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世渡り上手

人好かれるには技術がいる。
笑い方、喋り方、接し方。
これはどのタイミングで学ぶのでしょう。
学校では教えてくれない特殊な技術。
ただし、可愛い子にこの技術は必要ない。

可愛い子ではないわたしはたくさん苦労した。
物心つく頃には何となく分かり始めていた。
可愛いねと言われる子にはみんな優しいしニコニコしていた。
失敗しても怒られている姿はほとんど見たことなかった。
反対にわたしは廊下に立たされたし、ちゃんと怒られて育ってきた。

真似してみようと思って、笑ってやり過ごそうとしたこともある。
そうすると大体の確率で苦笑いされた。
もしくは相手の逆鱗に触れた。


誰にでも優しくしたこともある。
友達はもちろん、先輩や先生にも。
そしたら都合のいい子になった。
やりたくないことはわたしに押し付けるようになった。
あの子は断らない良い子だから。
そして良い子から雑用にまで成り下がった。
優しさの概念を履き違える一歩手前までいってしまっていた。


しかしこれが永遠に続くわけではなかった。


社会に出ると確かに可愛い子は優遇されていたし、
そういう子は世の渡り方を既に学んでいる。
うまいことやるなぁと感心さえするレベルだ。

ただ歳を取るとそうもいかなくなってくる。
20代まではギリ許されても、30代になった途端に
仕事ができないと評価は面白いくらいに下げられていった。
昔は可愛くても歳とって仕事できないのはちょっとなぁ、、
どこからか聞こえる男性陣の声。
女性の世渡りは可愛いだけではどうにもならないのだ。

大体そういう女性はその歳から仕事に対する努力はしない。
どこぞのお偉いさんの愛人になるまでがセット。
そしていつか切られてしまう。

正直に思うが、こうならなくて良かった。
普通で良かったと心底思う。
人生山あり谷にありはどうやら事実らしい。

世渡りするには一筋縄ではいかない。
渡る綱は2本も3本も必要なのだ。



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