今後の日経平均の戦い方
20日線と60日線の交差は、チャートの特徴として下げ止まりを示します。
だからと言って上昇局面に入るわけではありません。
特に今は300日線の下での推移。それは週足が既に上昇トレンドが崩れて、弱い局面入りしている事を示します。
正直、「300日線の下」というのは下げたとしても既にある程度の下落が済んだ後なので、そこまでの急落が見込めるかといえば高値圏からの売りに比べれば旨みが少なく、かといって買いは上に敵が多過ぎて、大底を付けた反転のタイミングまでは短期でとるしかなく、今後の日経の戦いは振られる割にあまり美味しい相場ではないということは確かです。
なので、個別株であれば今の日経のようなチャートは敢えて選ぶ必要はなく、もっと良い場面を選ぶことをおススメしますが、日経を戦うのであれば現在の状況と向き合うほかありません。
個別株を戦うにしても、日経の方向性と合わせたチャートを選ぶ方が優位性が高いので、やはりこの局面の特徴もしっかりと把握しておいた方が良いでしょう。
検証
現在の日経の位置は、下落に優位な位置に居ながらにして、一旦の下げ止まりの合図は出てしまっているので、なんとも狙いを絞りにくい場面です。
なので、過去のチャートからその特徴をもう一度振り返って確認していきたいと思います。
300日線の下で20日線と60日線が交差した後の値動きの特徴
高値圏からオレンジを緑が割り込んだ後、オレンジ下で緑と青の交差が起こった後の動きを下記の3つに分けていきたいと思います。(オレンジを緑が割った後と言っても、下から抜けたが再度緑がオレンジを割った場面は、現在の日経とは異なるので除外します)
① 全部の線の上に出るか、緑の高値越えをして上昇
② 横ばいが続く
③ 緑の前の安値を割って下落
緑と青の交差後に赤が緑を割ることなくオレンジまで上昇
緑は前の高値越えをした
緑はオレンジの上に出た=上昇に転換する可能性の方が高いので、平均コストをオレンジ上まで上げて一旦逃げる
ローソク足が青に反応しなかったことで、緑が再度オレンジを割り、緑と青も交差する事がほぼ確定したので、オレンジの戦いに負けたとみて前の安値までの下げ余地があるので順張り売り。
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結果として前の安値までは下がったが、一旦は上げの狼煙が上がったので
① 全部の線の上に出るか、緑の高値越えをして上昇 とします。
緑と青の交差後に赤が緑を割ることなくオレンジまで上昇
全部の線の上に出た・緑の前の高値に一旦負けてはいるものの、緑がオレンジの上に出ており、オレンジがサポートなって上昇
(緑が)オレンジを越えたことで逃げの建玉に変更。平均コストをオレンジ上に持って来て一旦逃げる。
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① 全部の線の上に出るか、緑の高値越えをして上昇
(このチャートは、除外でもよかったチャートでした。→緑が上から降りて来てはいるものの、その前にオレンジの上に500日線があるので、現在の日経の週足の形とは違う)
緑と青が交差をするも、同時に赤が青を割り込んでいるので、緑の高値切り下げがオレンジの下で行われることを示唆。オレンジの下で緑の安値切り下げの1回目は大きくとりやすい。
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③ 緑の前の安値を割って下落
前の赤の安値を割るまでの下落。
横ばいの中で緑の安値切り上げた後、上昇。
(この後緑が再度オレンジを割れたことで再度前の安値まで下落)
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② 横ばいの後上昇
緑と青の交差が発生するも、同時に赤が青緑を割り込んでいる
前の安値をやや割る下落の後、緑の安値を切り上げることが出来ず、更には緑の高値切り下げが青の下で行われ、前回よりも力を落として続落。
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③ 緑の前の安値を割って下落
緑と青の交差の前に緑の安値切り上げが発生しており、青とのクロスの際には緑の高値越えが同時に発生しているので、緑が上昇局面入りしたことを表す。
メモとして、紫はオレンジを割らなかった=週足で緑が青を割っていないので、まだ上げどまってはいない。
全部の線が極端に集中している。
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① 全部の線の上に出るか、緑の高値越えをして上昇
全部の線の上に出たが、緑はオレンジを越えられずに高値切り下げ
前の安値を割れた為下落局面の継続
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③ 前の安値を割って下落
青との交差の前に緑の安値切り上げが発生し、全部の線を越えた。
が、紫がオレンジを割っているということは、週足で深い傷を負いすげてしまっているので、週足の紫に当たる500日線に当たったところは売り上がりの1回目のストライク。緑の安値割れスタートの下落。
オレンジタッチで一旦売りを逃げたとしても、青に反応しなかったことから再度緑はオレンジを割ることがほぼ確定なので、前の安値までの伸びしろがあると順張り売りも可能。
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結果として前の安値までは下がったが、一旦は上げの狼煙が上がったので
① 全部の線の上に出るか、緑の高値越えをして上昇 とします。
青と緑の交差がオレンジの上でい行われているのでちょっと
違う気もしますが、週足の居所は似ているので含めると、
全部の線の上まででたものの、前の緑の高値を越えることが出来ずに下落。
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③ 緑の前の安値を割って下落
全ての線の上までは出るも、前の緑の高値と並んで下落。しかし前の安値までの下落ではなく横ばい。再度緑が紫を割ったので、青タッチの陽線は売って良い所だが、下がってよい所で下がらず怪しい。
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② 横ばいの後上昇
全部の線の上に出た。緑の高値は越えられていないが、オレンジを割らずに高値で横ばったことで青と紫のオレンジを越えて上昇へ。
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① 全部の線の上に出るか、緑の高値越えをして上昇
検証結果
途中から2⃣のような、緑がオレンジを割る前に300日線と500日線が交差をしているチャートは、週足が現在の日経とは違い過ぎてしまうので、今回の検証は日足のみで行ってはいますが、(面倒くさかったので)除外しました。
結果からの考察
日経平均30年分を振り返った結果、
① 全部の線を越える上昇 → 3回
② 横ばい → 2回
③ 前の安値を割る下落 → 4回
…この数字だけ見るとイマイチ規則性は無いように感じてしまいますが、
②の横ばいは、全部の線を割り込む程度の下落があってから、前の安値を割らずに横ばいになっています。
①も、全部の線の上まで出る上昇はあったものの、結局オレンジの戦いには負けてその後前の安値まで下落したのもが2つ。
記憶に新しい2020年の例のみ高値圏で横ばいその後上昇に転じてはいますが、やはりオレンジまでの下落はしっかりしており、更には数か月間の横ばいを経てからでないと本格上昇にはなっていません。なので、売りの平均コストをオレンジ上にさえ持ってこれれば、最悪同値撤退で逃げる事が出来るわけです。
更には、①全部の線を越える上昇の時には例外なく共通している特徴がありました。それは「赤は緑を1度も割れずに300日線まで到達している」ことです。
現在の日経はというと、赤が緑を割り込み、この条件には当てはまりません。
となればおのずと優位性のある方向は見えてくると思います。
補足
途中から週足の状況が違うからと除外をし、日足だけをみれば似ていると判断できるチャートは掲載しなかったのですが、参考までにそれらを含めた結果はというと…
① 高値越えをして上昇 4回 26%
② 横ばい 12回 40%
③ 安値を割れて下落 5回 33%
という結果でした。
横ばいが一番多い結果です。ということは、買いでも売りでもどちらでも戦えはするのですが、買うのならせめて前の緑の安値を割った位置から。
現在の中途半端な位置での買いは、上手くいけばオレンジ辺りまでの上昇は見込めるかもしれませんが、30000円を越えてそのまま更に上へ上昇するかといえばそれは無いと思います。
万が一のために、コストをオレンジの上まで持ってこれる資金管理さえしていれば、売りに優位性があるのでは…と私は考えポジッションを取っていきます。