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『地面に風穴を開ける』
地面にガッパリ風穴を開けてやったよ。オレの隕石みたいなパンチ一つで。
むしゃくしゃするからよ、植物みたいにワシャワシャしている男どもが。
地面って奴は、ずうずうしいんだよ。てんで動こうとしないから。女みたいだよ。
ユンボやトラクターなんて大嫌いだよ。奴らは規則正しく動くから。血の通っていない油だろ?鉄の塊に解る訳がないだろ?生き物の本当の気持ちが。
いつでもオレは、スコップ一丁で十分だ。
オレはガキの頃から夢見てた。大地をガッパリとえぐり取る、壮大な夢を。ついでに山脈をこさえて、河を注ぎ込むんだ。そこにデッカイ池が出来てから、捕まえてきたドジョウやフナやメダカやカエルやザリガニを放すんだ。
オレはガキの頃から知っていた。生き物がどうやって愛し合うか。生き物が愛し合った後どうなるか。
悩むなよ。テメエの人生がどうなるかなんて。信じてみろよ。裏切られることにビビる前に。愛してみろよ。愛されたいと思う前に。人はな、人である前に、動物だろうがよ。
オレは無様で稼ぎも少ない、醜いロクデナシで。おまけに皇帝ペンギンみたいに一人の女しか知らなくて。沢山やった奴等に笑われたけど。実はガキの頃から、沢山、沢山、愛してきた。
お前らが束になっても敵うわけねえだろが。種を超えてやってきたオレに。
面倒くさいから、オレは全部を宇宙レベルで愛することにした。宇宙生誕の謎を知りたいから。
おまえも地面に風穴を開けてみろよ。本当の愛が解るから。
写真 小幡マキ 文 大崎航
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