ひとりカナダ旅行 ②

さて、カナディアンロッキーの観光拠点であるバンフに来て2日目。1日がっつりツアーに参加する日だ。
と、いきなりツアーに参加するところから始める予定ではあったが、時差ボケもあるのか、朝5時には起床してしまい、全く眠れなくなったので、朝早くからできることを探してみた。当然こんな早朝からやっているお店なんてほとんどなく、そもそも日の出の時間も7時過ぎという具合だ。ツアーの集合時間である9時半までにできることといえば、8時に営業を開始するカスケード・オブ・タイム・ガーデンを見て回ることくらいだろうか。宿から30分くらいかかることを見越して、7時くらいに活動を開始することにした。
早朝のバンフの街は思っていた以上に寒く、完全に冬の装いじゃないと厳しかった(後にツアーの方に聞いたところ、朝は2,3℃くらいだったらしい)。とはいえ、澄んだ空気の中で朝日を浴びながら街を散歩してガーデンに向かうのはなかなか気分が良い。人通りが少ないこともあり、昨晩とはまた違った雰囲気だった。
そして目的地のガーデンに着いての景色がこちら。

カスケード・オブ・タイム・ガーデン

そして有名であろう、バンフの街を振り返った景色がこちら。

カスケード・オブ・タイム・ガーデンから見るバンフの街。雲一つない青空!

朝の時点であまりにも良すぎて、ツアーの感動が朝を超えられるかちょっと心配にさえなるくらいだった。ガーデンと街からの景色を堪能し、ここからようやくツアーが始まる。

余談だが、この朝には嬉しい出会いもあった。同じドミトリーに泊まっていた日本人女性とチェックアウトする直前に少し話すことができた。連絡先を交換して、その後カナダ旅行中にお互いの観光先の情報を交換していた。同じ時期に同じ場所に一人旅をしていたという、ちょっとしたご縁を感じ、日本でいつかまたゆっくり会えたら良いなと勝手に思ったりしている。

そんなほっこりした気持ちを抱いたまま、ツアーの車に乗り込んだ。色々な話を気楽に聞きたいし、せっかくあるなら…ということで、VELTRAの日本語ガイドツアーに参加した。ずっと日本語で良いので、良くも悪くもカナダに来た感は薄れた(とはいえ当初の期待通りカナディアンロッキーの色々な話を苦なく聞けることができたので、結果としては正解だった)が、車窓からの景色は昨日から更にパワーアップして、遠くに望む山に加えて氷河や湖、川など、どこを見ても日本ではとても見ることのできない自然で溢れていて、ただの移動でさえずっとワクワクしていた。
この日のツアーはコロンビア大氷原を目指し、道中で湖などに寄っていく内容。解散が夜の8時過ぎという移動が結構長いツアーだったけれど、抜群の天気のお陰で映える景色は、本当に移動を一瞬にしてくれた。朝の心配なんて嘘みたいに、余裕で朝の感動を超えてくれた。

Bow Lake

最初にして1番のお気に入りになった場所。湖の色も、向こうに見える山も氷河も、湖畔の雰囲気も、何もかもが刺さった。眩しい光にちらちら見える綿毛(?)と目の前に開けた湖の景色を浴びた瞬間、感情が溢れてきて泣きそうになった場所。
Bow Glacierからの水が溜まってできた氷河湖だから、水はしっかり冷たかったけど、結局気温が低いのでどこも水は冷たかったかも…と終わってみると思った。山に囲まれているとはいえ比較的開けていたからなのか、他と比べて広い湖なのか、そんなに風は感じなかったけれど少し波があるような場所だった。畔を少し歩いたけど、どこから見ても好きだった。
昼休憩でサンドイッチを湖畔で食べたのも良い思い出で、それぞれ好きな場所で食べて良いとのことだったので、少し離れた所で波音を聞きながら景色を独り占めしている瞬間の贅沢さは忘れられない。いつかツアーとかではなく、自由にスケジュールを決められる旅行ができたら、ここで何時間も過ごしていたいと妄想したりしていた。

手前の低木と湖と山と氷河と青空と。本当にここにずっと居させて欲しい。1人で。
別角度からのBow Lake。どうしたってこの小船乗ってる人になりたい。

Peyto Lake

続いてのPeyto Lakeは湖畔というより高台から強烈な水色の湖を眺める形になっていて、全貌とその色の鮮やかさを感じることができた。合成かと思わせるような人工的な色味で、これが本当に自然に生まれたものなのか…?と疑問に思わずにはいられない場所だった。氷河が岩肌を削った時の岩の細かい粒が光を反射してこの色になっているらしい。それにしても加工なしでこの色なのはすごい。
1900年前後にガイドだったBill Peytoにちなんで名付けられた湖で、Peytoさんがガイドでは教えずに1人で楽しんでいた場所だとか…?
野生のリスが木の上にキノコを置いて干しているのとかも見つけられて、Bow Lakeとは全く違う景色を楽しんだ場所だった。

曇っててもこの色なのはさすがに合成(ではない)

Columbia Icefield (Athabasca Glacier)

そしてこの日の目的地、Columbia Icefield(氷原)のAthabasca Glacier(氷河)へ。説明されるまで氷河と氷原の言葉の違いをちゃんと認識していなかったけれど、氷原は地面が氷で覆われた土地で、その端が氷河として動いていくということらしい。Columbia Icefieldには6つの氷河が存在しており、その1つがAthabasca Glacierだった。ツアーを予約した後、新鮮な気持ちで楽しみたいと思い、カナディアンロッキーに関する写真や予備知識(御託)をほとんど入れずに来たので、ガイド様様だ。
ディスカバリーセンターから氷原を軽く眺めた後、Columbia Icefieldを歩くプランだったので早速移動。ここに来て寝不足で体力が限界を迎えて、移動の雪上車内の英語のガイドは全部寝てしまっていたけれど、幸い専用のアプリで各言語での解説が読めるようになっていたので助かった。。氷河の氷の形成や通常の氷との違い(圧力のお陰で含まれる空気が少ないとか、氷の色の話とか)、Columbia IcefieldやAthabasca Glacierの規模、発見から現在までの歴史や氷河縮小の話など、あの短い移動時間にもかなり情報を詰め込んでくれていたらしい。派生して色々調べたいことが出てきたけど、長くなりそうなので一旦ここまで。
ということで、150cm近くある巨大なタイヤの車から大氷原に降り立った。氷河とはいえ当然体感できるスピードでは動いていないので、氷の上にいるな…あそこから流れてきてるんだな…と山の上を見上げ、パッとしない感想を抱きつつ歩いてみるが、やはり1番印象的だったのは氷河の上を溶けた水がしっかり流れていることだった。日が昇り、天気も良く、朝に比べてだいぶ気温が上がったようには感じていたが、溶けて水溜まりになっているところや細い水の流れがあるところ、入れないエリアには内側を溶けた水が通ったのか窪みになっているのが見えるところもあり、氷河が溶けて縮小していっているというのを感じずにはいられなかった。ディスカバリーセンターでの案内板には100年前の写真があったけれど、氷河の長さも厚さも全く違うのが分かって、このままだとこの氷河が遠くない未来に無くなってしまうんだな、と思ってしまった。
とはいえ感傷的になっているだけではなく、氷河を流れる水を一口だけ飲んでみたりもしていた。衛生的ではないのでお腹を壊す可能性くらいは聞いていたが、飲んでも美味しいわけでも不味いわけでもなく…通なわけではないので、水の感想もパッとしないのであった。まぁ経験としてね。

ディスカバリーセンターから見たAthabasca Glacier。ここからの景色も信じられないくらい良い。100年前の写真と見比べた時の氷河の減り具合は結構ショックを受ける。
氷河の上から上流を見上げた写真だけど、ちょうど太陽がそっちの方向にあったから眩しくてやってられない。サングラスなかったら乗り切れなかった。

写真撮影のために停車してくれた場所たち

そんな形で一通りのツアーの目的地は巡れたわけではあるが、最後にちょっと停車して写真を撮らせてもらった絶景たちをサクッとお届け。

Bow River
Bow Glacierからの水がBow Lakeに流れ込み、さらにそこから流れる一連の水の流れを辿る川。高速道路沿いに流れていたので、かなりの間この川を眺めて移動していた。当然のように水が綺麗。
Crowfoot Glacier
左側に見えている、名前の通りカラスの足に見立てた氷河。鳥の足先のように3つ右側に向かって迫り出した氷河があったけれど、1番下の指の部分が落ちてしまって今は2つしか見えていない。
(名前忘れちゃった!!!!!!)
氷河が削ったこの景色を正面から見れるタイミングはあまりなかったので、結構新鮮だった。湖とか見れなくてもこの景色だけでカナディアンロッキーが最高なことに気付いてしまう所。

バンフに戻ってくる頃には日も暮れて暗くなっており、明日のツアーが朝早い上に寝不足と疲れで限界だったので、夕飯も食べずに早々に宿に戻って就寝した、充実の1日だった。


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