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Vol.2「北枕」

北枕は縁起が悪い⁉️

「北枕で寝てはいけない。」

ご家族から言われたことはないですか?

「北枕」とは言葉通り、北に枕を向けて寝ること。通常、亡くなった人は北枕でご安置をします。

これを「枕直し」と言います。

北枕は「死」を連想させるので縁起が良くないと、忌み嫌われたのかもしれません。ただし、北枕を嫌うのは、仏教国でも日本だけのようです。

ではなぜ、亡くなった人を北枕で寝かせるのでしょう?

お釈迦様、死す

今から2500年前のインドまで遡ります。

紀元前383年ごろの旧暦2月15日。インド北部にあるクシナガラという小さな農村で、仏教の開祖であるお釈迦(しゃか)様が亡くなられました。

お釈迦様は弟子に頼みます。2本並んだ沙羅双樹(さらそうじゅ)の花の間に、頭を北に向けて床を用意させました。

インドでは故郷に頭を向けて寝る習慣があり、クシナガラ村からお釈迦様の故郷は北の方角だったのです。

「頭北面西右脇臥(ずほくめんさいうきょうが)」

お釈迦様は頭を北に、顔を西に向け、右脇を下にして、息を引き取られました。

信者たちはこれ以降、誰かがが亡くなると北枕で寝かせるようになりました。

「お釈迦様と同じ極楽浄土へ行けますように」

という願いが込められているのかも知れません。ですから、ご遺体を安置する時には北枕に、それが無理なら西を枕にして寝かせます。

お通夜はこうして生まれた

お釈迦様が亡くなられたあと、その死を悲しんだ沙羅双樹の花の色が白色に変わりました。

祭壇に飾られている「四華花(しかばな)」は、これになぞらえています。

お釈迦様の元に集まった弟子たちは死を悼み、お釈迦様の遺した教えや説法を夜通し語りました。これが「通夜」の起源と言われています。

お釈迦様が亡くなった2月15日には『涅槃会(ねはんえ)』という法要が全国のお寺で営まれます。

神道も北枕?

仏式で北枕で寝かせる理由はおわかりいただけましたか?
では、神道(神式)の場合はどうでしょうか。

神道では北と西が上座になり、最上座にあたる北に頭を向けて寝かせます。

つまり、神式も北枕で安置します。

仏式と同じく「枕直し」と言います。

キリスト教は、、、こだわりません。

実は、浄土真宗もこだわりません。浄土真宗の教えでは、北枕にこだわらなくても極楽浄土に往けるからです。

ただし、「死んだら北枕」と一般常識的に思っている人は多いです。できるだけ北枕、無理なら西に頭を向けて安置をしてあげてください。

ご自宅に安置をする場合は、お仏壇に足を向けないように注意しましょう。

実は健康的だった?!

科学的には、北枕で眠るのを奨励しているそうです。
方位磁針が南北を示すように、地球には北極から南極にかけて磁場の流れがあります。体に磁場がまっすぐ通ることによって血行が良くなり、疲労回復の効果が期待されているんだとか。

本当かどうか、今夜さっそくお試しください。

(表紙イラスト/きむら)


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