幸せを手に入れる最後の方法 ~2年間のカウンセリング実録~ 29.伝えたいことを全て①
相変わらず咲笑ちゃんからの連絡は途絶えたままだった。
でもまた新たな年を迎え、僕にはどうしても咲笑ちゃんに伝えたいことがあった。
カウンセラーとしては失格かもしれないと思いつつ、僕は咲笑ちゃんにメッセージを送った。
「咲笑ちゃん、こんにちは。いつも咲笑ちゃんのSNSを見て、頑張ってる姿に勇気をもらっています。
今日まで頑張って生きてくれてありがとう。
僕の存在は、咲笑ちゃんにとっては負の象徴かもしれないと思うので、極力接触をしないようにと思っていたんですが、今日だけは伝えたいことがあって、メッセージを送ることにしました。
今日は、あの時の気持ちを思い出せるいちばんいい日だと思います。
もう一度、あの時の言葉を声に出して貰いたいと思います。
僕はいつだって咲笑ちゃんを応援してるからね。今年も咲笑ちゃんが溢れるくらいに素敵なことに囲まれる一年でありますように。
僕がSNSで投稿してる毎日の言葉、今日はその思いを綴りました。あの時の気持ちを思い出して欲しい。そして、その気持ちを取り戻してくれるように祈ってます。
-記念樹-
何かを始めた日、
何かが出来上がった日や何かが終わった日に
記念に植える木がある。
誰もが特別な日を持っている。
自分にとっての特別な日を思い出せば
特別な気持ちを思い出せば
記念樹はきっと新しい芽を出している。
苦しさのなかでも
生まれた若葉に気付くことができる。」
「連絡ありがとうございます。あの時は確かにそう思いました。
お世話になったまーくんに伝えなければいけないと思いました。
でも1年間、新たな裏切りや侮辱がありました。
死なないようにと、犬まで利用して何とか前を向けるようにと努力しました。
今では、死んじゃ駄目だと思うことをやめました。
もう、いつ死んでもいいと。空腹を感じることが、情けないです。生きるための努力をすることが、恥ずかしいです。」
「咲笑ちゃん、苦しみながらも今日まで生きてくれたんだね。ありがとう。
まだ僕にできることはあるかなぁ。僕は咲笑ちゃんが生きていてくれて嬉しいし、咲笑ちゃんが生きるための努力をしてくれてるのが嬉しいよ。」
「何かしら問題を抱えていらっしゃるようにお見受けする奥さまを少しでも安心させてあげてください。
そして、いつも、いつまでも娘さんの味方でいてあげてください。
私は、母が経済的支援で私を操っていることに気づきました。
一切の援助を断ることにしました。
私は人が怖くなり、仕事でのパフォーマンスが下がっていると思います。
収入が減ったためアルバイトを考えましたが、人も社会も怖いので出来ません。
口座に預金はほぼ無し、各支払のためのお金を貯める毎日です。
ずいぶん前から食費を削り、まともに食べていません。
痩せましたが母は気付かないようです。
生きているだけで維持費がかかります。身体機能が停止するまで空腹を我慢できない自分が情けないです。」
この時、僕はまた咲笑ちゃんからの連絡が途絶えると思った。しかし思いがけない形で咲笑ちゃんから連絡が入った。
「こんばんは。うちの母に何か連絡しましたか?」
「いえ、話したいと思うことはありますが、僕はカウンセラーとして、咲笑ちゃんの許可なく連絡することはありません。
何かありましたか?」
「そうですか。すごく食べ物を差し入れてくれるので。
つらいです。何度も腐らせています。
空腹時でも精神的に気が乗らず、食べないことが多々あり、腐らせることでまだ自虐的な気持ちになり、それでも餓死出来ない自分が情けなくなります。
腐らせることに罪悪感があります。
空腹を我慢できず食べてしまうのも情けないです。
『いらない』と跳ね返すことは怖くて出来ません。」
咲笑ちゃんとお母さんとの関係。愛情を求めているからこそ傷ついてしまう状況。
ここから抜け出すために僕が伝えられることを考えた時、この時の僕には一つの選択肢しか浮かばなかった。
幸せを手に入れる最後の方法
~2年間のカウンセリング実録~
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
自分だけの記念日を持ってる人、多いと思います。
自分が幸せだと感じるために、前を向いて歩けると勇気を持つために、そんな日を思い出せるといい、そう思います。
また、誰かにとってのそんな日を覚えておいて伝える。それも、その人にとっての幸せを上塗りしてくれるものになるんじゃないかな?と思います。
続きは明日更新します。
是非おつきあいください。
よろしくお願いします。
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