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自立支援医療制度について

自立支援医療制度ってご存知ですか?
私は先日、とある患者さんからお尋ねがあるまで、全然知りませんでした。

調べてみると、これはぜひ眼科で働いている皆さんに共有した方がよいと思って記事を書いています。(知っている人がいたら、ぜひ教えて下さい)

結論からいうと
『視覚障害者手帳の交付を受けた人は、白内障手術の自己負担が減る可能性がある』
※収入や年齢等の条件があります。詳しくは利用者負担を参照


自立支援医療制度とは?

自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。

厚生労働省ホームページ

対象者

  1. 精神通院医療:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者

  2. 更生医療:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)

  3. 育成医療:身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)

対象となる主な障害と治療例

  1. 精神通院医療:精神疾患→向精神薬、精神科デイケア等

  2. 更生医療、育成医療

    1. ア.肢体不自由・・・関節拘縮→人工関節置換術

    2. .視覚障害・・・白内障→水晶体摘出術

    3. ウ.内部障害・・・心臓機能障害→弁置換術、ペースメーカー埋込術、腎臓機能障害→腎移植、人工透析

利用者負担

自立支援医療における患者負担の基本的な枠組み


自立支援医療制度の解説(私なりの)

自立支援医療制度、精神や育成もありますがここからは眼科だけに絞って解説します。

自立支援医療の対象者の中に、更生医療が含まれています。

更生医療は、身体に障害のある方が手術などによって、障害の程度を軽くしたり、取り除いたり、あるいは障害の進行を防ぐことが可能な場合に、必要な医療を給付する制度です。

さらに更生医療の対象となる障害と治療例に

《白内障による水晶体摘出術》

が含まれているのです。18歳以上で身体障害者手帳を保有している方が白内障手術を受ける場合、自己負担は原則1割になります。(ただし、世帯収入による)
先日、当院で白内障手術を予約した方が現在社会保険で3割負担なのですが、自立支援医療制度を使うと自己負担1割になる可能性があるのです。

わからないことだらけなので、役所に電話して尋ねてみました。

回答は
障害者手帳をもっている方は、世帯収入にもよりますが原則1割負担で受けることができます。手続きに必要な書類がありますので、障害福祉課まで来てもらうように伝えて下さい。手続きが間に合えば病院窓口での負担が1割負担になります。間に合わなければ後日手続きすることもできます』

視覚障害者手帳の等級は関係ない


当院は、少しずつですが視覚障害者手帳に該当する患者さんを見逃さないように意識改革をして、現在では手帳を取得している患者さんの多くが4~6級という珍しい(多分)眼科になってきました。

手帳の4~6級って、取得してもあまり意味がないと思われがちです。実際に患者さんから尋ねられることも多々あります。

そんなときは、補装具の申請や税金の控除、公共の交通機関の割引など、出来る限りメリットを説明しますが、自立支援医療は対象になる方がいたら、手帳を取得する非常に大きなメリットになると思いませんか?

当院の場合、白内障手術を3割負担で受けたら両眼で約9万円の自己負担がありますが、1割負担であれば3万円で済みます。

4~6級であれば、現役で働いている緑内障患者さんが対象になる場合があり、今回のケースも緑内障の患者さんでした。

視覚障害者手帳を取得するメリットが増えれば、4~6級を見逃さずに患者さんに伝えていこうという意識が強まり、患者さんの手帳取得率の向上に繋がると思います。


制度を知らなかった私と同じ眼科関係者に、自立支援制度が広まることを願い、1人でも多くの患者さんに情報が届きますように。


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