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コミュニティマネージャーが起業し、累計2.6億円の資金調達。IVS2023 LAUNCHPADに登壇した話。

今年の6月、フリークアウト・ホールディングス様からの第三者割当増資実施の発表をし、起業家の登竜門「IVS2023 LAUNCHPAD」に登壇いたしました。

社内では「スター状態月間」と呼び、まるで文化祭の前日のような毎日を過ごしていました。

チームを鼓舞するシールを作りました。

今のKEENは、幸いなことにスタートアップ・シード期経験者が初期メンとして集ったチーム。どんなボールでも打ち返すことができる大人メンバー達です。
とは言え、フルコミメンバーの頭数は3名、全員子育て世帯。有難いことに増えゆくお客様対応に、そもそものプロダクト戦略・開発とコーポレート・ファイナンス。
毎日が時間との戦い、子供の保育園からもらうウイルスとの戦いで、正直言って………ギリギリでしたwww

なんとか乗り越えられたのは、創業2019年より見守ってくださるお客様方、株主の皆様、パートナー企業様、スタートアップの先輩経営者、コミュニティマーケティングコミュニティの皆様、サポートメンバー、顧問、メンター、コーチ、多くの皆様のおかげさまです。
一人でも欠けていたら今のKEENは存在しない。いつもありがとうございます。感謝の想いをお伝えする会を企画しております。告知を末尾に添付しておりますのでご覧いただけますと幸いです。

そしてIVSを主催するHeadline様に感謝しています。
今回は、ここ数カ月の思い出話を書き記したいと思います。コミュニティマーケティング界隈では、「アウトプットファースト!」と言われてるやつです。

資金調達のきっかけはIVSだった。裏側の小話

デジタルマーケティング領域の先駆者であるフリークアウト・ホールディングス様に株主となっていただきました。詳しくはプレスリリース(*1)をご覧いただければと思いますが、ここでは、投資家との出会いのきっかけの小話を。

同社のGlobal CEO、シリアルアントレプレナーでありエンジェル投資家の本田謙さんとお話しさせていただいたきっかけは、2023年3月開催のIVS2023 LAUNCHPAD SEEDでした。
本田さんが審査員としていらっしゃることをTwitterで知り、何とかお話しさせていただきたいと急いで仕事を終えネットワーキング会にダッシュで向かったところ、
ちょうど出口ドア付近で本田さんと遭遇!
体感30秒のエレベーターピッチをさせていただきました。

いつもは、「コミュニティマーケティングの…データ分析の…」と機能説明的なお話しをしていたのですが、短い時間で伝えねばならないこのタイミングで出てきた言葉が「企業のマーケターの皆さんに、スター顧客を発掘するデータ分析サービスをしています」でした。

本田さんはその一言を聞くと、「シンガポールに着いたらオンラインでお聞きしますね」とおっしゃり、颯爽と帰って行かれました。
その後、オンラインでのピッチの機会をいただき、(その後の詳細は端折りますが)今回のディールに至ります。

IVSの機会がなければ今回のご縁も無かったわけです。
ネットワーキング会に目的を持って参加するの、超大事です。コミュニティイベントに参加し続け仕事にしている私が言うので、これはマジです。
「カンファレンスって人が多すぎて良い出逢いなんかないでしょ・・」「所詮パーティー、そんなことよりやることあるし」という気持ちも、時と場合によってわからなくはないです。でも、取り組み方次第で人生変わります。

そして、「スター顧客」というこの一言が出たから本田さんからその後正式なピッチの機会をいただけたのでは、と振り返ります。答え合わせをしていないので今はただの仮説ですが、short and sweetな言葉が持つ力を実感した日でもありました。



スター顧客とコミュニティ

我々KEENは、コミュニティを下記の定義(広義)をしています。

同じ興味関心軸や同じ志(MVV)を保有し、時空間を共有する人々の集団のこと
その登場人物(主にお客様や社内のステークホルダー)と共に作り続ける現象

場を作ったりイベントを企画するのは工程の一つであり、それが全てではありません。現象を、共に作るのです。

お客様の中にこんな人が登場します。イベントに登壇してくれたり、なんなら企画してくれたり。
良質な口コミ・活用事例・TipsをBlogやSNSで発信してくれたり、新たなお客様を紹介してくださり商談に同席してくれたり…。
そんな風に、「A社の社員さんですか?!」と、見た人がつい言いたくなってしまうほど、A社のプロダクトに情熱を持ちユーザーコミュニティを盛り上げてくれる存在。
私はそんな方々を、「スター顧客」と名付けました。コミュニティのヒーローです。(アンバサダー、アドボケーター、1stピンなどと呼ばれることもあると思います。言いたいことは近しいです。)

では、そんなスター(ヒーロー)はどのように生まれるのか。
スターは、関係性の中で生まれるものです。
スターを囲む人々が「クールだ」と認識するから、スターはスターで在れるのです。「クールだ」と認識できる文脈も必要です。だから、関係性の集合体であり輪郭となるコミュニティがあった方が良いのです。

コミュニティからスターを生み出すことは、次世代のスター(フォロワー)の誕生に寄与します。
コミュニティがあるから、フォロワーは「真似したい」と思う偶像と出逢い、目視できるのです。
真似はホモ・サピエンスの本能的な営みで、ヒトにインストールされている遺伝子です。乳幼児も、大人のする行動の「模倣」を通して、情報伝達・コミュニケーションを行います。

見たことがあると目指すことができるようになります。
「リスペクトする、真似したい」という感覚は、カリスマ性に加えて、類似点・共感ポイント(心理的な距離が近い、自分も出来るかもしれないというハードルの低さを錯覚させる)も必要だと私は思います。
例えば、楽器もスポーツも、良いパフォーマンスを見て、聞いて、憧れて、研究していくと、同じものにはならずとも、出来るようになっていくではありませんか。

こうして、スターを生み出す好循環を起こしていくことができます。

コミュニティでのスター育成は、スター誕生そのものの価値だけでなく、育成プロセスにおいても企業が恩恵を受けることができます。
例えば、マーケター目線では、スター候補の活用ストーリーを作ることができる。それはイベントマーケティングやコンテンツマーケティングの素材になる。
カスタマーサクセス目線では、顧客同士がコミュニケーションを取り合い、製品活用方法の情報交換することで、工数を削減できる。
プロダクト開発・サポート目線では、クレームがフィードバックに変わる可能性もある。

コミュニティが無いと、視野の狭い独りよがりなヒーローを誕生させてしまいます。それは、ある視点では正義かもしれないけれど、他の視点に立つと悪になるかもしれない。そもそもヒーローとして発見されることすらないかもしれない。
語り出すと長くなりそうなので、この話は割愛。



IVS2023 LAUNCHPADへの挑戦

IVS LAUNCHPAD登壇は夢でした。
ダメ元で提出しました。ダメ元でも挑戦した理由は、下記の3点です。

①スタートアップコミュニティへの参加表明をしたかった
②我々が挑戦する姿をお客様やコミュニティマネージャーの皆さんにお届けすることにより、新たな挑戦者を誕生させたかった
③主催のHeadline様より事業に対するフィードバックと成長に向かう論点を確実にいただくことができる

「スタートアップコミュニティへの参加表明をしたかった」、合同会社からスタートアップになるまでのトライ&エラーは、後述の記事をご覧ください。(*2)

「挑戦する姿をお客様やコミュニティマネージャーの皆さんにお届けすることにより、新たな挑戦者を誕生させたかった」

コミュニティメンバーであるお客様方は、その企業の社員ではないにも関わらず、プロダクトの推奨行動(イベントに登壇してくれたり、口コミを書いてくれたり)をとってくださるわけです。
そこには、コミュニティマネージャー&コミュニティメンバーの数だけ新たな挑戦があり、個々人がコンフォートゾーンを抜けるための並々ならぬ努力の積み重ねが存在します。

その方々を応援させていただく身であるKEENとして気付きを得たのは昨年12月、今年4月と開催したユーザーmeetupイベントでした。

β版しかない、まだまだ小さなスタートアップの小さなmeetupに、錚々たる企業のコミュマネの皆様が集ってくださいました。

今でもロゴを見ただけでビビる有名企業でコミュマネしている皆さんと

イベント開催後、お客様企業のコミュマネさんから、「今回、KEENさんがコミュニティイベントで示してくれたから、次にどうすべきかが肌で分かった気がします。私たちも、"これ"をやらなきゃいけないですね!」というお声をいただきました。
この言葉を聞いて私は、なるほどなと、納得&確信しました。
先述の通り、ネクストスターを誕生させたいのならば、「自分達もやればできそうだ」と思っていただくことが必要なのです。
「"これ”やりたい!」の、"これ"にならなきゃいけない。
行動を起こさせたいならば、私たちがお客様たちの前で、"最初のバカ"として"踊る姿"を見せる必要があるのです。("バカ"という強い言葉ですが、元ネタは、TED「社会運動はどうやって起こすか/デレク・シヴァーズ」の動画です。*3)
スターを誕生させたいならば、自らが「スターとはどんな振る舞いをするのか」を研究し、実演し、その姿を見てもらうのです。

それが、私がKEENを通じて挑戦したい、「世の中を変えるムーブメントを作ること」の最初の一歩でした。
私たちが最初に踊り出せば、面白がってくださり火がついたお客様方もきっと踊り出してくれるはずだと信じています。

そして何より、コミュニティリーダーの皆様は、物凄いプレッシャーと勇気を胸に、ステージに立ちます。
私たちコミュニティマネージャーは、登壇を依頼し応援する立場として、お客様が本番前のステージ裏で「どうしよう、緊張する」と小声で震えている姿を、何度も何度も見てきました。
挑戦をけしかけるなら、その責任を負える人であるべきだ。
身も声も震えるお客様の気持ちに寄り添える人でありたい。一番辛いところを、可能な限りわかる人になりたい。
フォロワーとして"踊る"にも、勇気が必要なんです。

コミュニティマネージャーには黒子の美学があるかもしれない。でも、本当にそれを続けて良いのか?
自分が挑戦しなければ、人はついてきてくれないだろう。

IVS LAUNCHPADのステージへの挑戦は、これまで出逢った、コミュニティで挑戦したみなさんの数だけある、様々な葛藤と熱い思いをインストールさせて発信させていただいたのでした。


「主催のHeadline様から事業に対するフィードバックと成長に向かう論点を確実にいただける」

創業期よりKEENが課題としていたのは、「事業内容をシンプルに伝える方法を爆誕させること」でした。LAUNCHPADへの挑戦はその改善機会と捉えました。6分間で、事業の可能性を期待いただき信じてもらう挑戦です。

「コミュニティマーケティング」は、比較的新しい手法です。
プレイヤーはグローバルで見ても今まさに誕生し始め成長している最中。既存領域ではユーザーコミュニティのKPI設定・成果報告が課題となっていたり、web3領域ではNFTコミュニティの立ち上がりが盛んになり、ユーザー様がついたりと、勝負どきが始まったことは確実でした。"界隈では"盛り上がっているんです。でも、大きな市場から見たらその界隈は一部のアーリーアダプターによるものなのです。

私たちがどう伝えれば、KEEN Managerの価値を多くの企業様にお届けすることが出来るのか、カテゴリーメイキングに貢献できるのか。
コミュニティマーケティングを6分間でキャッチーに伝えるにはどうすればよいのか。

応募時のピッチは、機能的な営業資料かファイナンス用の資料で、とにかく文字がたくさん。営業トークばかりしていた自分は、とにかく説明的なピッチを続けていました。

2023年6月上旬、最終選考者に向けてHeadline様が用意してくださった合同練習会に参加しましたが、その時のピッチはもう恥ずかしいくらいにボロボロ…!!!
Headline Asia Founder & Partner の田中章雄さんからのフィードバックは「とにかく喋りが早く、導入事例を見るにすごいのはわかったけど、何なのかわからない。ゆっくり喋ってください。」でした。
その後、Headline Fund 代表取締役の川村達也さんからも呼び出しを受け、「これは相当改善しなければいけないよ、一緒に頑張りましょう」と厳しくもあたたかいお言葉をいただきました。
帰り道では、「やばい、終わった、、、。登壇日は確定してるけど、これどうするの・・・??」と言う感じで、その日以降、不安と緊張が続きました。w

川村さんから「KEENの場合はスター顧客に焦点を当てたストーリーにすべきだと思います」「会社のメンバーや界隈の人だけではなく、友人や家族にもわかる話にしましょう」と金言をいただき、早速実践。
やっぱり「スター顧客」を際立たせるべきなのか…!

大学時代のバンドサークルの先輩・村越さんと阿部さんに休みの日も時間をいただきながら原稿作成・ブラッシュアップ。事業の特徴と自分のキャラクターを客観視して再構築。
Cartier Women’s Initiativeコミュニティで出逢った 起業家の海藻Tech起業家の三木アリッサさんからは、ピッチで必要なストーリーの立て方をスキトラいただきました。家族にも見てもらいました。
夫と子供の前で100回以上練習。6月半ばに子供が風邪ひいてピンチ到来し、助っ人で関西から来てくれた義理の母にもピッチを何度も見ていただきました。めっちゃ的確なフィードバックをくれました。
こんなこともなければ、友人や家族に事業の説明し理解してもらうなんて無かったと思います。「何やってるかわからん」からの脱却の機会でした。

そして、フリークアウトHD Global CEO 本田謙さん、同社のCorporate Branding担当の佐々木さん、前職時代からお世話になっているマイクロソフト業務執行役員エバンジェリスト西脇資哲さんに原稿と動画を見ていただきフィードバックをもらい、伝えるべき内容・ワードチョイスの大幅改善を重ねます。
創業期からお世話になっているデータ活用コミュニティ「nest」のコミュニティリーダーを務める吉原大騎さんにも練習のご助言をいただきます。

朝晩土日も関係なく猛特訓。
自分のプレゼンを動画に撮って、話し方や仕草の癖を改善。覚えるまで何度も何度も繰り返す。

やり続けると、学生時代に生徒会長をしていたときのスピーチ練習、高校時代の放送部の発声練習、バンドサークルの本番前のドラム練習、アルペンスキーのスタート直前の精神統一ルーティン、日本酒のアンバサダーでステージに立つ前のスピーチ練習をしていた記憶が何度も何度も頭をよぎりました。
全てに一生懸命だった"あの頃の自分"が、本物の自信として守ってくれました。これを自信と呼ぶのですね。
そして、やり切りました。
今思うと、非日常な精神状態でした。

そんなこんなで、本番のピッチはこちらをご覧ください。

直前にも関わらず、事例動画にご協力いただいた弊社のスターである ウイングアーク1st河村雅代さん、ヤンマー建機の田中重信さんにも大感謝です。ピッチが終わった後に、「お客様のスピーチ動画が凄く良かった!!!」と会場で声をかけていただきました。そうなんです。KEENのお客様がとにかくすごいんです。尊敬するお客様に囲まれ、勉強させていただく毎日です。

絶対に優勝・入賞したかったですが、他の登壇起業家さんが強すぎました…!みんなかっこいいよ。
IVS・Headlineさんは、LAUNCHPAD登壇者コミュニティと、「保てバイブス!スター顧客!!」という煽り言葉の素晴らしいギフトをくれました。そして、IVS流のスター発掘・育成の裏側を、たっぷり勉強させてもらいました。

青春でしたわ

こんなにもらってばかりで、良いんですか…?!😭って感じで、何かをどこかでお返ししないといけないと思っています。
このnoteを読んでくれているお客様や起業家の方が居たら、スター発掘・育成論はじめ お話しします!DMしてください。


「スターとは何か」を追究し、お客様を愛し愛される企業になる

LAUNCHPADでは、最後に「愛」の話をしました。
6月、弊社サービスに対するお客様からのフィードバックで、「KEENのサービスには、私たちに対する愛を感じる」と言っていただいたのが涙が出るほど嬉しくて。今回の締めに使わせていただくことにしました。
エーリッヒフロムが言うに、「愛するということは技術」なのだそうです。
愛を引き継ぐのは難しい。「コミュニティマネージャーは、AIに代替されないこれからの仕事」と表現されたこともある通り、属人性の高い仕事です。
新しい職種、新しい担当者になったとしても、愛するという技術を習得し続けることができるように、そして愛が伝染していって、世の中がもっと愛で溢れるように。私たちはKEEN Managerを通じて、新しい才能と出逢える毎日を、昨日よりも温かくバイブスが上がる未来を実現したいと思っています。

何度も言いますが、今、3人のメンバーでやっています。次に入ってくださる方々は、正真正銘の一桁社員です!!!
既に新メンバーの入社も決まっています。一緒に働けるのが楽しみで仕方がないです。あと数名分、一桁社員枠があります!!!

🌟採用サイトはこちら🌟


最後にもっと昔の思い出話を。

2017年、京都で開催された日本酒のアンバサダーコンテストで地元のお酒を主題にピッチをさせていただきました。

今ほど複業などに寛容ではない時代のサラリーマンとして、最大限挑戦できる機会でした。素敵な皆さんと切磋琢磨した良い思い出。

起業を夢見ていた私は、京都のステージに立った後に、「次は、自分でサービスを立ち上げて、多くの人にその価値を伝えたい・・・」と強く思ったのでした。

IVS LAUNCHPADのご縁があり、6年前と同じ地・京都で、夢だったステージをいただけたことを心から嬉しく思います。

「スター顧客!!!」と言い続けていますが、私もまた、日本酒というプロダクトに魅せられ発信していたアンバサダーのひとりでした。

大好きな日本酒のTシャツ×前掛けを着用し、ファンイベントのボランティアスタッフをさせていただいたときの写真。


大好きなものを伝え続け、人を集めてオーガナイズするコミュニティマネージャーをしていた私が、今は仲間と共にプロダクトを作ってお客様にお届けしています。
同時に、愛するものを発信することの怖さ、愛する人を集わせる責任の重さも経験しました。この6年強でたくさん痛い目に遭い、アイキャッチにある通り顔つきも大分変わったんじゃないかしら・・・😂w

次のIVSは、スピーカーで参加するのを目標に、事業・組織をグロースさせます!ありがとうございました!
6年分遡ったwww

本当に最後になりますが、2023年8月10日(木)に、「KEEN ALL STAR SAKE PARTY」を開催予定です。場所は恵比寿。
お世話になった皆さんにお越しいただきたいのでSave the date!またご案内させていただきます。
祝日前日なのでたくさん飲んでも大丈夫!✌️


*1) プレスリリース

*2) スタートアップコミュニティへの参加表明をしたかった

*3) 社会運動はどうやって起こすか


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小倉 一葉|KEEN株式会社 osake1st
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