幸せを手に入れる最後の方法 ~2年間のカウンセリング実録~ 13.つらさの理由①
幸せになると宣言した咲笑ちゃんだったが、しばらくしてまた連絡が入る。
「まーくん、すごくつらいです。」
「咲笑ちゃん、大丈夫?どうしたの?」
「昨日夜通しつらかった。」
何かあった?」
「うん。朝までずっと。
何もない、ただただ彼が恋しくてつらかったの。」
「そうか。きちんとお話しできなかったしね。
どうしてるのか気になるよね。」
「うん。『好きだった』って言葉が聞きたくて。」
「ただ声が聞きたいだけじゃなくて、咲笑ちゃんに対する思いをきちんと知りたいんだ…。」
「彼は私を嫌いでいなくなったんじゃないと思うの。
私を逃したんだと思う。それを確認したい。
『これ以上傷つけたくない』って言ってた。」
「一緒にいると咲笑ちゃんが今よりももっと傷ついていくと思ったって意味だよね。
ひょっとしたら物理的な『傷つける』も含まれてるのかな?」
「それもあるかもしれない。
私のこと一回蹴ったから。
私を守ったんだと思う。それを知りたいの。」
「『咲笑ちゃんの事が好きなのは変わってないし、ちゃんと好きだった。そして離れたのは自分のためじゃなくて咲笑ちゃんの事を考えての事だった』って言って欲しいんだ。」
「うん。」
「でも今はそれを直接訊けないから、でも訊きたい気持ちを押さえられないからつらいんだね…。」
「うん。また無意識に引っ掻いてしまった。
今度は左の鎖骨あたり。落ち込む。」
「咲笑ちゃん、つらいね。
無意識って怖いけど、確固たる意識で進もうね。
幸せを意識する癖をつけようね。
大丈夫。咲笑ちゃんにはいろんな人がついてるよ。」
「分かってるのに、毎日いろんな人に励まして支えてもらってるのに、うまく浮上できない自分が嫌だ。」
「状況が分かってるからこそ嫌な気持ちになるんだよね。
でも今は周りの人に甘えてもいい時期かも知れないね。浮上するのはゆっくりでいいよ。
海に潜ってても、いきなり浮かぶと血中酸素が泡になって危険なように、ゆっくりじっくり浮かんでいこうね。
今の嫌な自分も必要だったと思える日が、いつかきっと来ると思うから。」
「苦しいよー。
もう生きてることだけでギリギリ。」
「咲笑ちゃん、苦しくても生きよう!
会いに行けないからこれしか言えないけど…。」
「何とか、まだ、生きてる。」
「ありがとう。咲笑ちゃんが生きていてくれるだけで、僕は幸せです。」
幸せを手に入れる最後の方法
~2年間のカウンセリング実録~
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
浮上しなきゃいけないと思うのに浮上できない。
元気づけてくれる友達に申し訳ない。
そんな気持ちになることがあります。
でもそれは自分以外の誰かを思ってのこと。
たまには自分だけを見て、自分を抱きしめる。
そんな時間を過ごすのも大切だと思います。
続きは明日更新します。
よろしければ是非おつきあいください。