幸せを手に入れる最後の方法 ~2年間のカウンセリング実録~ 22.維持費②
特に理由が無くても、気分の良い日や悪い日はある。
そしてカウンセラーは、クライアントさんの気持ちを受容し、共感しても、クライアントさん自身の気持ちに引き摺られることはない。
冷たいようだが、自分の気持ちとクライアントさんの気持ちは別のものだからだ。
更に言うと、出来事に対する受け止め方は、日本メンタルヘルス協会で繰り返し学んだ内容でもある。
僕にとって、咲笑ちゃんの苦しい気持ちを聴くことは苦痛ではなく、話す相手として僕を選んでくれたという喜びであった。
そしてそんな風に話を聴いていると、クライアントさん自身が変化を見せてくれることもある。
咲笑ちゃんのメッセージが変わった。
「連日の醜いメッセージ、すみませんでした。
お忙しいのに相手してくれてありがとう。
申し訳ない気持ちでいっぱいです。
メンタルにも通ったし、愛着障害の本も読んだし、理論は分かっています。
こうなった理由も克服の方法も。
でも、いろいろついてこない、というのが正直なところです。
今日は片付けをしていて、切ない気持ちになりました。
これ以上お手間をかけるのは申し訳ないのですが、『洗う』ことに関する夢が異様に多いです。
先日はシンク(食器洗い場)、昨日は感染症の菌がついたトイレ、でした。
少し触れただけで便器が割れるほど汚くボロボロでした。
これは何でしょう。気持ち悪いです。
お時間があるときで構いません。
もしよければ診断お願いします。」
「咲笑ちゃん、おはよう。
頭で理解してることを行動に移せない自分が余計に嫌になるってこと、あると思います。
でもそれは、前に進んだからこそぶつかる壁なので、焦る必要はないと思います。
とりあえず夢分析を。いつも言ってるけど、あくまでも可能性の話です。
腑に落ちなかったら、全く違う意味を持つかもしれないので、その時は言ってね。
<夢の示す内容>
洗う:浄化、過去の洗浄、否定的感情を取り除く、緊張からの解放、創造的試み
(食器:家庭生活、対人関係)
トイレ:解放、浄化
汚れたトイレ:身辺整理や生活習慣改善の必要性
<分析>
『洗う』というキーワードは、総じて良い意味で出てくることが多いです。
であれば、否定的感情からの解放を求めて、やるべきことは分かってるけど、実行には移せていないってところでしょうか。
もしくはこれから実行に移す時期だということかも。
実際に洗ったり流したりしていたのなら、もうすぐそこに至るということを示してくれているかもしれません。」
「ありがとう。4、5回、『洗う』ことがテーマになっている夢を見ましたが一度も水を流したシーンはありませんでした。
汚い、嫌だ、洗いたい、と思うけど実際は洗っていません。
私を助けてくれる人に対して、ずっと申し訳ない気持ちでいたたまれなかったんだけど、私がただ生きてることが、更には楽しそうに笑ったりしていたら、それが恩返しになるのかな、と思うようになりました。
連日の暗い愚痴に付き合ってくれてありがとう。」
「うん!咲笑ちゃんが笑顔でいてくれると嬉しいんだよ。
咲笑ちゃんが生きているこの世界に意味があるんだよ。
助けてくれる、と咲笑ちゃんは言うけど、咲笑ちゃんが気付いていないだけで、咲笑ちゃんに救われてる人だって必ずいる。
恩返しのためでもいいし、そうじゃなくてもいい。
生きて、時には笑う。そんな日を続けてください。
連絡してくれてありがとう。」
幸せを手に入れる最後の方法
~2年間のカウンセリング実録~
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
ただ生きていること、笑っていることが、自分を助けてくれる人への恩返しになる。
咲笑ちゃんはそう思えるようになったと言ってくれました。
愚痴を溜め込むのもストレスです。
カタルシス効果といって、声に出すことで発散できることもたくさんあります。
あなたにはどんな話でもきちんと聴いてくれる人、どのくらいいますか?
一人でもいれば、それはとても幸せなことだと思います。
大切にしてくださいね。
友達はいるけど、この話はできない…そんなときはカウンセラーの出番です。
選択肢として頭に入れておいてください。
次回はまた明日更新します。
このカウンセリング記録も佳境です。
よろしければ是非おつきあいください。