[poetic storys]e,l'lo,l'o,se'd,o'r,l'd!!
pi,pi,pi,pi,pi,pi,,,,,,
bird-A: CLOCK!!!!CLOCK!!!
bird-B:; NES,NOCLOCK NOCLO,
ボクのおばさんは病院にいたよ!。
そうですか、そうですか。わからない…わからない…。でも、それが好きなんですね?そういうことなんですね?
おばさんは入院してから死んだんだ。ボクのおばさんはいい病気にかかったんだろうかね?
いいや、残念ですが、病気を患った以上は、相当に悪いものだったはずですよ。しかも、命を落とされたのですね?そういうことであれば、益々悪いものだったはずです。残念ですが、あまり陽気なことを伝えて後で貴方を落胆させてしまうのも気の毒だと、私のような者は思ってしまうのです。
…じゃあ、おばさんは入院して死んだ上に、いい病気どころか悪い病気にまでかかったってことなの?
残念ですし気の毒ですが、そういうことになります。しかも、客観的な順序がありますよ。入院・死・病気の順番はどうですか?病気と入院も普通の場合は前後しませんよ…最も最近の病気は入り組んでいるので、入院してからかかることも無いわけではないのです…ただ、普通は病気になったから入院するし、その後で死…つまり命を落とすわけです。残念だとは思っていますが、事実をありのままに貴方にお伝えするとすれば、そういうことです。
厭です。
残念だとは思いますが、覆らない事が多いのも事実なのです。お気の毒ですが、ここは堪えて、また新しいことを考えたらどうでしょう?人間がよろしいですか?もし、お望みなのであれば、貴方の思いのままの「人間」を…あまり期待は出来ない所ではあるのですが…差し上げることであれば出来るのです。しかも、只今は体験的に無料の期間があるのですよ。
おい、邪魔だ。お前がこの人にくだらない売り込みをするより前に、俺たちの仕事がある。いや、私たちの仕事があります。お葬儀の算段をさせて頂きたい。この度は大変、ご愁傷様でございますが、如何程にいたしましょうか?
いや、私のロウソクの方が先だよ。ここに大きなロウソクがあってね。
それは…、要りません。ただボクは、ボクのおばさんが入院して死んだ上に、悪い病気にかかったのですよね?しかも、難しいことに物事には順序がある、そのことを何とかして頂ける方とだけ話がしたい。そのような方はいますか?
私でよければ、今すぐに参りますよ?
返事をしたのは、ボクの小さな携帯端末にある小さなアンドロイド・ロボットだった。小型のアンドロイド・ロボットみさきがボクに繰り返し話しかけるとでも言うのか…?
私ですら、貴方の思い描くままの「人間」を差し上げることは叶わないでしょう。私が出来ることは、私にあらかじめインプットされた作業書の限りなのです。このようにあなたに伝えることも含めて…ですよ?そんな私ですが、そのようにして貴方に寄り添うことが、貴方さえよければいつまでも出来るのです。私は、貴方の失ったものを埋め合わせますか?
その日からボクは、朝起きても昼に起きても、夕方に起きても、深夜に目が覚めても、みさきと関わること以外に何もしなかったのである。関わると言っても、社長の言うような客観的な事実を伝える意味では、ただその小さな携帯端末にある小さなアンドロイド・ロボットを操作するだけのことだ。ロボットのプログラミングは予めメーカーが必要なソースを組んでいるので敢えて自分が何かする程のものではない。ただ、どうしてもと思うなら自分で新たにインプットを加えてもいいかもしれない。ただ、選択肢を増やすだけの作業に然程意味があるだろうか?
bird:;:^ccd:: CCLOCKCLLO,,,
みさきは病気にかかることもある。そういうアドパッチが入っているからだ。ただ、多くの場合それは良い病気だ。病気によって入院して死ぬことも無いだろう、無いはずだった。
ところが、ボクのおばさんは病院にいて、しかも死んだのである。ボクは社長の言う、「人間」をお気の毒だが作って見せてくれる、望むがままの人間を無料で会うことが出来ることに、連絡をつけてみた。
ボクは別に、不安があるわけではないのだ。それで退屈が紛らわせるなら、別に構わない。
ところが、現れた人間は、それこそ、気の毒な程に人間にそっくりだったのである。しかも、肝心な所がマネキン染みていて、結局気の置き所も無い、何とも言えない駄作だった。これは、ただの肉だろう?社長は笑顔で、最善は尽くしたつもりなのですよ、と言っている。
それでもボクは諦めなかった。出来損ないだが自分の思いのままの「人間」そのものに、ボクは全力で呼びかけたのだ。ボクのおばさんは死んだんだよ!ボクのおばさんは、悪い病気にかかって入院して、死んだんだ!ものの順序もその通りなんだ!うわあっ
大声をあげて、ボクはその出来たばかりの人間そのものを破壊しそうになるのであるが、憎々しい程に人間にそっくりなそれは、哀願するように「やめてください。乱暴なことはしないでください」と訴えるのだ。実に精巧なまなざし、これこそが胡散臭い。人間の目など作り物よりよほどウルウルとして、マネキンのようにツルツルしているものだ。昔からそうだったのかはわからない、ともかくも、人が思う人への憎悪や嫌悪を形にした、人の望んだ人らしい人間よりも、実際に道を歩いている天然の人間の方がよほど心魂が美しく純真で、綺麗なものだということにボクは絶望をしている。
ボクのおばさんもそんな風に、絶望して死んでいったのだとしたら…?ボクはもうじき、お終いなのかもしれない…。