風とか、いかにも小劇場風とかいう演技は今や一見なりを潜めているかに見えるが、さてさて正体は如何に。「戯曲」や「シナリオ」の一部を読んだり、演じてもらうというようなよくあるオーディションのスタイルではないので、明らかに戸惑っている姿もちらほら。ごく短いものだとはいえ、演じるために書かれたのではない「小説」を手渡して、「これをやってみて下さい」という課題である。

それぞれのチャレンジの様をじろじろと観察させてもらった。そして、最終的に9人を採用した。


当初、イメージしていたのは全部で10~12人くらいの出演者だったのだが、このオーディションで出会った役者さんを見て方針を変えた。これまでのMODEのやり方は変えるつもりはないが、せっかく数年間ものインターバルを取ったのだから、再起動に当たっては「新しい展開=新機軸」が欲しいと思ったのだ。かつてのMODEメンバー、近畿大学の芸術学科舞台芸術専攻の卒業生たち、座・高円寺アカデミーの修了生たち、そして今回のオーディションで初めて会った役者さんたちが共同で創作することになる。いったいどんな劇が立ち上がるのだろうか。目論見はそれなりにあるのだが、どうなるのかは全く見当がつかない。


MODEホームぺージにチラシをアップしました。どうぞご覧ください。


見出しの画像は、加藤有子著『ブルーノ・シュルツ 目から手へ』の表紙より

松本修(MODE主宰)

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