製薬企業 2021年3月期Q2決算まとめ ―大手製薬―
こんにちは!
今回は10月、11月に発表された2021年3月期Q2決算について自分なりにまとめてみたいと思います。多くの企業がCOVID-19(新型コロナウイルス)や薬価改定の影響をうけ、減収減益を発表しました。また、IQVIAは2020年7~9月期の国内医療用医薬品市場が前年同期比5.1%減の2兆5346億4400万円だったと発表しました。製薬企業はCOVID-19のみならず、薬価改定の影響を受け、厳しい時代に差し掛かっています。
武田工業薬品
2020年4~9月期について、売上収益1兆5907億8500万円(前年同期比4.2%減)、営業利益2155億8800万円(97.7%増)。潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」が前年比25.8%増で好調でした。減収は事業売却や特許切れ、為替によるものであり、COVID-19による影響はなかったとしています。通期予想は売上収益3兆2000億円(従来予想比500億円減)、営業利益4340億円(同390億円増)に修正しました。
アステラス製薬
2020年4~9月期について、売上収益6154億8000万円(前年同期比5.4%減)、営業利益868億7200万円(同46.4%減)。独占販売期間満了品、日本での販売契約終了品により減収となりました。また、抗TIGIT抗体「ASP8374」開発中止により305億円の減損を計上しました。「ASP8374」は2018年に米ポテンザ・ファーマシューティカルズを買収し、取得した薬剤です。通期予想は売上収益1兆2565億円(従来予想通り)、営業利益2105億円(同360億円減)に修正しました。
大塚ホールディングス
※大塚HDは1月~12月の決算のためQ3
2020年1~9月期について、売上収益1兆670億円(前年同期比3.7%増)、営業利益1717億円(同14.6%増)。グローバル4製品が順調に伸長し、増収増益となりました。しかし、グアデシタビンの開発中止(107億円)およびバダデュスタットのフェーズ3の結果(141億円)から減損を計上しました。通期予想は売上収益1兆4100億円(従来予想比100億円増)、営業利益2030億円(同10億円増)に修正しました。
第一三共
2020年4~9月期について、売上収益4801億6800万円(前年同期比0.1%増)、営業利益584億6500万円(32.1%減)。抗がん剤「エンハーツ」や抗凝固剤「リクシアナ」が伸長しましたが、国内薬価改定やCOVID-19の影響から前年と変わりませんでした。また、順調なADC(抗体薬物複合体)の開発費増額から減益となりました。通期予想は売上収益9600億円(従来予想比100億円減)、営業利益は600億円(200億円減)に修正しました。
エーザイ
2020年4~9月期について、売上収益3170億4400万円(前年同期比5.9%増)、営業利益340億7900万円(6.4%増)。抗がん剤「レンビマ」や「ハラヴェン」が伸長したほか、タゼメトスタットのロイヤリティ収入から増収増益となりました。通期予想は売上収益7190億円、営業利益880億円を据え置きました。
中外製薬
※中外製薬は1月~12月の決算のためQ3
2020年1~9月期について、売上収益5765億円(前年同期比13.3%増)、営業利益2319億円(同35.5%増)。自社創薬した「アクテムラ」や「ヘムライブラ」が伸び、大幅な増収増益となり、第3Qとして過去最高を更新した。通期予想は売上収益7400億円、営業利益は2750億円としました。
まとめ
大手製薬企業はCOVID-19や薬価改定の影響を受けつつも、堅調な成長を続けている様子が見て取れる決算でした。これはどの企業も海外売上比率が高いことによると考えられます。今後も海外売上比率を延ばしつつ、革新的な新薬を生み出し、成長していく製薬企業がみたいですね。