公衆浴場の価格統制は戦後レジーム
大阪市減税会 事務局 陰気なたまむし (@inkinatamamushi) です。関西で継続的に減税活動し活動報告をしますので、フォロー頂けたら幸いです。
今回は公衆浴場の価格統制、規制について、大阪府を例に解説したいと思います。
物価統制令による価格規制
公衆浴場とは、公衆浴場法によって「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」と定義されており、その価格は物価統制令によって、入浴料金が定められている。この物価統制令の根拠法は、「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係諸命令の措置に関する法律」という法律によって定められています。
この法律は、ポツダム宣言後の日本において、生活必需品など多くの物品の価格を統制する目的で、連合国軍最高司令官からの要求として、日本政府を介して国民に命令が下されました。1952年に法律として施行されてから70年たった今、農産物などは価格統制の対象から外れましたが、唯一公衆浴場のみ価格が統制されており、各事業所が自由に価格を決められません。
私は、これを戦後レジームの一つとして考えています。この資本主義の中で価格を政府が決めるというのは規制の極みだと思います。
大阪府の価格の決め方
公衆浴場の入浴料金は、物価統制令によって決められていますが、その価格を決めるのは各都道府県の審議会等で決められています。大阪府ではその審議会の中で審議されて価格が決められていますが、それは前年の確定申告資料、アンケートから決められています。
参照:https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/attach/hodo-42036_5.pdf
算出資料を見ると、R2年以降の入浴料金はH30年の浴場の決算を根拠に価格が決められています。計算の仕方を簡単にいうと、H30年にかかった大阪府のいくつかの公衆浴場のコストを平均し、そこに人件費増加率などの補正をかけて価格を決めています。つまり、各公衆浴場で立地などの事情が違うはずが、大阪府内全域で平均されて価格が決められてしまうわけです。
価格規制による不具合
この価格の決め方によって多くの不具合が考えられます。
例1:多くの事業所が利益を増やすために、コスト削減を頑張りました。その結果、コストが下がり、それに伴い翌年の入浴料金が下がり、翌年以降の利益が減る。
例2:事業者の高齢化によって、営業日数、営業時間を減らし、利用者数を減らしました。それによって、コスト(固定費)に対して利用者数で割ると入浴料金が増える。
つまり、競争が働かないので、頑張るインセンティブが非常に低いわけです。これだけ見ると、頑張る事業所は、頑張らない事業所に入浴料金を介して足を引っ張られる形になります。
公衆浴場に対する規制
他にも、公衆浴場は構造などを各都道府県で定められた条例によって配置構造が定められています。
例えば大阪府においては、市内においては公衆浴場は200m以上近くに配置してはいけません。すごい既得権です。近所でいろいろな公衆浴場を楽しむことは難しいわけです。また、脱衣室、洗面所、浴室は毎日清掃しなければならないことがわざわざ義務付けられています。浴槽水についても、循環型には濾過器の設置が必要で、かつ、毎日、あるいは1週間に1回の入れ替えが必要です。さらに、打たせ湯は基本的に循環水を用いてはならず、さらに浴用材(入浴剤)は使用してはならないことになっています。
他にも、飲用水を供給する設備を設置しなければならず、当該設備により供給される水が飲用である旨を利用者の見やすい場所に表示しなければならないそうです。
公衆浴場は多くの人が入浴する施設である以上、感染症等を防ぐためにいろいろな規制があるようですが過剰なような気もします。また、どの公衆浴場も似たような構造になるのは、こういった規制、価格統制があるからなのだと思います。
調べれば調べるほど規制がガチガチで、競争が働かない世界なのだとわかります。いずれ余裕ができたら府議会議員にアプローチしたいと思います。
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