データ活用でカスタマーマーケティングを実践。そのリアルと未来に向けて【2022/12/9 KEENイベントレポート①】
登壇者
ウイングアーク1st株式会社
マーケティング本部 TOFD部 Customer Marketingグループ 河村雅代さん
KEEN株式会社 CEO 小倉一葉
※以下敬称略
「データで世界を笑顔に」ユーザーの成功を支援するウイングアーク1st「nest(ネスト)」
小倉
まずはウイングアークさんについて教えてください。
河村
ウイングアークはもともとソフトウェアのパッケージ開発と販売から始まった会社で、現在クラウドシフト真っただ中です。「帳票・文書管理ソリューション事業」と「データエンパワーメントソリューション事業」という2つの事業を軸に展開しています。
2018年から当時の営業部門でユーザーコミュニティという形で「nest」が立ち上がりました。
実はnestは2022年にリブランディングを行っています。弊社のお客様には製造業の方が多く「コミュニティ」という言葉にアレルギー反応を起こされる方が多かったんです。「お遊びには行けない」と。そこで、より多くのユーザーさんに参加していただきやすい環境にするために、ユーザーの成功を支援する活動全般を「nest」として定義しました。
また、当初はFacebookグループで会員さんを募っていましたが、業務上どうしてもFacebookが使えない方も多くいらっしゃったので、commmuneというツールを使ってメンバー用サイトを構築しました。
また、メンバー用サイト上での投稿は、2022年夏にユーザーからの投稿が事務局からの投稿を上回りました。オンライン上での「ユーザー主体」の実態が作れてきたのではないかと思います。
小倉
nestは大きなビジョンを掲げていらっしゃいますよね。
河村
はい、「データ活用で世界を笑顔に」というビジョンを掲げてずっと活動してきています。(河村さんが所属する)カスタマ―マーケティング部門自体も「ユーザースマイル」というユーザーさんの成功をつくっていくというところを目標に活動しています。ユーザーさん自身も独自にビジョンの解釈をしてくれていて「nestはこういう世界を目指しているんだよ」と説明してくれています。
小倉
クラウドサービスやSaaSはオンプレよりも導入負荷が低く便利な一方で、どうしてもユーザーさんが社内で一人運用担当者になってしまいます。ひとりぼっちの運用者さんの製品利用を高めていくためにも横のつながりが重要。だからこそコミュニティ・nestに来ていただいて、自分のサクセスを他社にも伝えてもらうという活動を行っていますよね。
河村
はい、とくに中小企業は一人運用者だったり縦割り組織に担当者が分散していたりと、一人で悶々と悩みを抱えている方がすごく多いです。
小倉
コミュニティの中で師弟関係のような関係もできていますよね。
河村
そうですね、コミュニティメンバー同士で「あの人みたいになりたい」「あの人を超えたい」というお話がされています。ワーキングループのリーダーさんたちは次に誰にバトンを渡そうかと考えてくださっていて、ほかのユーザーさんを巻き込んでいこうというのを自発的に行っていただいています。
実は今週(2022年12月5日週)オフラインイベントに2回参加してきました。そこで感じたのは皆さんオンライン疲れをしているということ。オンラインで得られる情報に限界を感じていて、もっと細かい粒度で質の高い情報を欲しいと思っていらっしゃる。オープンに話せる情報じゃないけれども、自社のリアルな活用状況をみてもらって(他のユーザーから)アドバイスが欲しいという。
小倉
ほかのユーザーさんに、「この人に教えてもらいたい!」と言われるような、先生のようなユーザーさんもいらっしゃいますね。これはコミュニティがなかったらできない。
河村
それと同時にメーカーがお届けできる情報って限界があるなと思いました。だから、いかにユーザーさん同士がつながって、密な情報交換ができるような関係を作るお手伝いをできるか。それがコミュマネに求められていると思います。
多忙なコミュマネ業務。ユーザーと会話する時間から失われていく
小倉
わたしたちがKEEN Managerをつくっていくにあたっても、ウイングアークさんのデータ活用に対する考え方に大きく影響をうけています。実際にKEEN Managerを使っていただいていますが、どうですか?
河村
カスタマーマーケターやコミュニティマネージャーの仕事って、本当に手がかかるんですよね。運営するサイトも多いし、イベントも回さなきゃならない、事例も作らなければならない。いろんなことに頭を回さないといけないんですよね。
小倉
コミュニティメンバーの方も2000人以上いらっしゃいますしね。コミュニティとユーザーさんが成長しているからこそやらなければならないことが多い。
河村
そうですね。その中で何が犠牲になるかというと、やっぱりユーザーさんと会話する時間がどんどん犠牲になる。コミュニティマーケティング第一人者である小島(英揮)さんも「何か変化を感じたときはすぐにお声がけして話しましょう」とおっしゃっており、すごく大事なアクションですが、それをやっている余裕がない。(変化に気づくために)分析する暇がない。
なんとなく「あの人最近よく活動してくれているよね」くらいしか気づけない。
以前、コミュニティ運営を支援していたKEENのメンバーが、それまでプロフィールが全く分からなかった、メンバー用サイトでアクティブな方のSNSアカウントを見つけてくれたことがありました。そのとき「あ、この人この会社の人だったの?!」と、とても驚いたことを鮮明に覚えています。メンバー用サイト上ではそこでの活動(投稿やコメントなど)しか見えていなかったのですが、すべてつながった感じがしましたね。ひとりひとりのユーザーのデータをつないでいくことで、一気にユーザーさんの解像度が上がりました。
データを入れてみないとわからない。コミュニティをデータで語れることの強さ
河村
ですから、最初に小倉さんからKEEN Managerの話を聞いた時に「これだ!!」と思ったんです。まさにすべての情報がつながって見えるということ。あとはせっかくcommmuneを入れているので、そこでとれるデータと、TwitterなどのSNSデータ、その他のデータをつないだときに見えるものはなにか。KEEN Managerのテストでデータをいれてもらったときもすごく驚きがありました。「ネクストスター(※KEEN Managerの中のクラスタの1つ。スター顧客に近いユーザー群)にいるけど、この人誰?知らないぞ!」と。
小倉
コミュニティマネージャーも人間なので、トップ10名くらいしか解像度高く見えていなかったりしますよね。すごく活動してくれているけど、長くコミュニティに在籍するメンバーさんと比べてあまりフィーチャーできていなかったということに気が付いたり。
河村
そうですね、「(積極的にコミュニティ活動をしていただいているのに)この人となかなか接点が持てていなかった」という発見があったりしました。私たちも(BIツール・MotionBoardを販売するなかで)「データを入れてみないとわからない」と営業シーンでよく言うのですが、まさにその状態でした。
KEEN社とは、コミュニティメンバーのエンゲージメントスコアとクラスタの必要項目やロジックを議論し定義をセットし運用を行っており、今はそこからターゲティングリストをつくって、スコアを上げていくという活動に取り組んでいます。
あと、コミュニティをデータで語れることって強いなと思っていて。以前、弊社のカスタマーサクセスのメンバーや営業のメンバーにKEEN Managerのダッシュボードを見せたとき「こんな風にユーザーさんの活動を可視化できるんだ」「あのお客さんどうなってる?」と。その時すごくコミュニティへの理解が得られたような気がしました。会話がすごくしやすくなった。それもデータ化することの価値ですよね。
コミュニティ施策のベストプラクティスをつくることがこれからの挑戦
河村
今後KEEN Managerを使って挑戦していきたいことはコミュニティ施策のベストプラクティスを作っていくことです。どのような施策を打つと、スコアがどのように変動するのか、PDCAを回していきたいです。今はターゲティングリストにまだやみくもに施策を打っている感じ。
KEEN Managerにもコミュニティ施策のビフォーアフターを測定したり、有効な施策をリコメンドする機能を期待しています。
小倉
頑張ってまいります!
河村
あと、コミュニティ運営はどうしても属人的になってしまいますが、人を育てるのも大変じゃないですか。経験者も雇うことも難しい。なので、KEEN Managerのようなツールでコミュマネを支援することもすごく大事だなと思います。
小倉
いくらコミュマネが忙しくても見逃してほしくない情報についてはKEEN Managerでお知らせしていけるようにしたいと考えています。また、コミュマネの上長の方や経営者のかたにも、「ここだけは見ておいてほしい」という項目も表現していきたいです。
カスタマ―マーケティングやコミュニティに関わるみなさん、ぜひつながりましょう!
小倉
河村さん、ぜひ最後に一言お願いします。
河村
カスタマ―マーケティングもコミュニティマーケティングも横のつながりがすごく大事かなと思っております。こんなアイディアがあるよ、とか(コミュニティ活動の中で)こういうことができるよということがある方はぜひお話させていただきたいです。
小倉
河村さんとお話させていただいていると、いつもプロダクトやnestへの熱い思いと、お客様に成功してほしい!という情熱を感じています。私もコミュニティで可能性がある個人がもっと輝くことができると信じておりますので、KEEN Managerを通じて皆が活躍する世界を目指していきたいと思います。
本日はありがとうございました。
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