短下肢装具で底屈を出す意味はあるの?
結論、底屈を出す意味は、僅か(症例数は限られるけど)ながらあるかと。
脳卒中片麻痺者の歩行と短下肢装具の関係
脳卒中片麻痺者の歩行再建を考えると、短下肢装具は大変有効な手段だと思ってます。
今日は、短下肢装具でも、ダブルクレンザックの底屈の意味について、症例を通して検討します。
そもそも、支柱付き短下肢装具において、底屈方向に動く意味ってどのようなことが考えられますか?
基本的には、底屈を「制限する」ことが片麻痺者の歩行再建に重要ですよね。
脳卒中片麻痺者の歩行障害には、大きく2つの問題があります。
一つは、遊脚期の問題。
下肢の麻痺によって、振りだすことができない。
体幹や骨盤を使ってなんとか振り出そうとしても、足関節が底屈したままひっかかる、ひきずる。
もう一つは、立脚期の問題。
一言でいうと、安定しない。
内反したり、膝過伸展したり‥
そこで有効なのが、短下肢装具の「底屈制限」。
歩行の問題(遊脚期と立脚期)を両方解決できちゃいます。
底屈制限をすることで…
遊脚期振り出しの改善
内反などの足関節不安定性の改善、膝過伸展の改善
が得られます。
では、「底屈」を出す意味があるのでしょうか?
GS(ゲイトソリューション)じゃないですよ。
シンプルなダブルクレンザックの底屈方向の話です。
短下肢装具の底屈を許容した症例
底屈を出しても悪くないかな?と思った症例を紹介します。
支柱付き短下肢装具・足継ぎ手ダブルクレンザック(底屈0°、背屈15°遊動)、4点杖、3動作前型歩行。
歩行は、立脚中期で麻痺側前足部が挙上したままで踵のみ接地している状態。
その後、非麻痺側を出す際や出した後、時折後方にふらつき、介助が必要。
麻痺の改善や前足部に体重をコントロールする練習などを実施した結果、部分的に改善するものの、前足部が挙上したままの現象は残存。
立脚期の支持基底面が踵だけになっていることは問題だと考えて、前足部が接地する方法を検討。
膝過伸展歩行にはなることが予測されるものの、前足部が接地する方法の一つとして、底屈10°遊動にしてみました。
すると…
立脚中期で膝過伸展歩行にはなるものの、立脚中期で前足部が接地して、非麻痺側を出す際の後方へのふらつきは消失!
おお!!
課題は、クリアランスを保つのが大変で、振り出しがやや努力的になることでした。
総合的には、介助量と転倒リスクで考えると、底屈10°遊動の方が良いと感じました。
皆様は、いかがでしょうか?
ダブルクレンザックで底屈遊動を出したケース等あれば、ぜひ共有して貰えれば嬉しいです。