ロービジョンケアの第一歩は「必要な情報を必要とされる患者さんに届けてあげること」
「眼科では何も教えてくれなかった。私は目は見えないけど、いろんなことにチャレンジしたかったのに。こんな道具があるの?歩く訓練や食事を作ることもできるの?どうして誰も教えてくれなかったの?」
福祉機器展の相談コーナーで、私が実際に聞いた言葉です。
(北九州で毎年行われている、視覚障害者のための機器展)
私は「視覚障害者自立支援推進協会あいず」に所属しており、福祉機器展では毎年、相談コーナーを担当しています。
ヘルパーさんに連れられてきた60代前半の女性。その女性が涙ながらに話してくれた言葉が、先ほどの言葉です。
では、通っていた眼科の先生がスタッフが意地悪で情報提供をしなかったのでしょうか?
そんなことありませんよね。
問題点があるとするならばただ一つ、その女性が通っていた眼科の先生・スタッフを含め
ただそれだけだと思います。
必要な情報を必要とされる患者さんに届けてあげること
これがロービジョンケアの第一歩だと私は考えています。
ロービジョンケアって、正直難しいって思っていませんか?
私も苦手で、「ロービジョンケアって難しいな」って最初は思っていました。この「難しそう」っていうイメージが、ロービジョンに興味をもつ視能訓練士が少ない理由なのかもしれません。
私が皆さんにお勧めするロービジョンケアの第1歩は
私は以前、一人で苦しんでいたロービジョン患者さんを歩行訓練士に紹介したところ
「あなたのおかげで人生が変わったよ。ありがとう」
と、言ってもらえたことがありました。
難しいロービジョンケアを学ぼうとしなくても、情報をお伝えするだけで助かる患者さんがいるのです。詳しいロービジョンケアを学ぶのは、その後でも大丈夫です。
「必要な情報を必要とされる患者さんに届けること」
困っている患者さんがいたら、必要な情報を伝えて下さいね。行く、行かないは患者さんの判断になりますが、情報がないとその選択さえできないのです。
どんな情報提供をしたらよいの?
とはいえ、全く他職種の方と交流が情報がなければ、どこに紹介してよいかわかりませんよね?
この記事を書いているリアルタイムでこんなツイートが届きました。
このツイートを見た瞬間、絶対に紹介しようと思いました。
近くにロービジョン外来をやっているところがあれば、そこへ紹介してもらえばよいと思いますが、ない・知らない場合は
歩行訓練士の仕事をまとめた記事は⇩
まずは近くにいる歩行訓練士に相談してみてはいかがでしょうか。
近くにいない場合でも、電話してどうすればよいか聞くことはできると思います。
理想は他職種との連携
私は北九州市で、ロービジョン勉強会の事務局をしています。
視能訓練士以外に
年に数回勉強会・情報交換会を行っています。
困ったことがあればお互い協力し合い、ロービジョンの方を支援できる知恵を出し合います。この関係性ってとてもありがたくて、医療職だけでは解決できないような悩みも他職種の方が連携することで解決できることが多々あります。
最初は歩行訓練士に連絡して、協力を仰ぐことから始めてそこから連携を広げていってみてはいかがでしょうか?顔見知りになっていると、患者さんを紹介しやすいですよ。
以前、私が歩行訓練士や視覚障害者団体に見学を申し込んだところ
「医療側からアプローチされることはめずらしい、ありがたい」
とおっしゃっていました。
医療側にアプローチする方が、仕切りが高い・難しいケースがあると。
だったら、積極的に医療側から動きましょう。そんな仕切りは取っ払いましょうね。
まとめ
ロービジョンケアの第一歩は
そこから他職種との交流を深めていってはいかがでしょうか。
先日、「ロービジョンケアの垣根を取っ払おう」というテーマで、ある眼科でお話しをさせていただきました。自分の思いがどこまで伝わったかはわかりませんが、誰か一人でもロービジョンケアに興味を持ち、始めるきっかけになってくれたら嬉しいですね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。