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サギングアイ・シンドロームについて、後関先生から学んだことをまとめてみました。
斜視ときくと冷や汗がでて、プリズムを持つ手は震え…
こんにちは、斜視検査と子どもの検査が苦手なケンです。
どのくらい苦手って、新人教育プログラムで両眼視機能を受けたら、確実に怒られるレベルくらいの自信はあります。
そんな私が、斜視のことをこのブログで書く日がくるとは思いませんでした。
そのきっかけは、sagging eye syndrome(以下SES、サギングアイシンドローム)について、後関利明先生から学んだことです。(後関先生は、来年の斜視・弱視学会の総会長です)
知り合いの水戸にいらっしゃるCOさんにくっついていると、素晴らしい先生と出会えるんですね。
私は、後関先生のSESの講義を、幸運にも1年間に3回も聴くことができました。
斜視の苦手な私は、最初はチンプンカンプンだったのですが、2回目3回目と講義を聴いて、そして論文(斜視の論文は後関先生以外のは読んだことない)を読むことで、SESの知識が少しだけついてきました。
SESについて、私が学んだことをまとめると
SGSの特徴
1.眼窩プリーの加齢性変化によって発症する斜視
2.LR‐SRバンドのたるみ、外直筋プリーの下垂が影響
3.高齢になればなるほど、SESの割合が(他の斜視と比較して)高くなる
4.女性にやや多い
5.プリーの障害が両眼等量に障害されるか、左右差があるかによって斜視のタイプが異なる
6.上眼瞼のくぼみ(sunken upper eyelid)がSESで多くみられる特徴
7.平均10△の遠見内斜視か、外方回旋と平均約4△の上下斜視
SES(サギングアイシンドローム)について
SES(サギングアイシンドローム)は、眼窩プリーの加齢性変化によって起こる斜視です。
プリーはですね
眼窩壁から懸垂する格好でリング状に眼科赤道部を取り囲むTenon嚢内に存在する結合組織。コラーゲン、エラスチン、平滑筋から構成されています。その役割は、外眼筋の機能的起始部として働き、さらに外眼筋の走行を制御します。
後関先生の講義では、動画で見せてくれていたのでわかりやすかったですが、プリーは滑車のような働きをしていました。
イメージはこんな感じ。(娘作)
![](https://assets.st-note.com/img/1710762939155-R2qsZ9g0Wp.jpg)
加齢により、LR-SR(外直筋-上直筋)バンドが菲薄化して、外直筋プリーがたるんで下方にずれることで起こる斜視がSESです。
両眼に均等に障害されれば、遠見内斜視(開散麻痺)、片眼だけが障害されたら、小角度の上下斜視(回旋を伴う)を発症するようです。
せっかく英語を勉強しているので
・外直筋⇒lateral rectus muscle
・上直筋⇒superior rectus muscle
※rectusが直筋という意味
だからLR-SR bandが外直筋-上直筋バンドになる
SESでは、下斜視眼の外方回旋が現れるのが特徴です。
SESの男女比は、やや女性に多く(女性:男性=6:4)コラーゲンの減少が関係しているのではないかと言われていました。
そして、論文や後関先生の講演で話されていたことで、強く印象に残っているのが
✅SESでは上眼瞼のくぼみが多くみられる特徴
他の論文では、眼瞼下垂、バギーアイ(下眼瞼のたるみ)も特徴としてでているものもあるそうですが、後関先生の研究では、上眼瞼のくぼみが最もSESで現れる特徴とおっしゃっていました。
ちなみに
・上眼瞼のくぼみ⇒sunken upper eyelid
・眼瞼下垂(症)⇒blepharoptosis
ふぅ、頭がいっぱいいっぱいになってきたぞ。
後はメモっていたことを羅列します。
✅複視は、物がダブって見えるだけではなく、ぼやける・焦点が合わない・乱視っぽいなどの症状を訴えてくる場合がある。
✅SESは上下斜視が平均で4△と小角度。眼位検査での見逃しに注意。
(皆さん、ぜひ後関先生の講演を聴いてみて下さい。わかりやすいし、大変勉強になりますよ)
後関先生の懇親会でのお言葉
![](https://assets.st-note.com/img/1710763090793-mymaILo7ki.jpg)
先日行われた九州視機能研究会の懇親会でのこと。
後関先生は、到着時にかなりお酒を飲まれていて、かつ懇親会でもかなり飲んでいたので、覚えていらっしゃるかわかりません。わかりませんが、最後の締めの挨拶で、すべての視能訓練士に届いておいてほしいお言葉を下さいました。
(録音しておけばよかったな)
覚えている範囲で、書きます
私は、斜視の手術を行うにあたり、視能訓練士さんの協力なくしてはできません。視能訓練士さんが、正確なデータをだしてくれるので、私は信頼して手術をすることができます。
私は医師として手術を行う立場ですが、視能訓練士さんを含め皆で協力して、患者さんの治療に励むべきだと思っています。
皆さん、視能訓練士という仕事に自信と誇りをもってください。
そして、医師から信頼される正確なデーターをだせるように、技術の向上に励んで下さい。
なんか、もっともっと素晴らしい言葉を残して下さったと思うのですが、酔いちくれの私の記憶力ではこれくらいしか思い出せません。
一緒に参加された方、補足あったら教えて下さい。(笑)
でも、この思いだけは強く伝わってきたし、間違いなくおっしゃっていました。
✅視能訓練士なくしては、手術ができないということ
✅視能訓練士という仕事に自信と誇りをもつこと
懇親会に参加していた視能訓練士は、皆感動していましたよ。
すばらしい先生に出会えたこと、本当に感謝しています。
「I love pulley.」
来年の斜視・弱視学会、またお会いできるのを楽しみにしています。