幼なじみと同じ学園生活を送りたい!-3話-

昼食を済ませ勉強会を再開する二人
熱中すると意外と時間は進んでおり午後4時
「うーん、今日はここまでー!」
伸びをしながら菜央は言う
「菜央ちゃんの教え方が上手いから結構進んだよ」
「そお?ならよかったよ」
「ありがとう」
「ずっと頭使ってたからちょっと公園で身体動かさない?」
「うーん」
「そんなに激しい運動しないよ、運動神経鍛える感じで!」
「じゃ、じゃあ」
と翔平は言いながらも、少し強引に物事を進める性格は昔から変わらないな、と笑みをこぼす

公園のブランコに揺られる2人
翔平は少し微笑みながら隣の菜央に語りかける
「ここで遊ぶのも結構久しぶりだね」
「そうだねーここで遊ぶこともなくなったよね」
「最近は外でご飯とかカラオケとか行ってたから、ここには来なくなったよね」
「それが大人になったってことかな?」
「そうかもね」
「翔ちゃん、実はね?」
「ん?」
「あたしこの公園に…」
「うん」
「いや、なんでもない!」
菜央はそう言って勢いよくブランコを飛び出す
「翔ちゃん!鉄棒ちょっとだけやろう!」
「えー鉄棒苦手なの知ってるよね?」
「苦手も克服していかないと!いい大人になれないよ!」
「じゃあ…ちょっとだけ」
「そうそう!その意気込みで!」
「よっと!」
鉄棒に手を掛け身を伸ばし、前回りの準備体勢に入った翔平
「っん…!」
その刹那、全身を大地に打ち付ける恐怖に全身がこわばり震え、脚を地に付けてしまう
「やっぱりボクこわいや…」
「翔ちゃん…無理強いさせてごめんね」
「大丈夫だよ、こっちこそごめんね」
「じゃあ帰ろっか」
「うん」

その夜
「あたしこの公園に…」
あの瞬間見せた悲しみの表情が浮かんでは消え、また浮かんでは消える…
「菜央ちゃんあの公園で何かあったのかな…」
そう呟き、翔平は目を閉じ眠りにつく


「んっ…んー」
スマホで日時を確認すると月曜日の朝6時30分
菜央は身体を起こし勉強机をぼんやり見つめ微笑み呟く
「おはよう、今日も頑張るよ」
その後洗面台で顔を洗い歯を磨いてキッチンへ向かう
「今日ママ夜勤って言ってたなぁ、食パンでいいか」
食パンにチーズとベーコンを乗せてブラックペッパーをかけてオーブントースターで焼く
チン!
菜央お気に入りのピザ風トースト
「いただきます」
カリッ ジュワッ
「うんま~」
思わず顔がニンマリする
「ごちそうさまでした」

パジャマから制服に着替えて学校へ行く身支度をする
「さて今週も頑張りますか」
家を出て自転車のロックを外してサドルに跨る
「翔ちゃんは…まだ寝てるかな?お寝坊さんだからね」
そう呟き走り始める

駐輪場の学年所定の位置に自転車を留め自分の教室へ向かう
「おはよう~」
「おはよう」
クラスの見知った顔と挨拶を交わす
「芳賀ちゃんおっはよー♪」
ご機嫌に挨拶してきたのは結城果奈(ゆうき-かな)
名前順で菜央の前の席で仲良くなった子だ
「おはよう、どうしたの?超ご機嫌じゃん」
「ふっふーん、聞いてくれたまえよ」
人差し指を左右に振りながらドヤ顔をしている
「この間話した部活の先輩いるじゃん?」
「うんうん」
「昨日告られたんだよねぇ♪」
「おおおお!おめでとう!」
「人生初の彼ぴっぴ!私幸せだなあ」
ミュージカルのように大袈裟に身体を動かして喜びを表現してくる、ちょっとうざい。
「きっと結城さんの素直な性格が先輩に刺さったんだね」
「えへへ~ありがとう~」
「それはそうと芳賀ちゃんは気になる人いないのっ?全力でサポートするよっ」
一瞬だけ翔ちゃんの顔が浮かぶが結城さんには伝わらないと思いお茶を濁す
「えっ…別にいないかな…?」
「えー、じゃあ彼ぴと一緒に学校内のイケメンリサーチしとくからまた報告するねっ」
「あ、ありがとう( ̄▽ ̄;)」

キーンコーンカーンコーン
始業開始のチャイムで一斉に席につき始める
担任の先生が教室に入って教卓に立つ
「あーいおはよう、じゃあ出席とるぞ~」

今週も平和な学園生活が始まった

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