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石川県能登半島地震「大学生」ボランティアバス実施報告会

2024年10月27日にオンラインでOSN大学生部会が開催されました。テーマは「能登能登半島地震大学生ボランティアバス実施報告会」です。はじめに大学生の橋本直樹さんからOSN=おおさか災害支援ネットワークは大阪府域の災害時に速やかな支援活動を実施するために、多様な市民セクター、企業、団体等が、行政や関係機関と連携し、平時から災害支援に関わる顔の見える関係づくりを目指して、学びと情報交換を年2回ほど、定例会、専門部会などを開催していることや、大学生部会はOSNの専門部会のうち1つで、災害時における大学生間の連携を広域的にかつ効果的に行えるようにし、被災支援を円滑に行うための取り組みを行っていることなど、OSN大学生部会についての説明がありました。

ボランティアバスの経緯と活動先について

次に橋本さんからボランティアバスの企画の経緯についての報告がありました。

2024年1月1日に能登半島地震が発生し、資金のない大学生はなかなか現地に行くことができないという状況を聞いたOSN大学生部会が、大学生によるボランティアバス運行を企画し、多くの大学生が参加できるよう参加費を安価に設定し、夜行バスで少しでも現地活動を増やすことにしたこと、2024年9月と10月の2回開催したこと、クラウドファンディングに挑戦し、145名から85万7000円の支援があったことなどを語りました。

また活動先の選定は、大阪公立大学のボランティア・市民センター(V-station)が独自で被災者支援活動を行う際に訪問し、現地との関係ができていた石川県輪島市、門前町を中心に選定したと話しました。

学生への周知活動は大阪府生協連合会やV-station、関西地区大学ボランティアセンター連絡協議会、さかい大学市民活動ネットワーク、OSN定例会などで周知しました。

令和6年1月1日に能登半島地震が発生し、その地震のおよそ約8か月後の9/21に線状降水帯が発生し、インフラの復旧や家屋の解体が進む中で水害にあってしまった状況の中でボランティアバス活動が2回行われたといいます。大まかに第一回目は地震による被害の復旧や片付けの段階で現地に入り、住民の精神面に寄り添う活動が多く、第二回目は、水害の片付けや、その被害の復旧がメインの活動だったと振り返りました。

第一回実施報告

第一回目は8/16から8/18にかけて実施され、石川県輪島市の門前町を中心に活動したといいます。

近畿大学、摂南大学、大阪公立大学、同志社大学、立命館大学、大阪経済法科大学、桃山学院大学、追手門学院大学の学生が参加し、6名の社会人がサポートにあたり、3つのチームに分かれて活動しました。

ありんこチーム

吉田萌恵さんからありんこチームの活動報告がありました。災害支援NPOありんこという輪島市門前町を中心に復興支援活動を行っているボランティア団体に出向き、子どもと保護者のための居場所、そしてボランティアの活動拠点として、ありんこの家を運営し、その活動拠点の民家をありんこチームの拠点として使用させてもらいました。活動では納屋の片付けや農村公園の草刈り、炊き出しのお手伝いを行ったといいます。

「ありんこの家の裏庭を、竹がたくさん生えてるのを切って、子どもたちがいっぱい遊べるように改装しました。」

リエラチーム

佐藤風花さんからリエラチームの活動報告がありました。

「被災した子どもたちと一緒にお泊り会に参加し、釣りや野球などして一緒に遊んだり、夏休みの宿題のサポート、食事の準備などをして過ごした」といいます。他にも、近くのお寺で開かれる盆踊りの準備を手伝い、地元の方と関わったのだとか。

「やっぱり現地のご家族はふだん復興活動で忙しく働いているため、子どもたちと関わる時間が少なくなったりしているんですけど、そんな中で、遊ぶことを我慢していた子どもたちと、私たちが子どもたちのやりたいことをなんでも一緒にやるということができたのはすごく良かったと思います。」

黒島チーム

黒島チームは欠席者の代わりに吉田萌恵さんから報告がありました。

活動場所の黒島町は輪島市の伝統的建造物群保存地域に指定されている、歴史的な価値がある町です。そこで、黒島復興応援隊という住民や外部ボランティアの混合チームが中心となって、全国からのボランティア希望者を受け入れながら、家屋の修繕などの復興活動を続けており、そこに参加しました。黒島天領祭というお祭りをお手伝いしたといいます。

「神輿を担ぎながら町を駆け回るのですが、最低でも6名の大人で同時に押さないと動かない重さでした。大阪から来た僕たちと他団体と協力しながら駆け回ることに成功して、達成感を覚えました。大阪からわざわざ来てくれてありがとうと優しい言葉をかけてもらい、安心したのを覚えています。今後、活動に参加する際には、祭りのお手伝いはもちろんですが、復興作業を中心に活動したいと思っており、瓦礫の撤去などをしながらも、地元の方と一緒に交流して、私たち若者の力を最大限に生かして貢献していきたいです。」


第二回実施報告

二回目の活動報告では参加者に橋本さんがインタビューする形で現場報告がありました。それぞれの感想をダイジェストでお届けします。

近成紗花さんの感想

「体力的にしんどかったのは泥を出す作業でした。なかなか復興復旧が難しいと感じました。作業としては畳を拭く単純な作業なのですが、マスクをしてないと咳き込んでしまう状況でした。」

休憩の合間にお手伝いした家のおばあさんがよく喋ってくださったといいます。

「お菓子を用意してくださったり、私たちが孫の世代ということもあって、表情が明るくなれました。しんどい作業であったり、なかなか思うようにいかない状況ではあるんですけど、ただ、そんな中で人の温かみを感じました。大学生としてボランティアに行くことの意義がそういう場面で感じられたと思います。」

上岡ひなのさんの感想

上岡さんは2日とも黒島地区で被災された方のお宅に出向き、家財の整理をしたり、ごみを分別したといいます。蔵の中に輪島塗りなど貴重な品もたくさんあったものの、被災者の方は今、仮設住宅にお住まいで物を残しておくのが困難であるため、それでも残しておきたいものは取っておいて、大方のものは確認を取りながら災害ごみとして処分したといいます。

「写真もたくさん出てきて、住民の方のお母さんであったり、お母さんのご兄弟の方、親族の方のお写真がたくさん出てきて、渋々処分する判断をしている場面がありました。」

所属チームの感想としては、被災者の方に必要か、処分するかと選択は必ず聞いていたものの、どこか捨てることが前提、片付けることを前提としてしまっていた部分があって、もう少し迷いが見えた時は、「じゃあ1回置いておきましょうか」と一旦保留する選択を残しておくであったり、もう少し悩む時間を長めに取ってもよかったと感じたそうです。

「家を綺麗にしたお礼の言葉をいただいた場面がとても多くて。少しでも私たち大学生が現地に行って何かお手伝いをする意義を感じられました。私はこれからも継続的に復興活動に関わっていきたいと感じました。」

吉田萌恵さんの感想

「崩れていた崖の土の撤去をしました。土が坂のように斜めになっていたところを垂直に掘って、上から木の板を立てて杭を打って、これ以上土が崩れてこないようにする対象を現地の人に教わりながら活動しました。」

家財道具の搬出は、家の前の広場に家具がたくさん散乱していたため、それらをトラックに乗せて搬出し、集積所に持っていくという活動をしたといいます。

「川が溢れたことによって道路だった場所が削れ取られて原型をとどめてないとか、家の中に泥が入って泥をかき出すのにも1日中かかるとか、そんな場面がありました。畳も水を含んでいて重いし、木の枝が地面に刺さっていて抜こうとしても土に埋もれていて全然抜けないとか、川の匂いが強くなっていることを嗅覚でも感じて、たいへんさを実感しました。」

佐藤風花さんの感想

2日間とも床下の泥出しを担当していたといいます。

「床の板を外せない部分の泥を中心に出していたんですけど、持ち上げるにも水分をすごい含んでいて重かったし、泥をかき出すのもすごい大変でした。このおうちの活動が今日終わったとSNSで見たので、今すごくほっとしています。」

近藤弘章さんの感想

「僕も佐藤さんと一緒に泥出しの活動をしていました。今回の活動で途方にくれるという感想もあったんですけど、僕はどちらかというと絶望よりは希望を感じることの方が多かった気がします。確実に自分がしていることが前進しているということも、現地の方のSNSからも感じ取ることができて、やってよかったなと感じています。」

もちろん自分たちが関わったレベルよりもはるかに大きな被害を受けているところもあるため、途方もないことは間違いないけれど、活動を通して地道にやっていく大変さを再認識できたと付け加えました。

「また現地に行きたいと思っています。それと、ご一緒した現地の方や他大学の方と今回また一緒に活動することができて、人とのつながりも感じることができました。このようなつながりもなかなかないと思うので、もっと大事にしたいし、広げていきたいと思っています。」

今後の展望

大阪府生協連の中村夏美さんからは今回のクラウドファンディングを通じてバス代の60万円という目標も達成し、ネクスト目標も達成し、合計85万7000円が集まったことなどの収支報告がありました。

最後に今後の展望へと話がうつりました。今後、今回の報告会に加えて活動を総括した報告書をつくろうと考えていること、関わったメンバーで大学生主体のクラウドファンディングを行って支援を継続すること、生まれたつながりを生かして、復興活動に加えて防災活動も行うとなどが語られました。

この活動は今回で終わりではなく、また続けていくことがわかりました。次はあなたのまちが被災地になるかもしれません。もしものとき、自分はどんな行動ができるのか、考えるきっかけになるかもしれません。次回この活動を開催する際はぜひOSNのウェブサイトからご応募ください。

(構成=狩野哲也

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