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増税は自殺を増やす
大阪市減税会 事務局 陰気なたまむし (@inkinatamamushi) です。関西で継続的に減税活動し活動報告をしますので、フォロー頂けたら幸いです。
今回は、自殺と増税の関係について分析した論文を紹介します。
自殺率の分析
公衆衛生学の中で、失業率と自殺者数の関係についてはよく分析されており、失業対策は自殺対策につながるというのが基本的な考え方で存在します。そんな中、「積極的労働市場政策(ALMP)」によって自殺が減るかどうかをOECDデータを用いて分析した論文がありました。
立命館大学の柴田悠さんの論文では、いろいろな要因を加味して失業対策が統計的に有効な意味を持って自殺率減少に影響を与えていることを分析しました。その中で、政府の税・社会保険料収入の増加、つまり増税等が自殺率上昇に影響を与えていることも分析しており、その影響は統計的にある程度有効な意味を持っているという結果でした。(*がp<0.05なので、有意水準5%で有意)
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2014年2月 社会学評論257号 65巻 1号 p126抜粋
この論文は増税と自殺率の関係をメインとした論文ではないため、詳しい言及はありませんでした。しかし、増税によって自殺率が増えるということを示したものとして、一定の解釈が可能に思います。
松方時代
税負担と自殺の関係は何も近代に限った話ではありません。1880年代からの自殺率と税負担の関係について分析した論文があります。
早稲田大学の安中進さんの論文では、松方財政期における、土地関連税の不納(税金払えない人)と自殺率に強い相関がありそうだと報告しています。この時代はデフレによる不景気の中、高い地租によって農家の人が自殺したと報告しています。
この論文は、具体的な税負担と自殺率の関係を詳細なデータで分析しており、とても面白い内容です。
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社会経済史学 86-1 2020年5月 p37より抜粋
最後に
昔から国民は税に悩まされ自殺してきた人がいると思うとなんともいえない気持ちになります…逆にいえば減税によって救えた命があったと言えるということです。
自殺率は、失業や離婚などが多くの原因であることから税負担が分析対象になることは少ないようです。そのため、分析事例の少なさから上記2つの論文を持って増税によって自殺率が直接増えるとは断定できないと思われます。しかし、税負担の増大が失業などを誘引していると考えられる場合には増税が自殺を増やすといっても問題ありません。
以下にURLを載せておきますので、興味のある方は読んでみてください。
安中進 松方財政期における土地関連税不納と自殺
柴田悠 自殺率に対する積極的労働市場政策の効果