幸せを手に入れる最後の方法 ~2年間のカウンセリング実録~ 24.呪いの日②
「まーくんどうしよう。体調が悪くなってきた。
誕生日だと思うと胃が痛いです。背中も。」
誕生日を迎える心の負担が大きいってこと?」
「うん。生きていたくない。」
「咲笑ちゃんの誕生日を待ってる人がたくさんいることも負担?
生きているのが嫌になるくらい苦しいんだ。
申し訳ないって言ってたよね。つらいね…。」
「生きていることが、世間と関わることが負担。
でも誰かに甘えたい。身体中が痛いの。」
「今日も頑張ったね。つらかったね。
心の痛みが身体に現れてるのかな?
バロンへの愛情は痛みを和らげてくれてる?」
「うん。それだけで生きてる。」
「そっか。バロンには感謝だね。
バロンへの愛情、バロンからの愛情。それが咲笑ちゃんを幸せに導いてくれることを祈ってます。
甘えたいね。強くないのに頑張って元気にふるまって、苦しいんだね。」
「バロンはかわいいです。バロンが来てくれてよかった。
でも私は両親が欲しいです。誕生日は嫌いです。」
「咲笑ちゃんは自分を愛情で包んでくれる人を求めてるんだよね。
誕生日にはどうしたって両親を思ってしまう…。
だから苦しいのかもね。」
「愛情を求めてるけど、ほんとに与えてくれる男子はふってしまう。怖いから。
正規に好かれるのが怖い、そんなの続く筈がないから。
誕生日は生まれた日だから、家族の、特に母の不幸が始まった日だから呪いの日なんです。
生まれたくなかった。苦しいです、まだ生きなきゃダメ?」
「つらいね。苦しいね。
ごめんね。まだ生きなきゃだめだよ。
苦しくても、生きていてね。」
「もうやだー。」
「頑張ってきたもんね。僕は知ってるよ。
でも生きよう。つらくても、苦しくても、嫌なことが続いても。」
「疲れたよ。
パリに逃げた友達は、お父さんがすごく借金する人で苦労したけど『お父さん』の顔を知ってる。
だからちゃんと嫌いになれて、パリに逃げた。
ニューヨークに逃げた友だちは、お母さんを殺してしまう前に逃げると言って日本を出たけど、お母さんと喧嘩する度に抱きしめてくれるお父さんがいた。
二人とも、日本にこのままいたら咲笑ちゃん死ぬよって言った。
でも逃げる元気ももうないの。
言い訳だけど、私は二人の状況よりも厳しくない?」
「苦しいよね。疲れるよね。
咲笑ちゃんは頑張って生きてきたから。
頑張らなくてもいいから、とにかく生きる。
それが今、必要なことかな?
または元気なんかなくても逃げてみるとか。
咲笑ちゃんの状況は確かに厳しいかもしれない。
でも、必ず生きる方法はあると思う。
咲笑ちゃんを支えたい人がたくさんいるのは確かな事実なんだから。」
「頑張らなきゃ生きられないんです。
頑張るのをやめたら、死ぬまではいかないとしても、良くない薬や、良くない父親役の人に手を出すことになります。
頑張って、頑張って耐えてます。
バロンがいるから、そんな無様な姿は見せられないと、持ちこたえています。」
「そうか。咲笑ちゃんには頑張ることが必要なんだね。
祈ります。」
「ありがとう。
でももし死んでも、誰のせいでもないからね。
自責する人がいたら、そう言ってね。」
「分かった。分かったけど、そんなことにならないように、生きようね。」
「ほんとに、いつまで持つかわからないの。
気を引きたいんじゃないの。
自転車に乗ると、わざとじゃないのに轢かれようとしてるでしょって時がある、多々あるの。」
「咲笑ちゃんが構って欲しくて言ってるんじゃないって、分かってるつもりだよ。
でも確かに、いつ何があるかわからないよね。
咲笑ちゃんが生きている世界が続きますように。」
幸せを手に入れる最後の方法
~2年間のカウンセリング実録~
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
呪いの日。
その言葉が咲笑ちゃんの思いを象徴すると同時に、縛っている言葉でもあるんだろうと思います。
言葉って不思議で、口にするとすごく力を持つような気がします。
言霊っていうけど、確かに前向きな言葉は背中を押してくれるし、マイナスの言葉は自分を沈めてしまう。
そしてきっと、誰かに向ける言葉も、自分の口から出た瞬間に、自分にも向かってくるんだろうなと思います。
どんなときもプラスの言葉を発することができたら、それだけできっと少し幸せになれる。そう思いませんか?
思ったら、やっぱり行動するしかありませんよね。
次回はまた明日更新します。
よろしければ是非おつきあいください。
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