鼻でかおじさんのカレンデリア
カレンデリア をご存知だろうか。
ご存知ない人は、かなり出遅れています。
大嘘です。
フィリピンのローカル向け、大衆的な食堂を「カレンデリア」と呼ぶ。
おそらくフィリピンに渡航した人はみたことがあると思うけど、道路沿いによくあるオープンエアーのレストランだ。
たいてい不機嫌そうなおばちゃんが、銀色の鍋が並ぶ机の前にデンと座っている。
で、適当に並べられたプラスチックみたいな椅子に、真っ黒に日焼けした兄ちゃん達が座って、ご飯にがっついている。
なんともフィリピンらしい光景だ。
カレンデリアはとても安いので財布にも優しいのだが、なんせ味付けがフィリピン人好みすぎて、あまり利用していなかった。
フィリピン人好みとは激甘か激辛、ついでに激オイリーみたいな味だ。
私は文化の違いをディスることはほぼしないんだけど、フィリピンの味付けにだけは大声で文句を言う。
”激”をはずした味付けはないんか!!!!
と、いう私の中では物議を醸していたカレンデリアだが、最近日本人スタッフ達がとあるカレンデリアをよく話題に出すようになった。
それはどうやら、私の家から徒歩10分くらいの場所にあるらしい。
目印は「オーナーが、鼻がでかいおじさんの店」。
むずかしすぎる。
鼻がでかいか小さいかなんて、主観的な意見じゃないか。
ただカレンデリアは基本Googleマップにも載らないので、「鼻のでかいオーナー」と心許ない地図情報で店を探すほかなかった。
そんなこんなで1ヶ月くらい経ってしまったが、最近やっとその店を特定した。というか店の外観写真を見せてもらって、わかった。
2日ほど前、その店の近くで用事もあったので、半信半疑で入店した。
注文方法は鍋の中身を確認した後、欲しい料理をオーダーし、そのまま皿によそってもらう。
頼んだのは「パンシット」というビーフン風の麺類だった。
一口食べてみると、これがめちゃくちゃ旨い。
甘さも辛さもなく、適度な味付けがビーフンに絡んで、最高に旨いのだ。
盛られた小皿をぺろっと平らげ、もう一皿おかわりした。
3皿目いけてしまう旨さと安さだったけど、お腹がいっぱいになったので2皿で渋々ストップした。
これは、誰が監修しているのだろう。
日本人か韓国人のオーナーがいて味付けをしているとしか思えない。
この旨さが一皿100円弱で食べられる世界線に、ただただ感動と感謝が溢れた。
ちなみに別の日、たまたまその店で同僚と出くわした。
日本語は通じないから小声じゃなくていいのに、「後ろ見てみ」とひそひそ声で伝えてくれた。
少し間を開けて後ろをチラッとみると、めちゃくちゃ鼻の大きなおじさんが退屈そうに座っていた。
こんなわかりやすい説明で、自分は気づけなかったのかと反省。
以降社内では、「鼻でかおじさんのカレンデリア」が共通語となっている。(ごめんなさい)