マラソンは、人生に通じるゲームみたいなもの。
ぼくがマラソンを走るのは、誰かに勝つためじゃなく、楽しむため
皆さん、マラソンって走ったことありますか。
僕は50歳になる直前に、年に1回マラソンを走ることにしました。
ぼくは、小学校の頃ンスイミングスクールに通って、スポーツでも水泳だけ人より少しできました。中学・高校も水泳部で過ごします。水泳部って、うちの学校だけだったかもしれませんが、走るの苦手なんです。
冬はプールに入れないので、学校の外周を走るのですが、バレー部、サッカー部。バスケ部、ラグビー部、いろんな運動部がある中、水泳部のランニングは明らかに遅い。そんな感じでした。
大人になって、ダンスでも積極的に走るという機会には恵まれず、この年齢になり、50歳になりかけたころ、ふと、「このままマラソンを走れるかどうかわからないままってのもなあ」と思い、マラソンに出ることにしました。
嫌いなものを敢えてやってみる。
あれから関西でやっている何回かのマラソンに出場しました。結構走れるんです。
でもマラソンって、走るだけでも抽選があって、人気のある大阪マラソン、京都マラソン、神戸マラソンはなかなか当たりません。
走ろうと思っても、走れない。
そんな感じなんです。
でも先日、ついに当たりました。神戸マラソン。
コロナ後は、去年奈良マラソンに出ましたが、それ以来のマラソンが目前に迫ってきました。
今日は、マラソンのいろんな場面での心理をぼくなりに分析し、お伝えしていきたいと思います。
最終的に、今日お伝えしたいことは、楽しみながら苦しむ。苦しみを楽しむマラソンはゲームみたいなもの、人生にも通じるところがある。
これまでの記録
ぼくが走り始めたのは大阪マラソン チャレンジランと呼ばれる10キロのコースです。このコースはあっという間に完走できました。
そこから始まり、フルマラソンを年に1回走ってます。
フルマラソン、走る前は不安でいっぱいでしたが、いざ走ってみると、42.195キロ。ぼくはめっちゃ遅くて5時間30分~6時間と参加者の中では最後尾くらいを走るのですが、いろんな思い、いろんな状況が生まれます。
大阪マラソンや京都マラソン。観光地も多く、普段よく見る風景を道路の真ん中を走る違った角度から見る。また観光地やスポットなど巡りながら、「次はあそこまでがんばろ」って思って、走り続けます。
川沿いを走る淀川市民マラソンや、木津川マラソンは、結構風景が変わりません。川の空気を浴びながら走っていきますが、途中で風景に飽きてきて、つらくなることがあります。
川沿いというと、福知山マラソンもそう。市街地から川沿いのところを往復するのですが、堤防道路の上を走る淀川や木津川とは違い、福知山マラソンは川と並行する道路を通ります。要するに、橋があるたびにアップダウンする道は、気が遠くなるほどつらかったですね。
いつもそうですが、完走のポイントは二つです。一つは、自分をしっかり持って、完走できるペースを守ること。周りのペースに惑わされないように
それと、けがをしないよう、普段から練習でシミュレーションしておくこと。
奈良マラソンは、2回出ましたが、山道で足がつって、制限時間オーバーで棄権しました。この時は、うまく体が使えなかった。
あとは場の力です。
しんどいは思い込み
マラソンでは、沿道でたくさんの人がプラカードにメッセージを書いて応援してくれます。これは、ほんととても心強い。
特にこどもが応援してくれる、最近はコロナで難しくなっていますがハイタッチしてくれる。これは、自分の力以上のものを引き出してくれます。
ピグマリオン効果とは、アメリカの教育心理学者ローゼンタールが発表した心理学の用語で、教師が期待をかけた生徒とそうではない生徒の成績には、明らかな違いが見られるという実験結果から、結果から「他者から期待されることによって成長が高まる」という結論が導かれました。
でも、いつも道路上でプラカードなどに出てくる応援メッセージ。これは
「しんどいのは思い込み」。
しんどいわ って言いたいことですが、案外これ本当なんです。
内藤誼人(ないとうよしひと)さんの著書 心理学ベスト100にあった内容ですが、ポーツマス大学のリチャード・テルウェルさんが、セルフトークと呼ばれる「自分は練習が好きなんだ」「練習は面白い」と自分に言い聞かせるようにメンタルトレーニングしたそうです。すると本当にしんどく無くなる。
つまり、しんどいは思い込みなのです。
もう少し詳しく言うと、2種類のしんどいがあります。
ひとつは身体面での疲労
マラソンでは、42.195キロを走るために何回も足を手を動かします。すると、必ずどこかの筋肉が傷んできます。
そこで、大きな筋肉を効率的に使う。大きな筋肉とは、下半身ではふとももととお尻・上半身では肩甲骨周り。ここを効率よく使っていきます。
20キロくらいまでは結構いけるのですが、問題はココから。25キロ過ぎからは身体のトラブルが必ず生じます。
痛みに耐えて、少しずつ負担を違うところにかけながら、距離を進めていきます。でも特に、ほんとうに25キロから35キロが一番しんどい。
もう一つはメンタル面での疲労
これは、目標物を失ったら、メンタル的には非常につらいです。京都マラソン、大阪マラソンでは、25キロまでは観光地が結構あり、楽しいのですが、25キロ過ぎから景色が単調になると、これは苦しい。
景色の単調さをカバーできる、例えば応援などがこのころには力になります。
奈良マラソンでは、ちょうどこの距離に差し掛かるときに、山越えがあります。この時に足がつりました
これは本当につらい。また往復なので再びこの山を上り下りするとなるとメンタル的につらくなる。
これでやられました。
今回の神戸マラソンでは、セルフトークをやってみて、心に身体に話しかけてみながら楽しんで走ろうと思います。
ランナーズハイ
人は何かに夢中になっているとき、時間も忘れて集中できるフロー状態になるとき、一番生産性があがります。
その時、脳内には、ドーパミンやエンドルフィンが分泌され、「気持ちいい」「幸せだ」という快感・多幸感ももたらします。
いわゆる「ランナーズハイ」、マラソンランナーが経験するという、苦痛のあとに訪れる爽快感・陶酔感、気分が高ぶり、いつまでも走り続けられるような気がする状態。長時間のランニングによる苦痛を和らげるため、脳がエンドルフィンを分泌する、という説が有力だそうです。
この状態になるには、明確な目標があることや、直接的なフィードバックがあること、他者とともにいること、さらに競争の要素があることなどが、フローを提唱した心理学者チクセントミハイの著書 フロー体験喜びの現象学では言われています。
例えは悪いのですが、ドーパミンはギャンブル依存症のときにも分泌されることが言われています。気持ちいい状態。これは報酬とも呼ばれていて、脳は「こうしたときに気持ちよくなる」というのを覚えて、癖になります。
ゲームも同じ。
マラソンでも、確かに最後走り切った感が気持ちいいということがよくあります。苦しいを乗り越えた先に達成感が感じられ、ドーパミンが分泌されます。
マラソンは人生に通じるものがある
マラソンをやっていて、しんどいのは思い込み。これはリアルに感じるところがあります。だって、目の前におこっていることは、自分が感じている幻想であって、しんどいというのも自分が思っているだけで、実際には何も起こってない。
こう考えると、すごく気が楽です。
マラソンはそんなことを気づかせてくれる。
ドーパミンを得られるように、自分と会話しながらゲームのように楽しむ。これは人生に通じるものがあると思います。
走っているときに、「なんでこんなコースやねん」とか、「まだ折り返さないのか」とか、「また坂道やん」とか、いろんなことを考えます。人のせいにだってするし、道路のせい、環境のせい。いろんなものに当たります。
でも結局、走るのは自分自身。前に進むも、棄権するのも、あきらめるのも自分次第。
しんどいのは思い込みであって、からださえ壊れなければゆっくりでもいいのでとにかく走りきる。沿道の声援では普段、自分って誰も見てくれてないのかもって思ってても、確実に自分を応援してくれてる。励ましてくれてる。これだけでも力になります。
25キロから35キロ。体力的にも、メンタル的にも一番しんどい時。でもこの時には、カウントダウンをしがちですが、少し考え方を変えて、まずは次の給水所まで、とか、ちいさな目標を積み上げていく。そんな風に考えます。
そしてゴールを迎えた時、周りに感謝して、すべてに感謝して、自分をほめてあげる。
そんなゲームです。
人生も同じ。通じるところがあると思いませんか?
ぼくがマラソンを走るのは、誰かに勝つためじゃなく、楽しむため
他の誰かに勝っても負けても関係なくって、自分がどうしたいか、それだけでいい。応援してくれる誰かは、必ずいます。
一度皆さんも一緒に体験してみませんか。
案外42.195キロって走れます。